巨大化・産業集積・海外展開では京都の中小企業を救えない!市民生活と中小・小規模事業者支援で地域循環型経済の確立こそ必要(2021年2月26日/基本計画審査特別委・総合企画局・やまね)

やまね/よろしくお願いします。えっと私からは京都の経済、産業戦略の問題についてお聞きしたいと思います。で、えーあの「計画の背景」というところでですね、「産業構造の転換」だとか「社会的課題」って言葉が出てくるわけなんですけれども、あのま、もう言うまでもなく、新型コロナの影響で京都でも大変な影響出てると、あーいうことはですね、えー私たちも問題を意識を共有しているところでもあります。で、えー問題はですね、えー実体経済が悪化する一方でですね、今あの株価だけが上昇してると。で、バブル期以来の3万円台を突破するという、ま、そういうことがあって、で、そのもとで今、世界でも日本でも富裕層の資産が空前の規模で拡大をしております。で、これあらためて調べてみてびっくりしたんですけど、世界全体ではですね、資産10億ドル、日本円で1000億円以上の資産を持つビリオネアと言われる方々の資産が、昨年3月の8兆ドルというところから、今年の2月には12.8兆ドルということで、1.5倍増、500兆円以上増えてると。で、日本ではそういう方が42人おられるんですけど、日本ではコロナ禍の11カ月で12.2兆円から24.4兆円に富裕層の、億万長者と言われるような人の資産が増えたということでですね、私はこれ聞いてですね、あの京都でも中小企業や非正規労働者のみなさんをはじめ大変な影響が出てる中でですね、これが経済の健全な姿なんだろうかと、えーいうこと思いますし、で、私はこのことも「社会的課題」の一つじゃないかというふうに思うんですが、この点の認識を一つはお聞かせいただきたいということと。

もう一つはですね、あのー新型コロナで突き付けられたのは、ま、観光にしても、それから、えー原材料調達、サプライチェーンなんかの問題にしてもですね、「海外依存」「外需頼み」でいいのかと、えーリスクがあるんじゃないかということで、これまでの京都経済がどうだったかっていう評価はとりあえず置いといてですね、やはりその海外に依存するようなことではいけないんじゃないか。で、あの、基本計画の中でも言われている「力強い経済基盤」というものを実現するためには、今こそ「地消地産」「地域循環型」、こういう経済をつくることが重要じゃないかと思うんですが、この二点まず認識をお聞かせいただきたいと思います。

(→平野・市長公室・計画調整担当部長)はい、えーまず一点、経済状況への認識ということでございます。えー経済状況への認識につきましては、えー「計画の背景」に記載しているように、今般のコロナウイルス、新型コロナウイルス感染症によりまして、大きな打撃をうけている、ということはまず認識を致しております。

えーまた株価のおたずねがございましたけれども、ま、株価につきましては、えーご指摘の通り、えーと、えー、えーまあ新型コロナウイルス感染症の拡大以降、一時期1万6000円まで落ち込んだものが、えー昨今、えーバブル期最高値を更新するといったことが新聞報道等でなされております。えーこれの背景と致しましては、えー各国のその何と言いますか経済対策でありますとか、あのーすでに始まっております、あのコロナウイルスへのワクチンへの期待、といった部分もあろうかと思います。でまあ一方で現下の経済情勢につきましては、ご指摘いただいた通り、あのー緊急事態宣言等ございまして、飲食業・観光業を中心に非常に厳しい状況にあるということは我々承知しております。で、あのその一方で株高によって富裕層の資産が増えていると、いうこと、それで直接的に富裕層の資産が増になっているかどうかはちょっと承知しないところではございますけれども、ま、株価については一義的にはその何て言うんですか、えー半年先の経済状況が、あの見越したような形で動くという部分もございますので、現行のその株価がその何ですか加熱し過ぎなのかどうかということについては私としては判断しかねるところでございます。しかしながらあの非常に、京都市の99.7%を占めるのが中小企業でございますので、そういったところが非常に厳しい状況にあるということは十分に認識を致してるところでございます。これにつきましてもしっかりと下支えをしていかなければならないということは、あの計画の中でもうたっているところでございます。

えー二点目はその海外依存、海外依存のサプライチェーンがどうなのかということでございます。えー今回の計画におきましても、域内循環ということについてはふれておりますし、えーレジリエンスといいますか、えーと、リスクに強い産業構造への進化ということを図っていかなければならないということについても記載を致しております。以上でございます。

