世田谷区は社会的検査を実施!京都市も無症状者把握で感染拡大防止を(2021年1月27日/教育福祉委・保健福祉局・とがし議員の質疑文字起こし)

◆とがし議員/今くらた議員からですね、陽性者が1人でも施設から出たら、やはり感染拡大のリスクがあるわけですから、この積極的な疫学調査は着実に取り組んでいただきつつ、まずは早急に、施設の医師とか医療機関の協力を得て、職員・入所者への全員検査を実施するということを、認める仕組みというのを作る必要があると思うんです。先ほど検査の数の問題があったんですけれども、「濃厚接触者の方の検査が1週間待ちになる」というようなことなんかもあるというのは私もお聞きしていて、ただそれはもう古い話で「今はもっと早い」と言われたらいいんですが。

ただ現実には、例えば京都市の10日~16日の市内の検査数で言うと、京都市内の数だけで言いますと、6178件検査をしていると。しかし、17日~23日の週に入りますと感染者の発生してる数自身は減ってないんですけれども、3555件ということで検査の数が1日平均にしたら882から507ということで、減ってしまっているという状況で、当然京都市内分と京都府内分の、機械的にこれが感染者の数と符合するわけではありませんけれども、しかし指標として見た時に、やはり濃厚接触者である方については検査がされない、なかなかされないということは、その濃厚接触者の周りの濃厚接触者のほうに、要は届かないということになりますから、もしその濃厚接触者の方が感染者であるということにもしなった場合にですね、後からさかのぼっても、濃厚接触者の濃厚接触者からは感染が拡大してしまうということになって、私はやはりかえって保健所の皆さん方の追跡調査をより大変にしてしまうんじゃないかというふうに思います。

そういう状態が、介護の現場で言いますと、濃厚接触者の濃厚接触者だという事態というのは、結構頻繁に起こっていて、これ自身がですね、介護の事業所自身にとっても大変な状況になっていて、そういう方が休まれることもあるわけです。こういうことで言うと、医療の崩壊も深刻な危機ですけれども、介護の崩壊も防がなければいけないと、こういうことを考えたときに、やはり先手を打って、疫学調査は私は否定しませんし、大いに、絶対に手放さずやっていただきたいと思いますけれども、同時に検査については、しっかり先手を打って、特に今クラスター感染で深刻なのは介護施設や医療機関ですから、そういうところについては躊躇せず検査をやっていくという決断が今いる時じゃないですか。いかがでしょうか。

(→中谷・医療衛生推進室長)先ほども申しましたけれども、行政検査の目的というのは、感染経路をしっかりと見つけて、それを遮断してことによって、感染の拡大を防止していくというのが基本でございます。我々としてはその検査を、必要な検査をしっかりとやっていく、これに尽きるんだろうなというふうに考えています。以上でございます。

◆とがし議員/現実には今、前の週と比べて4割くらい検査の数が落ち込んでいると。能力はあるけれども、検査はできないという状況になっていて、検査待ちの方がたくさんいらっしゃると。私はそれは皆さん方のところで掌握されているんだと思うんですが、そのことによって市中感染というのが我々の把握していないところで広がり続けるということ自身が、このコロナの収束を遅らせるというふうに思います。

そこで資料、事前にちょっと理事者の方にお配りしましたけど、資料①ということで、世田谷区の取組に関する、社会的検査に関する資料です。見て頂きたいんですけども 前回の委員会では、この世田谷区の取組に関する現状に関しての当局と私の間で大きな隔たりがありましたので、最新のデータも含めまして、世田谷区の10月2日~今年1月24日までの報告資料であります。陽性者が見つかった介護施設等で行う「随時検査」は142施設3534件検査をされて、そのうち陽性者が70人だったと。希望する施設に順次実施されてきた「定期検査」は360施設おこなわれて5413件実施されました。そのうち陽性者は22人と。この定期検査は1月も継続されてまして、その1月の検査の中では3人の感染者を発見し保護して、感染拡大や集団感染を未然に防いでいると。

さらに東京都は、医師が関与しない「スクリーニング検査」という予算を確保して、世田谷区を含めて東京都全体で進めていくことになっていると。これも保健所の負担のかからない形で、工夫が行われていて、当然、疫学調査もやりつつですけれども、やはりくらた議員も言われたように、京都府のほうでは職員に限定しますけれども、介護施設などの検査をやると、職員の検査をやると、方針が打ち出されているわけで、ぜひ京都市でも積極的にやることをこれは求めておきたいというふうに思います。

それでこの関係では私、財源の問題を心配することもあるかと思うんですが、先日の国会の総理大臣の答弁の中ででもですね、「感染拡大地域の医療や介護の施設の従業員や入院・入所者等に対して、実質的に国の費用負担で検査を実施できるようにしております」と言っておりますので、ぜひ京都市でもこれ積極的に、この答弁なんかも受けてですね、具体化を検討していただきたい。いかがですか。

(→中谷・医療衛生推進室長)くり返し申し上げますけれども、私どもは今までの行政検査っていうのをよりしっかりとやっていく。それに尽きるのかなというふうに思っているところでございます。先生その「保健所に対して負担がかかっていない」というふうにおっしゃいましたが、それはウソだと思います。ここで陽性者が出たらどうなるのかってのを考えていただいたら、保健所に対して負担がかかるというのは当たり前の話じゃないかなと思うんですけれども、その辺ちょっと事実の認識をしっかりしていただきたいと思います。

