請願審査:福祉施策を削る一方で巨額の大型事業「北陸新幹線延伸」は聖域?(2021年7月19日/総務消防委・総合企画局・共産党議員の論戦メモ)

北陸新幹線京都延伸計画への不同意を求める請願

【紹介議員からの趣旨説明とその説明に対する質疑】

◆ひぐち英明議員(共産)/請願者の方から今回の請願の趣旨について文書をいただいているので、それを紹介して趣旨説明としたい。

「京都市が発表している行財政改革計画案を読ませていただきました。思いは請願書に書きましたが、納得できないのは、それが恣意的で一面的なことです。これでは多くの市民の納得も得られないでしょう。京都市はこれまでの審議会で、京都市の財政状況が非常に厳しい状況に至った要因について、『第一に平成初期の大規模投資に伴う重い公債費負担、第二に地下鉄への財政支援を含めたこの間の財政運営』と述べてきました。であれば、今後の京都市が関わる大規模な建設事業、北陸新幹線京都延伸(鉄道運輸機構だけではありませんが、これらは別物ではありません)、これらについて、行財政改革計画案の中で、行財政上の観点からしっかり議論するべきと考えます。国や独立行政法人が行う事業でも、京都市が関わろうとしているもので、京都市財政に大きな影響を与えるものについては、今後の行財政改革の行方に必ず大きく影響するものですから、検討項目に入れるべきです。今回の改革案でそれを反映していただきたいと考えます。

第一に、今後京都市が関わる負担も迫られる大規模事業について、こうした計画がどれほどあり、概要でも建設費はどれほどの規模になるか。第二、計画の市民へのメリット・デメリットを明らかにしながら、メリットが多いと判断した場合でも、京都市の財政的負担は耐えられるか。これらをしっかり視野に入れ、予測を明示していただきたい。京都市自身が『このままでは10年後に財政は破綻する』と言われているのだから、上記の分析と判断は欠かせません。それがないままでの行財政計画案なので、恣意的・一面的などと書かせていただきました。ぜひ京都市議会において、真剣な議論がなされるよう、心からお願いするものです」

ということで、請願者の方からいただきましたので、これを紹介して趣旨説明とさせていただきます。以上です。

◎赤阪仁委員長(共産)/それではただいまの趣旨説明の内容について、何か質問はございませんか。

◆さくらい泰広議員(自民)/ひぐち委員(共産)、加藤委員(共産)、かまの委員(共産)が、紹介議員となられているので、御党のお考えを中心に少しうかがいたい。北陸新幹線だが、前回当委員会で私質疑をさせていただいた。その時のポイントは3点。

「北陸新幹線を今後建設するその大きな意義」としては、日本海側に新たな国土軸を形成していくこと、これによって、南海トラフ地震を想定すれば、東海道側が仮に遮断されても裏側で新たに国土軸が形成される、これ非常に日本国民にとってもメリットが大きい、非常に国民の幸福に資するものであるということが一つ。

それから懸念されている「ストロー現象」については、確か理事者答弁の中で、「北陸新幹線によるストロー現象については起こることは考えづらい」と、いうことがポイントの2点目。

そして「経費負担」だが、国土軸の重層化ということで、このことが東京の一極集中を是正していくという大きなテーマを念頭に置きつつ、これまさに国政の動きと歩調を合わせて、「地方の財政負担は極力ゼロに近づけていく」という答弁も理事者からあった。

この3点の中身を含め、まず共産党さんの考えだが、過去、この京都市会、東海道新幹線の計画が持ち上がった時のことを調べてみた。その時(昭和33年)には、私はまだ生まれていないが、9月の市会において、当時の計画では在来線京都駅より南側を新幹線が通るとなっていたところを、新幹線は東海道本線と並行して京都市内を通過し、そして停車場、駅は京都駅を利用するということが、市会決議の中で求められているが、この意見書の提出者、どのような形になっていたか、これ御党ご存知か。

◎赤阪仁委員長(共産)/さくらいさんは趣旨説明に対しての質問ですよね。(さくらい議員「はい」)それではひぐち委員、答弁をお願いします。

◆ひぐち議員(共産)/今の、何を聞かれたかが分からなかったが、意見書というのは何の意見書ですか。

◆さくらい泰広議員(自民)/昭和33年に東海道新幹線についての意見書が提出されています。同じ新幹線の政策というくくりの中で、今は北陸新幹線、当時は東海道新幹線、この意見書はどういう形で提出されたかということはご存知かということ、ご存知なければいいです、ご存知ないで。ご存知かというところのご回答ください。

◆ひぐち議員(共産)/私はその当時の意見書というのは全然存知あげません。

◆さくらい泰広議員(自民)/実はこの東海道新幹線の時は、市会議員が全員で、「東海道新幹線の京都市内通過に関する意見書」ということで、市会議員全員がこの意見書を出している。この時はもうすでに共産党議員団さんというのは存在してたらしいが、東海道新幹線の時はこの京都駅近辺を通過して京都駅を使うようにという意見書、賛成されている。

で、今回の請願、御党として3名の先生方、議員が「反対、不同意をしなさい」というお立場の中で、紹介議員になられているが、そうすると、同じ新幹線の政策の中で、東海道新幹線の時は賛成、今回は反対の請願の紹介議員になられている。ということは御党は、もちろん東海道新幹線の時は、整備経費は全て国費負担だから、少し今回とは内容違うかもしれないが、東海道新幹線の時は御党は賛成されて、今回は反対されるという、ということはそれぞれによって御党は態度が変わるんですか。

◆ひぐち英明議員(共産)/いま「同じ新幹線なのに、その新幹線によって態度が変わるのか」という質問だったかと思う。それは私は同じ新幹線であったとしても、同じ鉄道であったとしても、それはその時の財政状況とか、つくる趣旨とか、当然判断はいろいろな要件があるわけだから、その時その時の個別の条件をしっかり判断していく必要があると考える。

