「世界遺産保護」の立場に立つなら、法規制超えるホテル計画は許されない(2021年7月6日/文化環境委・文化市民局・やまね)

◆やまね/よろしくお願いいたします。あの今日は京都市における世界遺産保護についてということでお聞きしたいんですけれども、まずあの「世界遺産条約」の第11条にですね、危険にさらされている世界遺産について書かれております。で、どんなふうに書かれているかといいますと、戦争や災害だけでなくてですね、「大規模な公共事業、若しくは民間事業、又は急激な都市開発事業、若しくは観光開発事業に起因する減失の危険」ということが書かれているわけですけれども。まずあのお聞きしたいのは、京都市も常にそういう問題意識を持って、世界遺産保護に取り組んでいると、こういう理解でよろしかったでしょうか。

(→山口・文化財担当部長)はい、お答えします。えー京都におけるその、おー、古都京都の文化財について世界遺産についての件でございますけれども、あの先生おっしゃるようにですね、京都市にある世界遺産につきましては市街地に多くあるということがございますので、当然その開発等も踏まえながらですね、適切に保護としていくと、いうことで、今まで取り組んできたし、えー問題意識を持ってきたと、いうふうに認識しております。

◆やまね/であの、このまあ世界遺産をどう保護していくかっていう時のですね、まあ一つの課題なんですけれども、世界遺産のまあバッファゾーン、緩衝地帯について、お聞きしますけれども、現状このバッファゾーンを直接守る法律がないもとでですね、じゃあそのバッファゾーンというのはどのように守られていくものか。この点はいかがでしょうか。

(→山口・文化財担当部長)はい、えーと、あの、バッファゾーンを守っていく法律でございますけれども、これについては先生おっしゃるように直接的にその、バッファゾーンを保護するための法律というものは今のところないと、我が国にはないと思っています。ただし、えーと我が国においてはですね、えー都市計画法等々の既存の法律ですね、法体系によって、バッファゾーンの開発を複層的にコントロール、いわゆる保全なりをしてきていると、いうふうに考えております。えー特に京都、京都市におきましてはですね、高度地区の見直しによる高さの引き下げであるとか、えー屋外広告物条例による全市的な広告規制の強化、えーそれに加えて、えー眺望景観創生条例による資産、構成資産からの眺望保全や事前協議の制度の創設などですね、えー世界にも類を見ない施策によってですね、バッファゾーンの保全にも努めてきたと、いうところでございます。

◆やまね/まあ今おっしゃっていただいたように、えーバッファゾーンを直接保護する法律がないもとで、えー既存の法律ですね、都市計画法など、あるいは条例など、高さ規制の問題もありましたけれども、そういうもので複層的にコントロールしてきたと。まあこれあのおっしゃる通りだと思うんですね。で、私たちは、そもそも、あの、直接守る法規制が必要だということで思っているわけですけれども、しかし現状はそれがないもとで、いろんな法律や条例で、えー規制がされていると、守られているということだと思うんです。

で、そこでですね、この間問題になってきた仁和寺門前でのホテル計画についても少しお聞きしておきたいと思います。で、この仁和寺門前の地域はですね、「第一種住居地域」であります。本来なら建築基準法上は「旅館業施設は3000㎡まで」しか建てられません。で、もっと言えば、その敷地の中には、「住居専用地域」もあります。「旅館業施設がそもそも禁止されている」地域も含まれていると。で、今おっしゃっていただいたようにですね、バッファゾーンを守るために既存の法律や条例がそういう役割を果たしているということであれば、私はですね、「バッファゾーンの中で建築基準法の規制を大幅に超える5800㎡もの計画に特例許可を出すのはおかしい」ということを、意見するのがですね、私は世界遺産保護に責任を持つ文化市民局の役割じゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

(→山口・文化財担当部長)はい、えー先ほど申し上げましたように、仁和寺の部分におきましてもですね、先ほど申し上げた通りその、様々な法、法整備であるとか、法律であるとか、条令によってですね、え、一定の保存がなされていると、いうことで考えております。先生、先生がおっしゃいましたその、えー今回の計画につきましてはあくまでその、えー都市計画等、建築基準法等の話でございまして、えーなかでの議論ということでございましてですね、今んとこその都市計画局においてその、適切に対応されているものと、考えております。そういうことも考えまして、私どもが今見解を述べる段にはないと、理解しております。