やまね/あのー「直接的に富裕層への資産増につながっているかは承知しない」とのお答えあったんですけれども、これあの、まあ経済対策の話ちょっとされましたけどね、昨年世界各国の中央銀行がですね、コロナ対策として大規模な金融緩和をやっているわけですね。で、その中で、中央銀行が各国の市場に供給したマネー総額740兆円と言われてますよ。それが、そのうちの相当部分がですね、大企業や富裕層の、結局余剰資金になっているということはね、やはりこれはもう疑いのない事実だというふうに思いますし、それからあの、これほんとにね、どうするかっていう、こういう経済の状況の中で京都の経済をどうしていくのかということが問われますので、私は非常に重要な問題だというふうに思っています。

で、あの基本計画のですね、中でもふれられているんですけれども、京都市内企業の99.7%は中小企業ということですよね。で、この中小企業を京都市が徹底して守る立場に立つべきだし、立っていただきたいと、いうふうに思うんです。で、本会議の代表質問でですね、わが党の山本陽子議員が、政府の成長戦略会議委員のデイビッド・アトキンソン氏の発言を紹介しましたけれども、私からも一つ紹介したい発言ございまして、ビジネス誌『プレジデント』のですね2020年5月29日号で、同氏の発言はさらに衝撃的なものであります。「誤解を恐れずに言うと、消えてもらうしかありません。とくに数を減らすべきは小規模事業者」「小規模事業者の中でも中堅企業になろうとしない、慢性的な赤字企業はただの寄生虫ですから、退場してもらったほうがいい。新型コロナの補助金も小規模事業者にはいらない」「無理に生き延びさせれば、日本がアフターコロナで再び立ち上がる時の足を引っ張るだけ。私は不要だと思います」、こういうお話をされてるわけです。私は大変驚きました。京都経済の主役でもあるこの中小企業をですね、「消えてもらうしかない」とか、「寄生虫」だとか、こういう言葉を使っておられるということで、私は中小企業のまち京都市としてですね、こういう立場とは相容れない、SDGsの「誰一人取り残さない」というこの立場からも、こういった発言っていうのはですね、相容れないものだと考えますがいかがでしょうか。

(→平野・市長公室・計画調整担当部長)はい、えーご紹介頂きました発言についてはあの私承知して、承知しておりませんので、その発言についてのコメントについてはしかねる部分でございます。ましてやその一部の発言、発言の全部を聞かなければ、一部だけ聞いただけでは、意図も汲み取れないとも思いますので、それについてはちょっと認識、えー発言は控えさせていただきます。一方でその、えーと「中小企業を切り捨てるのか」ということでございますけれども、え、今回の基本計画におきましては、えー重点戦略におきましても、あるいはその政策の体系の産業・商業の分野におきましても、「地域企業をしっかりと下支えする」「今回のコロナウイルス感染症の影響を踏まえてさらにそれを一層進めていく」っていうことを明確にしておるところでございます。

やまね/まああの「一部だけ聞いただけでは分からない」とおっしゃったんで、もう全部聞いていただいてですね、まあどんなふうな見解持たれるのか、ぜひまたお聞きしたいと思います。

それであの、えー京都市がですね、今国に求めてるのは、あのそういう話じゃないと思うんですよね。アトキンソン氏が言ってるような。これ1月29日付の「指定都市市長会要請」ではですね、「雇用の維持と事業の継続」に関わって、「持続化給付金」あるいは「家賃の負担軽減支援」など、「既存支援策の期間延長、要件緩和、再給付」、これを含めてですね、「より一層充実・強化」を求めておられるんですよね。で、これ私、大事な、とても大事なことだと思うんです。で、自治体としてですね、これ当然の要求だと。ところが、じゃあ政府どうしたか、国どうしてるかって言いますと、持続化給付金や家賃支援給付金を打ち切ったわけですよ。で、その一方、M&A、企業買収、合併、こういうものにはお金出すと、いうことでですね、これまさに財制審やあるいはアトキンソン氏が言った通りの「中小企業の再編・淘汰」の方向に向かおうとしてると。私はこういうやり方はおかしいと思いますし、「中小・小規模事業者への直接支援こそ」今求められてるということをですね、しっかりとこれは国に引き続き求めていただきたいと思います。

で、京都市自身がそしたら、えー今後のですね、京都経済どう考えているのかってことなんですけれども。基本計画の「京都の未来像」の部分にはですね、えー「世界市場をも視野に入れた新たな産業を育成することで地場産業や農林業も活性化し、雇用を創出する」と。「これにより、豊かなくらしと都市の活力を支える力強い経済基盤が確立したまちを目指す」というふうにあるわけですけれども、つまり私これ読んで思ったのは、京都市は、「世界市場を視野に入れた新たな産業」でなければ、地場産業・農林業の活性化、雇用創出、力強い経済基盤につながらないと、いうふうに考えているのかなあと、思ったんですけど、この点はご認識いかがでしょうか。