◆さくらい泰広議員(自民)/分かりました、今の答弁ですから、ま、その都度その都度、都合によって態度をお変えになると、いうことで理解をさせていただきます。

それでさっき、少し財政のお話をされていたが、この請願もそうだが、あたかも「大型公共事業」のみが京都の財政、今のこの財政状況をひっ迫させている大きな、ま、確かに要因の一つという書き方がされているが、他に何があるのかっていうことは、全く述べられていない。前回、確か当委員会で、宗田先生(京都府立大教授・京都市持続可能な行財政審議会委員)の参考人招致をやった時には、宗田先生は「シルバー民主主義に陥って若者の不満がたまっている」というお話もされているが、本市の財政危機の要因は、まさに大型公共事業だけではなく、国基準以上の様々な福祉政策や子育て政策も含めた市民サービス、そして、もちろんおっしゃってる地下鉄東西線を含めた大型公共事業、そして、地方交付税が削減されている、こういう複合的な要因の中での本市の厳しい財政状況で、この説明の中には、なんか公共事業のみが財政をひっ迫しているという印象を与えかねないような表現が、この請願書にされていることを、少し私は違和感を持っている。

そこで、そうするとその財政の問題ということを、今回の反対、不同意の理由とされるのであれば、逆に言うたら、その財政の懸念がなかったら、この北陸新幹線は御党はご賛成されるのかどうか。これ調べてみると、法律で言うと、整備新幹線に対しては、広域鉄道網になるんで、基本的には都道府県と国、財政負担は国が1対2で負担すると明記されているが、そうすると市町村においては必ず負担しなければならないということは明記されていない。にもかかわらず、「京都市の財政負担ありき」みたいな、書かれ方をしているが、その辺りのご見解は御党としていかがか。

◆ひぐち英明議員(共産)/まずはじめに、先ほど「都合によって態度が変わる」というふうに言われた。何かあの、共産党の都合によってね、態度が変わるかのようにね、聞こえたが、それは全く違うので。そうではないということは確認したいがよろしいか。そうではなくて、いろいろな事実関係の中から判断するもの。共産党が都合がいいとか悪いとかではなくて、例えば今言われたような財政上の問題もあるでしょう。環境上の問題もあるでしょう。それと、その時の必要性もあるでしょう。そういう客観的な状況で判断するべきものだと考えている。だから何か、今言われたような、党の都合どうのこうのという話ではないということは確認をしておきたいがいいか。

◎赤阪仁委員長(共産)/今は質問だけやからな、今は議員間討論じゃなくて、請願の趣旨説明に対する質問だけやから、そういうことをひぐち議員は指摘するということやな。また後で請願審議がありますからご心配なく。以上でよろしいですか。

◆ひぐち英明議員(共産)/事実関係として、これまでに北陸新幹線つくられてくる中で、県だけでない、地元の市町村に対する負担というのが発生している。だから今希望としては財政を負担したくないという、そういう希望を持たれているというのは分かる。京都市もそういうふうに国に対して要望していると。ただ、これまでで言うと、当然地元の市町村などにも負担が求められてきているということで言えば、それが一切ないということがね、前提に話を考えるというのは、私は無理があると思う。

◎赤阪仁委員長(共産)/あの、さくらいさんね、さくらい議員、今の質疑の中の、中身が、いよいよ請願審議の本論に入ってるので、趣旨説明だけの範囲内ではないので、請願審議のところでまたお願いできますか。まだ質問あるんですか、趣旨説明に対する。ほなどうぞ。

◆ひぐち英明議員(共産)/先ほど言った趣旨で、私は、いろいろな客観的な条件で、いろいろな物事を判断していくという話をしたが、ところがそれに対して、さくらい委員が、党の、あたかも「党の都合」かのような話をしましたから、そこに関しては私はさくらい委員に質問したい。その認識とは違うということで確認したい。

◎赤阪仁委員長(共産)/いやだからね、今のひぐちさんのさくらいさんへの質問に対して、そうでありませんよということを指摘して、終わったんやな。うん。だから今の意見討論で、質疑だけで、次の請願質疑の中でもっと深く、深める立場でいろいろご意見あると思いますので、まずさくらいさんも他に質問はないんですか。え、ある。ほなどうぞ。

◆さくらい泰広議員(自民)/まず今の財政の話だが、じゃああの、何ていうか、他の自治体ではそういう負担が確かにあったのかもしれない。で、本市において可能性があるのかないのか、全く不明で確定していない中で、可能性があるのかないのか分からへんような状況の中で、じゃあこの請願の紹介議員になられるというのは、可能性があるのかないのか分からないものを、どうしろということなのか。

◆ひぐち英明議員(共産)/今の話も、過去に自治体の、県ではない自治体の負担が「あったのかもしれない」と言われた。でも、それは事実としてあった。それを「あったかもしれない」と言われた。そのうえで「今後も可能性があるのかどうかは分からない」という話をされた。事実としてはあった。だからこの先も当然可能性として考えられる、というかそれがスキームになっているということ。

◆さくらい泰広議員(自民)/あの、確かにありましたよ。ね。ほんで、京都市だって可能性がある。でも、じゃあ可能性の部分の中で、請願に同意しろっていうのかということですわ。じゃあ可能性がある、ある場合もあるし、ない場合もあるじゃないですか。確定していない中で、僕が言いたいのは、確定していない中で請願に同意しろって言わはんのかってことですわ。

◆ひぐち英明議員(共産)/確定してからでは遅いんですよ。これから先ね、京都市が、何百億円、あるいは何千億円、これを負担しなさいなんて話がね、確定した後にね、「これ止めてください」と、言うよりも前に、きちんとそういう可能性があるんだったら、そして今京都市が「財政が厳しい」と言っているんだったら、それは止めてくださいというふうに請願人の方が考える、市民の方が考えるのは私当然だと思うが。