◆やまね/ん-それはですね、世界遺産保護に責任を持つ部局としてはちょっと大変私は残念な今ご答弁だと思うんですね。なぜなら門前にそういうホテルができれば、少なくとも門前から西山のほうへの眺望を遮られるという問題ありますし、えーそれは世界遺産のバッファゾーンに関わる問題ですから、文化市民局として意見を言うと、いうことぐらいはですね、なぜできないのかと、いうふうに思うわけです。

で、あのー2019年12月にですね、おこなわれた地元説明会では、この事業者の共立メンテナンスが、「3000㎡以下では採算が取れない」と、いうふうに発言しているわけですよ。ですから、事業者の採算性という問題から、この世界遺産のバッファゾーンでの建築基準法の特例許可がねらわれているということは、私は大変問題があるというふうに思いますし、まさに世界遺産条約で指摘されているですね、「観光開発事業に起因する減失の危険」そのものじゃないかと、思うんですがいかがでしょうか。

◎国本委員長(公明)/やまね委員に申し上げます。質疑は所管事務調査の範囲から外れないようにお願い致します。

(→山口・文化財担当部長)はい、お答えします。えー先ほど申し上げました通り、バッファゾーンにつきましてはですね、何度も申し上げてますけども、いわゆるその様々な法律、条令によって守られてきていると、いうふうに考えております。えーそれに加えましてその、今回の計画につきましてもですね、私どもとしては、えー例えばその、あくまでその建築、うー都市計画規制による高さ規制に抑えられているということであったりとか、えー仁王門をのぞけばですね、境内からほとんど視認できない状況にあるということも考え、あとその仁王門と、あ、失礼しました、えー仁和寺と結びつきの深い、えー双ヶ岡等の眺望も遮られていないということも踏まえながらですね、問題はないと考えております。

◆やまね/あの今、私は重大なことおっしゃったと思うんですけれども、眺望が遮られていないという、今、見解ですよね。そうであれば、私はですね、何をもって、何を根拠に、そうおっしゃっているのか、ちょっと資料にまとめていただきたいと思います。文化市民局として、このホテルができることで眺望が遮られないと、いう判断をした根拠をお示しいただきたい。これは後ではかっていただきたいと思います。

それであのこれ、仁和寺門前のホテル計画についてはですね、6月25日に、京都弁護士会が、京都市長・建築審査会会長・美観風致審議会会長あてに「意見書」を発表されました。で、結論としては、「建築基準法の特例許可は行うべきではない」と明確に述べられておりまして、これ極めて異例のことだと私は思っています。弁護士会ですから。

で、この意見書ではですね、「世界遺産条約履行のための作業指針」第104項の趣旨に照らして、「世界遺産のバッファゾーン(緩衝地帯)には、資産の完全性・真正性を効果的に保護するために必要な法的規制がなされる必要がある」ということが一つ述べられていると。で、そのうえでですね、バッファゾーンであるホテル計画の敷地部分が、「第一種住居地域や第一種低層住居専用地域であること」、それから「古都保存法の歴史的風土保存区域及び京都市風致地区条例による風致地区仁和寺・龍安寺周辺特別修景地域にも指定されていること」、このことが「必要な規制措置」だということで指摘をされております。

で、私はですね、少なくとも、この今ある規制を超えるようなものは、やはり認めるべきではないと、このこともあらためて指摘をしておきたいと思います。ちょっともう時間がありませんので、次回も引き続き議論をさせていただきたいと。終わります。

◎国本委員長(公明)/先ほどやまね委員から要求のありました「仁和寺門前のホテル建設により眺望が遮られることはないとする資料」については理事者、提出できますか。

(→山口・文化財担当部長)はい、あの、お、お、資料につきましてはですね、検討して提出させていただきたいと思います。

2021年7月6日【文化環境委】文化市民局/一般質問「京都市における世界遺産保護について」

(更新日:2021年07月06日)