(→平野・市長公室・計画調整担当部長)はい、えーけして世界市場をのみ、視野に入れた企業でなければならないというふうには思ってはおりません。「世界市場をも視野に入れた」というふうに記載を致しておりますが、あのー基本的にその、伝統産業を含めてその海外に、えー海外拠点、海外に発信をして、新たな市場開拓していくということは重要なことというふうに考えておりますし、それについてはあの大企業に関わらず、中小、えー地域企業においても、そういった海外販売促進というのは考えていくべきことと考えております。けしてべつに海外市場を視野に入れた企業だけを相手にしていると、そういうことではございません。

やまね/あの、「けしてそうではない」と、「海外市場目指している企業だけを見ているわけじゃない」というお話でした。で、先ほどもですね、「地域企業の下支え」というお話があったわけですけれども、ただこの基本計画の「今後の課題」として語られているところ見ますとですね、えーまあ「Society5.0」とか「生産性の向上」とか「国際競争力の強化」とかですね、えー「働き方改革」「産業集積」「事業拡大」「企業誘致」など。で、ま、私、これ見て、つまるところ、京都市が思い描く京都経済の未来はですね、「巨大化・集中化・企業再編・海外志向・企業呼び込み」、ま、結局こういう話じゃないのかなと。で、これまでの京都経済、京都の歴史・文化支えてきた既存の中小企業・小規模事業者を守るってことがですね、本当に考えてられるんだろうか。これでは、今申し上げた中身でいうと、国のですね、中小企業の再編・淘汰を促す立場と同じじゃないかっていうふうに思えてならないんですけど、もう一度お聞きしたいと思いますがどうでしょう。

(→平野・市長公室・計画調整担当部長)はい、えーと、地域企業の方に、しっかりと経営を続けていっていくためには、あの一つにはその労働生産性を上げるということも非常に重要であると考えておりますし、そのための業務の省力化、生産性の向上につきましては、京都市としてもその支援をしていきたい、というふうに考えてございます。

やまね/まああの「生産性の向上」、ま、いろいろ、いろんなやり方、いろんな意味がありますけれども、既存の中小企業・小規模事業者がこれからも続けていけると、いうところを何よりも大事にしているっていう、そのへんはどうですか。

(→平野・市長公室・計画調整担当部長)はい、えーICTの導入等につきましては、けして誰も取り残されることのないようにという視点でも取り組んでまいりたいと考えておりますし、けしてそれ、それに乗ることができない企業が淘汰されれば良いと、いうような思想ではございません。

やまね/そしたらそこに、「淘汰するというようなものではない」ということおっしゃっていただいたのは非常に重要だと思いますけれども、ただですね、これ2021年度の予算案を見てもですね、あのー大変危惧する状況があると私は思っておりまして、まあ詳しくはまた産観局のところで議論はしたいと思っているんですが、あの、商店街、それから伝統産業・中小企業・農林関連の予算はですね、元々少ない予算がこのコロナ禍のもとでさらに減らされていると。で、商店街支援で言うとマイナス580万円、伝統産業関連で言えばマイナス3740万円、中小企業振興対策にいたってはですね1億360万円の減です、融資預託金を除けば。農林関連は一部で増額はありますけれども、全体ではですね、マイナス1812万円という状況であります。

で、一方、増額になっているのは、融資制度預託金除けばですね、スタートアップ・エコシステム推進2920万円、企業立地促進2億9200万円、中小企業デジタル化推進1億5600万円、バーチャル京都館モデル実証事業2000万円、MICE誘致・開催支援3000万円などなどですけれども、これでほんとにこの京都市内の事業者が救えるのかっていうのはね、私大変疑問です。

で、「産業構造の転換」ということがまあ基本計画の中で言われてるんですけれども、私はこの、低層の建物が並んで、文字通り、「空が見える」というか、「まち全体に光が当たる」、この京都の町並み、それから伝統産業・商店街・個人商店・町工場、こういう「職住一体型」の産業構造こそがですね、京都市の都市特性・魅力・景観をつくってきたものであって、私は市民生活の支援とともに、そういう既存の中小・小規模事業者のみなさんを支援して、地域循環型の経済をつくっていくということが、そのことこそが、今必要なことだというふうに思います。で、それ抜きにしてですね、ま、「巨大化」、あるいは「産業集積」、いくらやってもですね、これほんとに京都の経済に未来があるんだろうかということは、あのー言っておきたいというふうに思います。