◆さくらい泰広議員(自民)/あのまあ水掛け論になっていろいろ議論しても仕方ないが、確定するかしないか分からへんもんに対して、どうしろっていうことが、政党として責任ある態度なのかどうかってことじゃないんでしょうか。確定するかどうか分からへんものを、同意しろっておっしゃてるわけですね。いずれそれが確定するであろうと予測のもとに、言っておられるんですよ。果たしてそれが、分からへんもんに対して同意しろっていうことで、御党はそういうお考えなのか。

◆ひぐち英明議員(共産)/荒唐無稽な話を持ち出しているとは全然思わない。先ほどね、さくらい委員もね、言われました。過去に、地元の自治体が、県でない自治体が、負担をしてきた事実は「ある」と。「あった」と。そういうことがあったわけだから、過去にあって、それで当然そういうスキームがこれまでも取られてきた。ただし、「そのスキームをこれから変えてください」というふうに、さくらい委員や京都市が言っているのは私も存じ上げている。ただそれは、今説明したように、「これまでのスキームを変えてほしいんだ」ということ。だから、これまでの、それこそそのスキームが変わるかどうかのほうがね、可能性としてね、じゃあどうなんだと。本当にそれが現実的なものなのかどうかと言ったらね、そちらのほうがね、私は過去の事実と比べて、「過去と違うことをこれからやってくれ」と言ってるわけでしょ。で、少なくとも私は、「過去と同じような形でやった場合は莫大な地元負担が、京都市負担が、発生する可能性がある」、これは十分考えられる話だと思う。

◆さくらい泰広議員(自民)/あの、イメージとか想像で、可能性があるとかないとかじゃなくて、事実に基づいてあるのかないのか、現時点で可能性がある場合もあるし、ない場合もある、そこに対して、同意を求めるというところの責任について、どうお考えかということですわ。確かに、あのこれ以外の自治体にあったんでしょう。ご負担がね。うん、それは事実ですわ。それはいいじゃないですか。ですけど本市においてどうかって話です私は。それは可能性があんのかないのか、今の時点で分からへんのに、分からへんのに、この請願の内容で同意しなさいということについて、そのことについてのその態度がいかがなものかって私はご質問している。

◎赤阪仁委員長(共産)/さくらいさん、今の可能性があるかどうかっていうのは、これは当局が提案の、今後の提案の中身ですから、それは当局が答弁しなければなりませんし・・・。

◆ひぐち英明議員(共産)/まあ質問じゃなくて、今お互いのね、意見の相違がここで明らかになってるというだけだと思うんです。それに対してどう考えるのか、ま、これはだからまたこの後ね、当局の方からも意見も聞きながら、議論を深めていって、また議会として判断をしたらいいのかなと思いますけれども。

◆さくらい泰広議員(自民)/あのとりあえず、私の質問の中身について、真っ当な答え、真っ当というか、私が納得するようなご答弁は一切いただけなかったが、ま、いったんここで質疑は終わらせていただきたい。

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【京都市からの説明】

(→奥井・総合政策室長)請願事項は、「京都市会に、本市の財政上巨額の負担を強いる北陸新幹線京都延伸計画に対して『同意できない』と不同意の決議をされるよう求める」というもの。

本市の考え方についてご説明する。北陸新幹線については、建設主体である独立行政法人・鉄道建設運輸施設整備支援機構、いわゆる鉄道運輸機構が整備を進めており、現在、石川県の金沢から福井県の敦賀までの路線について、令和6年の開業を目指し工事が行われている。敦賀から新大阪までの延伸については、現在、鉄道運輸機構が、本市を含む京都府・大阪府・福井県の2府1県に渡り、環境影響評価手続きを進めている。

同機構においては、令和元年5月31日付にて、計画の検討段階において環境保全のために適正な配慮をしなければならない事項の検討とその結果をまとめた「計画段階配慮書」を公表され、さらに同年11月26日付にて、環境への影響の調査予測評価をこれからどのようにおこなっていくのかを取りまとめた「環境影響評価方法書」を公表されている。これら配慮書及び方法書のいずれについても、法律上の規定としては、京都府が本市を含めた府下の事業対象となる市と町に対して見解を求めること、及び一般の方が環境保全の見地から鉄道運輸機構に意見を提出できることが明文化されている。

本市としては、環境影響評価手続きの各段階における市長意見の陳述等において、京都市域の環境影響等にかかる調査及び審議をおこなうための本市の付属機関である京都市環境影響評価審査会において、環境の各分野の専門家の先生方にご意見をいただいたうえで、配慮書、方法書、それぞれについて、法令に基づき京都府に対して意見を提出している。環境影響評価手続きの次の段階として、調査予測評価の結果及び環境の保全に関する事業者の考え方を取りまとめた「環境影響評価準備書」が作成・公表されるが、この準備書についても、法律上、配慮書、方法書と同様に、京都府からの求めにより意見の提出をおこなう規定となっている。

敦賀~新大阪間の北陸新幹線延伸にかかる工事実施計画については、こうした各府県における環境影響評価手続きにおいて、準備書の次の段階として作成・公表される「環境影響評価書」の内容が確定した後、鉄道運輸機構が作成し、国に対して認可申請をおこない、全国新幹線鉄道整備法の規定に基づき、具体的な線路の位置、駅の位置等を含め、国が内容を審査したうえで、国において当該計画の適否を判断するもの。

敦賀~新大阪間の整備工事については、現在のところ、北海道新幹線の整備完了予定である令和13年の着工、令和28年の開業予定とされているが、現在、北陸3県をはじめとする地域からの建設促進要望を受け、国政レベルにおいて切れ目なく着工できるよう、財源確保などについての議論が進められている。