あと、我々の検査をひっ迫をしていてですね、検査ができない状況であるというご認識の中でですね、こういう本来すべきではない、する必要のない検査まで求められるということは、ちょっと論理矛盾があるのかなと思っております。我々はまずしっかりと通常の行政検査というのをやっていく、それによって感染拡大をしっかり抑えていくことを基本にしていきたいというふうに考えております。以上でございます。

◆とがし議員/世田谷区の事例はですね、無症状の感染者、それはほぼ無症状の状態の方を見つけるということで。これを放置しますと症状がありませんから、その中で介護の仕事をする、あるいは介護されると。介護現場というのは本当に密接に、保健所の毎週の週報でも書いてありますけども、接する、接さざるをえない、それこそが介護ですから、そういうことで言いますと、1月4日~10日までで1件1人、 18日~24日で3人、ひっ迫した状況で、当然ここから疫学調査が始まりますから、大変なことは確かですけど、これ放置した場合に集団感染になったらもっと大変な事態になると。いうことで私は、やはり確かにそういう躊躇される議論もあろうかと思いますけれども、しかしより大変な事態を避けるためには、やはりこの検査というのは有効であるというふうに思いますので、ぜひ検討をお願いします。

それで、「従来の疫学調査をしっかりやっていくんだ」というお話でありますけれども、その点でぜひ皆さんのこの間の経験なんかもお聞きしたいんですが、次、資料②ということで、和歌山県の知事さんが昨年の12月28日に公表されたデータで、実際の患者さん37例を調査した結果、陽性者について「発症の3日前から感染させる事例があった」ということを報告されています。それを受けて、和歌山県の保健所の疫学調査の範囲というのが「3日前まで遡る」ということであります。京都市は、原則は政府と同じ「2日前」を基準にしているということでありますけれども、その場合、市の職員が例えば月曜日に発症した場合、その間で土日を挟んで金曜日に出勤した職場については、消毒はされていますけれども、しかしPCR検査の対象にはなっていないという状況があります。

ただ、以前の議論の中で、「周囲に体調が悪い職員がいないか」という確認はされているということで、これは極めて重要なことだというふうに考えますが、ただこれデータとしてこういうものが上がってきているという中で、やはりこの保健所体制の一層の増強というのと一体にですね、私は元々この体制確保の状況を見ながら「潜伏期間考慮した経路を発見するということが必要だ」ということを求めておりますけれども、ただ少なくとも、これ3日前までに拡大するということが必要じゃないかというふうに思うんですけど、この点いかがでしょうか。

(→中谷・医療衛生推進室長)新型コロナウイルス感染症については、当初「感染可能期間というのは発症後」というふうに、通常の感染症と同じように捉えられていましたけれども、感染発症の前から感染可能なウイルスを排出しているということが分かったということでありますので、そうしたエビデンスをもとにして感染可能期間というのが「発症日の2日前」からさかのぼって検査を、調査をするということで一つの線を引いているわけでございます。3日前から感染する例もその中にはきっとあると思います。それで言いますと例えば潜伏期間2週間とおいてますけども、2週間以上おいて発症した例もございますし、それから今の退院基準10日間というふうにしておりますけれども、10日過ぎて他の人に感染した事例がないのかと言えばそれはあるわけでございます。そこはある程度、科学的なエビデンスを積み上げた上での一つの割り切りとしてそれをやってるということでございます。一番可能性の高いところをしっかりと抑えていくという意味で、濃厚接触者であるとか、あるいは感染可能期間というような定義をしているところでございますので、それに従ってやっているというところでございます。で、状況によっては、例えば、濃厚接触者ではないんだけれども周りに体調が悪い人がいれば、これまで聞いた聞き取りや考え方の中では違うルート、あるいは違う形で感染をして広がっていることがあるかもしれないというので、そういうものに対してはしっかり検査もしていると、ある程度幅広にとって検査をしてきているところでございます。

ただ、先ほども「濃厚接触者の濃厚接触者がまた不安になるんだ」とかいう話もありました。それで言っていくと際限なく検査の対象が広がっていくわけでございます。全ての方にそんな検査をするということはできないわけでございますし、安心のために検査をするのではございません。検査そのものは予防にはならない、治療でもない、ということはくり返し申し上げてるところでございます。検査の意義というものをしっかり考えれば、一番確度の高いところで検査をしていくというのが基本でございますので、そうした基準に基づいて、そうしたことを進めていくために、国のほうが疫学調査の要領を作っております。我々はそれに従って現場の状況も勘案しながらしっかりと検査をしていく、そういうことでございます。以上でございます。

◆とがし議員/最後にね「現場の状況勘案しながら検討していく」と言われましたし、この感染拡大の経路については、2日前と言わずその前の可能性、あるいは2週間後さらにその先ということも含めてありうるけど、現状の中で、現状ある支援の中で、今そういう割り切りをしているというお話だったと思うんです。ただこれ本当にね、和歌山県というのは人口10万人当たりの保健師の数というのは35人ということで、ずば抜けて多いという状況があって、京都市よりも多い人数、体制があって、保健所再編にも抵抗されたということでありますけれども、その意味では公衆衛生の体制というのを、これ機会に本格的に強化する必要があるというふうに考えます。で、「濃厚接触者の濃厚接触者を調査せえ」と言ってるんじゃなくて、濃厚接触者で検査されないまま放置され、放置とは言いません、待たされている方がいらっしゃって、その方の検査を速やかにすることで、もしその方が感染者だった場合のその周りのリスクがある方についてのちゃんと検査の手が届くようにしていくと、このことで市中感染を防ぎたいということで求めた次第です。以上です。

2021年1月27日【教育福祉委】保健福祉局/一般質問「新型コロナウイルス感染症対策の強化について」

(更新日:2021年01月27日)