で、もう一つ、本会議の代表質問で、消費税についてですね、「社会保障財源の安定確保のため」ということとか、「消費税引き下げを国に求めることは考えていない」という答弁ありましたけれども、私冒頭紹介したようなですね、空前の利益をあげて資産を増やしている富裕層や巨大企業にいま課税を求めなくてどうするのかと、いうこともあの言っておきたいと。世界では50ヵ国以上ですでに消費税(付加価値税)の減税実施されておりますし、それから欧米、さらに南米、こういうところでは富裕層への課税が実際に検討され実施もされております。で、そういう中でですね、いま日本で、巨大企業とか超富裕層と言われる人たちの資産だけが増えていくっていうことになればですね、私、国際競争力っていうことを高めるどころか、日本の経済、京都の経済がですね、一歩も二歩もどんどん世界から遅れていくんじゃないかと、このことを危惧しております。

で、京都の話で言えば、「大企業の法人市民税」についてですね、14の政令市が、すでに法廷最高税率の8.4%やってると。京都市は8.2%でこれを8.4%にすれば4.5億円の増収になるじゃないかということも、ま、これさえやってないわけですよね。で、「企業立地促進制度補助金」で言えば、創設以来35億円交付されてますけど、うち資本金1億円以上の大企業が65%持っていってる。さらに資本金50億円超の任天堂と島津製作所の2社だけで4割近く占めております。任天堂と日本電産にいたっては内部留保1兆円超の企業です。そういう資金力・体力のある巨大企業に市民の税金を何億円も投入する必要があるのかというのが、率直な思いでしてね、あのこれ「税率は国が…」云々とかの話だけじゃなくてですね、私は京都市として、空前の儲けをあげている巨大企業や富裕層のみなさんにやっぱり相応の負担やってくださいと、こういう求める姿勢がいるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

(→平野・市長公室・計画調整担当部長)はい、大企業への課税という、課税についてでございます。あのご指摘いただきました通り、あの、えー、国税、法人税につきましては国税でございますので、全体の、国民全体の税体系見据えるなかで国において検討されるべきものと考えてございます。えーご指摘の点は、法人市民税の超過課税かと思いますけれども、すでにまあ制限税率いっぱいではございませんけれども、企業、えー超過課税をお願いしているところでございます。えー今後、今後どのようにしていくかにつきましては、課税自主権の活用を検討する中で、えー検討されるべきものと考えてございます。

やまね/まあぜひね、今後検討していただきたいというふうに思います。

で、もう一つだけ最後申し上げて終わろうと思いますけれども、雇用の問題についても、あの申し上げておきたいと思います。雇用情勢の認識がですね、「計画の背景」のところで少しふれられてまして、「日本の完全失業率は2020年当初時点で2%まで回復していたがコロナで悪化」してるとの認識がまあ示されてますよね。で、これ京都の雇用情勢も同じような書き方になっているわけですけど、ただ、ここではですね、私は「非正規雇用の増大」がですね、格差と貧困を広げてきたことがですね、完全にスルーされちゃってると。で、えー、特に「非正規雇用率が京都市は政令市でワーストレベル」にあることとかですね、「京都市自身が最低賃金ギリギリの労働者を生み出している」と。例えば、上下水道局の民間委託ですね、検針業務の民間委託なんかでは最低賃金ギリギリの募集がされてるとかですね、こういう問題、完全にスルーされてまして、京都市は「非正規雇用の拡大が貧困と格差を広げてきた」というですね、認識がないのかどうか。で、私はこれ「正規雇用の拡大」というのをですね、基本計画の中にしっかりと位置付けていただきたいと思います。

で、これ、出てきてるのは、結局、女性の、男女共同参画のところで「非正規雇用の比率が高い女性がより職を失いやすい」ということでね、そこではあの非正規雇用の不安定さを認めておられるわけです。観光関連産業のところではですね、「正規雇用の拡大」にふれてるわけですけど、これを正規雇用が本当に大事だと考えているんだったら、基本計画の大元のところにしっかりと位置付けてもらいたいということ。

それから、「働き方改革」「多様で柔軟な働き方の促進」などのフレーズも登場しますけど、あくまで「リモートワーク」についての言及です。「長時間労働の是正」とか「ハラスメントの根絶」については言及がありません。で、私はですね、市長自身が発言してきた「ブラック企業を許さない」という、このことも非常に重要だと思ってますので、ぜひこの「労働者保護」「労働者の権利を守る」「ブラック企業は許さない」ということも基本計画の中にしっかり位置づけていただきたい。このことを求めて終わります。以上です。

2021年2月26日【基本計画審査特別委】総合企画局/京都市の経済、産業戦略について

(更新日:2021年02月26日)