なお、工事経費の積算は、線路の位置や駅位置等が定まったうえでおこなわれるものと認識しているが、それに加え、国政レベルにおいて、JR西日本が鉄道運輸機構に支払う貸付料の支払い期間延長など、整備財源の確保と沿線自治体の負担軽減に向けた議論が進められているところで、自治体の負担について具体的な事項が示されるのは、これら積算や議論を経た後になるものと認識。また、全国新幹線鉄道整備法により、「工事経費は、JRが鉄道運輸機構に支払う貸付料を除いた額を、一義的には国と都道府県が2:1の割合で負担すること」とされており、「都道府県はその区域内の市町村で、当該新幹線鉄道の建設により利益を受ける者に対し、その利益を受ける限度において、都道府県が負担すべき負担金の一部を負担させることができ、その場合、市町村に負担させる金額は、当該市町村の意見を聞いたうえ、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない」とされている。

なお、北陸新幹線の整備事業は、近畿圏と北陸圏を結ぶ、環境性能と効率性に優れた基幹的な高速輸送体系を形成するもので、移動時間の短縮により地域の振興や経済活性化に大きな効果をもたらすとともに、新駅が設置される地域だけに限らず新駅と結節する沿線地域にも広く利便性の向上をもたらし、災害時等には開通して半世紀以上が経過する東海道新幹線の代替路線としての機能も果たしうる貴重な社会資本であると考えている。

加えて、人口減少が進み都市間競争が激化する中、北陸新幹線の延伸により歴史的文化的にゆかりの深い北陸圏との結びつきが一層豊かになるとともに、南北に長い京都府下に2つの新駅設置が検討されており、本市はもとより、本市と在来線で結節する地域も含め広く京都府域の活性化が図られるものと認識している。

本市としては、引き続き国に対し地方負担の極小化を求めるとともに、現時点で準備書の公表時期については明らかになっていないが、準備書が公表された際には、京都市環境影響評価審査会において各分野の先生方にご意見をいただいたうえで、京都府知事を通じ鉄道運輸機構に対ししっかりと必要な意見を提出していく。

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【議員による質疑】

※以下は、しまもと京司議員(自民)、かまの敏徳議員(共産)の質疑後、ひぐち英明議員(共産)と加藤あい議員(共産)がおこなった質疑の文字起こし

◆ひぐち英明議員(共産)/はじめに財政の問題についてお聞きする。請願では「財政状況が悪化しているという時に、巨額の負担を京都市財政に強いる北陸新幹線の延伸工事は止めるべきだ」という趣旨が述べられている。総事業費2兆1000億円と言われている。金沢から敦賀までの工事では、当初予定よりも大幅に事業費が膨らんでいる。これを考えると、この京都を通る延伸工事の部分、2兆1000億円よりも事業費が大きく膨らむということが予測される。その事業費が自治体の負担となってかぶさってくる。これが先ほどおっしゃられたスキームになっている。じゃあ一体どれほどの負担になるのか。「それはまだ分かりません」というのが先ほどの答弁。この間もそのようにずっと答弁されてきている。

一方で、「行財政改革計画案」では、「今のままでは10年以内に財政は破綻をする」というふうに書かれている。そこで聞くが、この10年以内に、京都市に、北陸新幹線の延伸工事の負担が「求められることはない」と、いうふうに判断をしているのか。

(→奥井・総合政策室長)冒頭の説明で申し上げた内容にはなってしまうが、全国新幹線鉄道整備法においては、工事経費は「JRが鉄道運輸機構に支払う貸付料を除いた額を、一義的には国と都道府県が2:1の割合で負担すること」とされており、「都道府県はその区域内の市町村で、当該新幹線鉄道の建設により利益を受ける者に対し、その利益を受ける限度において、都道府県が負担すべき負担金の一部を負担させることができ、その場合、市町村に負担させる金額は、当該市町村の意見を聞いたうえ、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない」と明記されている。

現在の状況で申すと、鉄道運輸機構が環境アセス調査をしている最中。法律上、市町村が必ず負担するとなっていない以上、今の時点で確たることを申し上げることができない状況。

◆ひぐち英明議員(共産)/「確たることが言えない」と、まあそれをくり返しているわけだが、先ほども少し議論した時に紹介した通り、まあ紹介するまでもなく、金沢~敦賀間においても、地元の市町村に対して負担が求められている。だからそれが、今のスキームでは当然そういう話になっていっているということ。

北陸新幹線は門川市長の選挙公約でもあり、2025年までの「基本計画」にも位置付けられている。もし10年以内に、巨額の財政負担を求められるという事態になれば、それは市の財政破綻を促進するということになる。では、財政負担がこの10年ではなくて、それ以降であれば何の問題もないのかと言えば、まあそんなことは全くない。この10年で、「行財政改革計画案」の中にあるような、福祉を削って、市民の負担を大幅に増やして、「暮らしや生業を支援する予算を削る、そのうえでその次に北陸新幹線延伸工事の巨額の負担を払うだけの予算をしっかり確保します」という話になっていく。10年以降だったとしても。この流れから何が見えてくるのかと言えば、「ビッグプロジェクトを進めるために、あらかじめ暮らしの予算を削っておく」、こういう意図が見えてくる。私はこういうことに対して市民が「納得できません」と言うのは当然の思いだと指摘をしておく。

次に、大深度地下を活用する問題について聞くが、今もご答弁の中で「大深度地下を活用するかどうかは決まっていない」とあった。では、大深度地下以外に、この京都の街なかで、北陸新幹線を通す工事は一体何か方法は考えられるのか。

(→奥井・総合政策室長)北陸新幹線の工事の手法を検討するのは鉄道運輸機構になるので、鉄道運輸機構が環境アセス調査に基づいて、適切にその工法やルートを公表していくべきものと考えている。

◆ひぐち英明議員(共産)/「機構が計画を立てる」というのは分かった。でも、私、京都市もね、普通に考えていただきたいと思う。京都市に街なかにおいて、地上での工事、地上に北陸新幹線を走らせる、あるいは大深度までいかない地下空間を、先ほど言われた買収とか補償とか交渉しながら工事を進める、これね、およそ現実的じゃないと思う。少なくとも街なかは大深度地下の活用ということにならざるをえない。これが今の結論だと思う。ところが東京では、昨年10月、大深度地下を工事中に、地上で陥没事故が発生した。住宅地で。陥没事故に至らない場所でも、その他に3つも空洞、地中の中に空洞が見つかっている。それを今、2年がかりで地盤改良工事をおこなうということになっている。そのために40軒が立ち退きの対象になっている。別にこれ外環道路全部まだ工事が進んでいるわけでもない、ほんの途中のところでこういう事態が起きている。同様の事態が、この京都市内でも起こるということが予測されるが、その点について何かお考えはあるか。

(→奥井・総合政策室長)まさに地下の構造については、その地域ごとに地層や地盤が異なるものだと基本的に考えている。だからこそ今、鉄道運輸機構が複数年かけて、京都の地盤の状況がどのようになっているかを時間をかけて今調査をしている最中だと考えている。

また加えて、大深度地下を仮に使用する場合の法体系をちょっとご紹介すると、・・・まず仮に、大深度地下を使用するとされた場合においては、大深度地下法の規定に基づき、閣議決定された「大深度地下の公共的使用に関する基本方針」の内容を踏まえて、「環境影響評価法に基づく評価手続きをおこなったうえで、必要な環境保全対策を講じること」と明記されている。このため、まずは鉄道運輸機構に事業主体としてデータを収集していただき、それをベースとして京都市環境影響評価審査会で専門家の意見もお聞きしながら、京都府知事を通じて鉄道運輸機構に対してしっかりと必要な意見を提出してまいるべきものと考えている。

また加えて、大深度地下の使用にあたっては、環境影響評価法とは別に、大深度地下法に規定される事業間調整や審査等の手続きを経る必要がある。また、同法に基づき、大深度地下の適正かつ合理的な利用を図るために必要な協議をおこなうために、国や自治体で構成される協議会が全国の各ブロックごとに設置されており、近畿ブロックの協議会においても審議がおこなわれるものではないかというふうに理解しているところ。

◆ひぐち英明議員(共産)/東京の外環道の大深度地下工事も、当然法律に則っておこなわれているもの。法違反を今のところ犯して何か重大な事故が起こったというふうにはお聞きしていない。つまり、法に則ってやっていっても、ああいう陥没事故が起こり、あるいは地中に大きな空洞ができる、こういう事態になっている。ですから、今「調査をあらかじめおこなうんだ」と言われたが、東京の場合も調査はおこなっている。でも残念ながら、調査と言っても、なかなかね、街なかの調査だから、ボーリング調査を本来であればトンネル工事などで言えば、100mから200mおきにボーリング調査をおこなって、地盤調査をおこなっていくのが一般的だそうだが、東京の外環道の場合は、1kmおきぐらいにしかボーリング調査ができない。つまり、なぜかと言えば、上に家がいっぱい建ってるからですね。じゃあ京都の場合どうか。京都市内、100mおきにボーリング調査できるのか。私ね、これこそ京都市内これだけ住宅が密集している、そこを細かくボーリング調査していくことができないのは当然だと思う。そうすると、東京と同じ、結局地盤の調査ができないまま、大深度地下の工事をせざるをえない。そうすると、一体何が起こるか分からないまま工事をしていく、その中で今回東京で起こったような事故が起こっている。これは京都でも同じような事態が起こる可能性がある。このこと排除できないと思う。私、そういう危険がある工事というのはやはりその点からも、これは同意できるものではないと、述べざるをえない。

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◆加藤あい議員(共産)/まず、この北陸新幹線の延伸問題で、巨大トンネル工事、これによる大量の残土・建設汚泥がどういう様相になるのか、この問題についてまずうかがいたい。鉄道運輸機構の計画では、「敦賀~新大阪間140kmの8割がトンネル区間」とされている。これは府の審査会の委員の方、「残土・建設汚泥は880万㎥、ダンプカー片道160万台分」と述べられているとお聞きした。事実関係として、まずこの北陸新幹線延伸計画に関わって発生するであろう残土・建設汚泥のボリュームはどうなると考えているか。

(→奥井・総合政策室長)今ご紹介いただいた880万㎥という量については、京都府環境影響評価専門委員会の中で、委員の方が発言されたものと聞き及んでいる。土砂の発生量については、ルートや駅の形状等によって変動するものと考えられるが、それぞれについてはまさに今、法に基づく調査を鉄道運輸機構がおこなっている最中なので、現時点において確定しているものはない。

◆加藤あい議員(共産)/およそどれくらいになるかという目算も立てられないですか、京都市として。

(→奥井・総合政策室長)今後の環境影響評価による調査等の結果を踏まえて明らかにされるものと認識している。

◆加藤あい議員(共産)/いずれにせよこのまま進めるのであれば、とてつもない量の残土・建設汚泥が発生する。まあ今、880万㎥について否定はされなかったから、「これは多すぎる」と言われるんだったら、もっと少ないということになるかもしれないが、いずれにしろ、もうとてつもない量になるのは確かだと思う。

熱海市での今般の事態については、建設土砂の問題があることも指摘されている。第一に、「処理する場所がない」。これリニアとかでも起きている。仮置き場の場所がない。それから、そもそもどう処分するかということもある。二つ目に、「搬出するダンプカーの公害」。これもまた大変な量の車両の移動ということになるわけだからこれも想定される。三つ目に、土砂に有害な重金属が含まれる可能性など。そもそも処理が可能なのかどうか。この点についてのご認識はどうか。

(→奥井・総合政策室長)残土の処理については、その処理の手法等について、鉄道運輸機構がこれからの環境影響評価手続きにおいて、調査予測評価をおこなって、環境保全措置の検討もおこなったうえで明らかにされるもの。本市としては令和元年11月に提出された「環境影響評価方法書」に対して、「土砂等の搬出量の予測を適切におこない、その保管・処理の方法を明確にするとともに、工事用車両による環境影響を適切に評価すること」との市長意見を、京都府知事に対して提出している。今後、環境影響評価の次の段階である「準備書」が提出された際には、本市の環境影響評価審査会のご意見もお聞きしたうえで、環境影響評価法の規定に基づいて、適切に意見を発していくべきものと考えている。

◆加藤あい議員(共産)/そんなその鉄道運輸機構まかせでいいんですか。建設残土・建設汚泥のボリュームも現段階で分からない、京都市として。分からないだけじゃなくてつかもうともしない。大問題になっている建設残土処分についても、建設残土の問題についても何ら主体的な検討をしてない。鉄道運輸機構まかせということ。極めて自治体として無責任だと思う。その点は強く指摘しておきたい。

二点目に、費用負担の問題について。北陸新幹線の延伸の敦賀~新大阪間の概算建設費というのを、平成28年4月の価格で、国土交通省に請求し資料をいただいた。総事業費は2兆1000億円、これは総合計。その内訳は、まず用地費2010億円、第二に明かり費1350億円、三つ目にトンネル費8840億円、四つ目に停車場費2560億円、五つ目に設置費(車庫・軌道・電気等)3600億円、そして工事負担費2630億円、総計2兆1000億円。この2兆1000億円の、今述べた内訳の中に、駅舎整備費用、周辺開発費、これは含まれているのか。

(→奥井・総合政策室長)今お聞きした範囲内での少し答弁になるが、いわゆる整備費用の中に、駅部の費用が含まれていると理解している。なお、整備主体が自治体となるであろう周辺開発にかかる費用については、含まれていないというふうに理解している。

◆加藤あい議員(共産)/先ほどもずっと議論があったが、京都府は「府市一体で費用負担の実質ゼロないし極小化のための支援」を、国に要望しておられる。この「極小化ないし実質ゼロ」を求めている対象は何か。いま内訳も言ったし、開発の問題や駅舎の費用のことも言ったが、京都市京都府が一体で「実質ゼロないし極小化」を求めている対象は何の費用なのか。

(→奥井・総合政策室長)国への要望に関しては、沿線自治体、地方自治体のそれぞれ共通の思いと理解しているが、北陸新幹線にかかる地方負担に対して極小化を求めきておるもの。

◆加藤あい議員(共産)/全ての費用負担に対して求めておられる?「実質ゼロないし極小化」。

(→奥井・総合政策室長)先ほど先生がご指摘された、2兆1000億をベースとする総事業費にかかってくる地方負担に対しての極小化と理解している。

◆加藤あい議員(共産)/いま答弁の中で説明いただいたことを踏まえたうえで、うかがいたいと思うが、この請願審査の、かまの議員(共産)の質疑の中で、地方負担が大きいから「極小化」「実質ゼロ」を要望しておられるのではないかと質問された。そもそもね、本市の負担がないなら、国に実質ゼロと極小化を要望する必要がないと思うんです。普通に考えて。これ先ほどかまの議員の質問には正面からお答えにならなかった。「負担が大きいから要望しているのではないか」と、この質問についてはお答えいただきたいと思う。

(→奥井・総合政策室長)法の立て付け上、地方自治体に対して、負担を求めるという規定に全幹法(全国新幹線鉄道整備法)上はなっているので、地方自治体に対する負担の極小化を求めてきているもの。

◆加藤あい議員(共産)/今ね、「法の規定上、地方に負担を求めるような規定になっている」という、今そこに着目されてご答弁があったが、先ほど来の議論では、「法律上、市町村が負担しなければならないと規定されていない段階で、本市の負担、確たることは申し上げられない」と言われた。今のご答弁と違うと思うんですけど。

(→奥井・総合政策室長)そこは全くずれないと考えている。まずそもそも冒頭でも申したが、全国新幹線鉄道整備法により、「工事経費はJRが鉄道運輸機構に支払う貸付料を除いた額を一義的には国と都道府県が2:1の割合で負担すること」とされており、「都道府県はその区域内の市町村で、当該新幹線鉄道の建設により利益を受ける者に対し、その利益を受ける限度において、都道府県が負担すべき負担金の一部を負担させることができ、その場合、市町村に負担させる金額は、当該市町村の意見を聞いたうえ、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない」とされている。したがって地方自治体、都道府県に対して、都道府県に対しても、負担を求めることになっているので、これまでから京都府と京都市でここは府市共同提案として、地方自治体に対する負担を極小化するということで、国に対して要望をおこなってきているもの。

◆加藤あい議員(共産)/そうなんです。「負担を求める」のが通例なんですよ。今ご紹介いただいた法律、鉄道整備法、私も規定をあらためて見た。答弁の通り。全国新幹線鉄道整備法ということで規定があり、「都道府県はその区域内の市町村で、当該新幹線鉄道の建設により利益を受ける者に対し、(中略)負担金の一部を負担させることができる」。つまりね、利益を受けるから負担金が発生するわけでしょ。京都市で言えば。駅を設置して、京都市に利益が生まれる、だから負担金が発生する。負担金が発生しないってことは利益がないってことですよ。本市にとって利益がないなら、これは延伸はないってことじゃないですか。京都駅への。こういうロジックになると思うがいかがか。

(→奥井・総合政策室長)負担金についてはこれから京都府が、から、今後の話になるが、「求めることができる」規定なので、今現在において府から求められているものでもないし、今現在で言うと、鉄道運輸機構が、まさに今後のルート、駅部の位置を、これから模索している段階での環境アセス調査をおこなっている最中なので、今後において、まずは鉄道運輸機構が、どういうルート、どういう駅部になるかっていうことを、準備書で公表して、国に認可申請した後の以降の議論になってくるものではないかと考えている。

◆加藤あい議員(共産)/京都駅に接続するのであればね、京都市が利益を受けないなんてことはないわけでしょ。この法規定で言えば。だからこれ必ず負担発生しますよね。法的には負担が求められるスキームになっているのが、普通に読めば、法律上もはっきりすると私は思う。この点を指摘しておきたい。

加えて、京都府とも共同して、これ予算要望もあらためて見たが、「市・府共同提案」として、「地元負担実質ゼロないし極小化」、これをやるための支援を求めておられると。これ京都府の負担がゼロになるなんてことありえるんですかね。

総合企画局の資料で、リニア・北陸新幹線誘致推進室が出した「費用負担のグラフ」がある。先ほど、言葉でも何度も言っておられるが、「国の負担が2」、それに対して「都道府県が1」、負担をすると、こういう枠組みですと、グラフも出しておられる。何だか法的にはね、逃れる道があるかのような、そういうアナウンスがされて、全く事実に反すると私は思う。いかがですか。

(→奥井・総合政策室長)北陸新幹線にかかる工事経費の積算は、線路の位置や駅位置等が定まったうえでおこなわれるものだが、加えて、それに加えて、国政レベルにおいても、現在JR西日本が鉄道運輸機構に支払う貸付料の支払い期間延長など、整備財源の確保と沿線自治体の負担軽減に向けた議論が進められているところと認識。

◆加藤あい議員(共産)/まあ「議論が進められているから今は確たることは言えない」、最後残った理屈はそれだけですよ。先ほどもひぐち委員が言ったが、全てが出そろって、確たる状況が明らかになった時はもうすでに遅いですよ。京都市が基礎自治体として、本当に進めるのかどうかということを、主体的に判断する、それをやらないってのはやっぱりダメだと、無責任だと思う。

これまでどうだったのか。いま前段では、法的にはどういう規定になっているかというやり取りさせていただいたが、大きな二つ目として、今まで整備してきたスキームがどうだったのか、この点も質疑させていただきたい。自治体負担がなくなった例がこれまであるのか。

(→奥井・総合政策室長)中央新幹線の整備においてはJR東海が全額負担することとなっておると理解している。また、ちょっと時代は遡るが、国鉄時代で、国鉄が建設主体となって建設された東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線の一部については、負担金を求められていなかったと記憶している。

◆加藤あい議員(共産)/北陸新幹線の延伸をめぐって地方負担が求められなかったことがあったのか。

(→奥井・総合政策室長)北陸新幹線の各自治体を全てあの把握しているわけではないので、いまちょっと即答することは困難です。

◆加藤あい議員(共産)/そんな基本的なことも調べないで「極小化と実質ゼロ」を求めておられるとは驚きだ。金沢~敦賀間、一体どうなっていたのか。ぜひお答えいただきたいと思う。総事業費と自治体負担額。私は少し前に福井に行き、いろいろ聞き取り調査をしてきた。その時には、全体の総事業費、1兆4121億円だった。この時の福井県の負担は1600億円。その後、総事業費自体が膨らんでいると聞いている。1兆7000億。これ現段階で福井県の負担はいくらになったのか。

(→奥井・総合政策室長)工事認可後の福井県の負担額については、約1700億円だったと承知している。ただし約1700億円の金額は、国による地方交付税措置分を控除する前の金額だったと承知している。

◆加藤あい議員(共産)/地方交付税を考慮した後の額も分かっておられるんだったらご説明いただきたい。それから、先ほど「分からない」っておっしゃった、自治体負担が実際なくなったのかどうか。先例において。福井県の圏域の中の、あわら市とか福井市とか敦賀市とか、駅を設けている各自治体、市町村の負担額はいくらになっているのか。いかがですか。

(→奥井・総合政策室長)北陸新幹線の全線をすべて把握、記憶しているものではない。あのまず福井県の直近の、ご指摘あった福井県内の4駅が設置される、あわら市、福井市、越前市、敦賀市の4市の負担については、福井県と各市との協議により、それぞれの各市域における路線全長のうちの各市の負担区間をまず定めたうえで、各市ともその当該負担区間を対象に、福井県の負担額の10分の1にされたものと承知している。

◆加藤あい議員(共産)/今のだけ聞いてもいくらか分からないんですよ。いくらなんですかってことは答えていただきたい。まあ今すぐ答えられないなら資料にしていただきたい。「負担区間を決めて金額を定めた」ということは、この金沢~敦賀間について、市町村の負担がなくなったような例があるのかってことは分かっておられると思われるので、その点がどうなのかご答弁いただきたい。

(→奥井・総合政策室長)まず先ほどご指摘いただいた福井県内の4市については、10分の1というのは公表ベースで把握はしているが、金額についてはホームページ等で公表されているものではないと理解しているので、金額自体を持っているものではない。その点はちょっとご理解を賜りたいと思う。

◆加藤あい議員(共産)/いまご答弁いただけないということなので、金沢~敦賀間の北陸新幹線整備にかかる福井県の負担、そして各駅整備された市町村の負担がそれぞれいくらになったのか、資料で求めたいと思う。後でお諮りいただきたい。

福井市は、この新幹線の延伸をめぐって、1200億円以上の区画整理事業、再開発事業の予算を投じていると聞いている。今、本体の鉄道整備に関わる予算、議論で聞かせていただいたが、それ以外のところ。敦賀~大阪間で言えば、「周辺開発入ってない」って話をされていたが、そういう入っていないけれども必要になる予算もあると思う。だから、各自治体の駅舎や区画整理事業、再開発事業の内容と金額、これがどうなっているのかっていうことも資料として整理して、整えて出していただきたい。

この問題で言うと、今明らかに「自治体の負担がなくなった例はない」ってことですよ。金沢~敦賀間で言えば。みんな負担求められてはるわけです。こういう十分な先例の把握状況もない。事実関係もない。それから京都府京都市の負担をなしにするっていう現実性もない。どれだけお金がかかってでも国家プロジェクトだからやるっていうことこそ、私は京都市としては無責任だと思うので、その点は重ねて指摘しておきたい。

最後に、この請願は、「財政上、京都市は巨額の負担を強いる北陸新幹線京都延伸計画には同意できない」と、京都市議会はね、「計画不同意の決議をされるように求める」という内容になっている。北陸新幹線の是非だけではなく、行財政改革計画との関係で物を言っておられる。つまり、今後の大きな事業について横に置いたうえで、福祉を削る、住民サービスを削る、そういう行財政改革を進めるっていうのは、無責任だと言っておられるんだと思う。そこでうかがいたい。今後、京都市が関わる、つまり負担も迫られる大規模事業について、その計画がどれほどあって、建設費がどれほどになるのか、どれほどの規模になるのか、既定方針通り進めれば、これを「市民に明らかにすべきだ」と求めておられる。この点いかがか。

(→奥井・総合政策室長)本件請願項目としては、「北陸新幹線京都延伸計画への不同意」なので、総合企画局としては、北陸新幹線に関して申し上げると、現在、整備主体である鉄道運輸機構が環境アセスメントの手続きをおこなっている段階で、加えて法律上、市町村が負担しなければならないと規定されているものではない以上、今の段階で確たることを申し上げることができる状況ではないと考えている。なお、北陸新幹線に関しては、環境影響評価法に基づき、環境アセス手続きの適切かつ円滑な実施に協力すること、及び、全国新幹線鉄道整備法に基づき、新幹線鉄道に関し必要な措置を講ずるよう努めることが明記されており、国土軸形成に寄与する国家プロジェクトに対して、法の趣旨に則って協力することは、自治体としての責務であると認識している。

◆加藤あい議員(共産)/「新幹線の担当なのでこれから先の大規模事業の計画について答えることはできない」という答弁だった。それであれば、やっぱり行財政改革の問題に担当して責任を持っている行財政局も、ここに来ていただくということを総合企画局のサイドから働きかけられるべきであると思う。

二つ目に「10年間で財政再生団体になる」と行革計画では言っている。これを前提にされている、財政再生団体になるっていうのは、こうした新幹線のような巨大事業、これを織り込み済みしたうえで、財政再生団体になると言っておられるのかどうか。これはどうなんでしょうか。

(→奥井・総合政策室長)まず、本件請願項目としては、恐れながら、我々としては、「北陸新幹線京都延伸計画への不同意」と理解しているので、北陸新幹線に関して申し上げると、先ほど申し上げた通りの、アセスをしている状況、また法的に必ず今の段階で金額を求められるようなものになっていないという状況はちょっとご理解を賜りたいと思っている。

そのうえで、行財政改革との関係においては、考えているのは基本的には、同計画に掲げている投資的経費及び市債発行額の上限を踏まえながら、北陸新幹線についても対応を図っていくべきものと認識。

◆加藤あい議員(共産)/「これも答えられない」という答弁。この請願者の方が三つ目に言っておられたのは、こういう大きい事業計画について、「市民にメリット・デメリットを明らかにするべきだ」と。「メリットが多いと判断した場合でも、京都市の財政負担は耐えられるのか」、こういう「予測を明示すべきだ」と。今言った点は、この新幹線ずっと議論聞いてて、何も明らかになってない。「鉄道運輸機構が進めてはります」という話に尽きると言っても言い過ぎではない状況。これはやっぱり市民のみなさんから京都市を見た時にね、一体どうなっているんだということになるんじゃないか。

(→奥井・総合政策室長)くり返しになるが、北陸新幹線のまず意義については、本市のみならず、国、京都府、大阪府、福井県のそれぞれにおいても認識されているものと理解している。北陸新幹線に関しては、現時点で費用について確定しているものはないので、今確たることが申し上げられない状況。現在、鉄道運輸機構が環境アセス調査を進めている。その調査結果を踏まえて、環境影響の予測と評価をおこなう予定となっているので、その準備書が出てきた段階で、しかるべき意見を、京都市環境影響評価審査会の意見を聞いたうえで、我々は出していくのが務めであると考えている。

◆加藤あい議員(共産)/行財政改革で住民サービスや福祉サービスを、全世代に渡って改悪したり削減したりしようとする一方で、債務負担超過の要因となってきた大型公共事業の精査については、十分なされない。本当に重大だと思う。長いスパンで見れば、また同じことくり返すんですかと。30年前の大規模事業、こういうものの債務負担がドカッと来てる。こういう原因と対処法がずれているのが、京都市の「行革」だと思う。何よりも福祉・住民サービスの充実こそ進める自治体政策への転換がいるし、この部局で言えば、もっと主体的な、市民にとってどうなのかということをきちっと示せるような立場で取り組んでいただきたいと思う。

◎赤阪仁委員長(共産)/ただいま加藤委員から要求のありました「金沢~敦賀間の福井県の負担額、各市町村の負担額、並びに事業の内容と金額」について資料提出できますか。

(→奥井・総合政策室長)まず福井県内の4市に照会をかけなければならないというのはちょっとご理解いただきたいと思っている。今現在京都市が保有している数字ではないので、まずそれが必要になってくると思う。また、周辺の再開発にかかるっていうところが、なかなか定義が難しいのではないか思っている。その辺照会も必要になってくるので、可能な範囲でちょっと取組をさせてもらえたらと思う。

2021年7月19日【総務消防委】総合企画局/請願審査「北陸新幹線京都延伸計画への不同意」

(更新日:2021年07月19日)