入院・療養「調整中」が京都は約600人。「自宅療養の基準」は?(2021年1月13日/教育福祉委・保健福祉局・くらた議員の質疑文字起こし)

◆くらた議員(共産)/非常に医療体制及び保健所・検査体制のひっ迫、大変懸念している。実は本日午前中、我が党議員団に寄せられた相談、これが今(自民議員の質疑)もあった家庭内感染の実態を表す事例。これに関わってうかがいたい。

どういう状況かというと、59歳男性で「1月5日に医療機関で肺炎の診断を受け、同時にコロナ陽性という判定。『まず自宅待機』という指示を受けた」「当時から40℃前後の熱が現在も続いている。今現時点も入院できていない」「1月9日に自身で救急車を要請し搬送されたが、1時間ほど受け入れ病院がなく、そのまま自宅に帰った」という事例で大変驚いている。

当然、陽性判定受けておられる方だから、保健所から毎日、健康観察チェックが入るわけだが、入院はできないとのこと。しかもこの方は、当事者以外に4人の家族が同居。すでに娘さんは1月10日にコロナ陽性判明。奥さんは全身の倦怠感を訴えている。同時に、当事者と奥さんそれぞれにお母さんがおられて80歳代。高齢者と同居している、こういう事例。

大変危機感を持っている。つまりこれは、「在宅で療養できる人だ」という判断でこうなっているのか、それとも「本来入院されるべきだが入院の受け入れがひっ迫していて未だ入院できていない」という実態なのか。この事実を明らかにする必要があると思うが、これはこういう状況が起こっている、あるいは、コントロールの結果なのか、いかがか。

(→中谷・医療衛生推進室長)個別の症例に関してこの場でお答えするということは、個人情報の関係、プライバシーの関係あるので、差し控えさせていただくが、一般的には、病状等それから生活環境合わせて、我々は京都府の設置している入院コントロールセンターに全てあげている。その中で病床、あるいは療養施設に入るかどうかは判断されて指示をしているというところ。

◆くらた議員/この事例を知る以前に、こういう声を聞いている。軽症から中等症を受け入れる病院。「中等症の方が軽快されればいいが重症化する。本来なら重症者を受け入れる医療機関に転院となるが、重症者用ベッドが埋まってくる中で、重症者用のベッドも一定空けておかなければいけない。当初の基準通りには動いていかない」という声。また逆に「重症者が治療の効果があがり中等症程度に軽快した場合、まだ入院が必要な場合は中等症の方を受け入れる病院に転院させてベッドをお互いに空けていくという取り組みがされるはずだが、今や中等症を受け入れる病院のベッドも日々つまってくる。こうした中で非常に膠着した状況になりつつある」と聞く。

また、消防局に気になり聞いたが、「年末年始の救急車による搬送実績」。発熱と呼吸苦のある患者の病院への受け入れ。患者さんを救急車に乗せ救急指定医療機関に受け入れ照会をする。これが4回以上、すぐさま受け入れができなかった事例、及び救急車の滞在が30分以上あった件数は、国に報告しなければならないことになっているが、「11月現在は一桁だったが、12月28日で15件、1月4日の週は20件」。非常にひっ迫している。また、発熱や呼吸苦のある患者以外の救急受け入れについても、同じように「12月28日で51件。これは通年の1.8倍」「1月4日の週で72件。通例の2.5倍」と。まさに救急医療体制に大変深刻な影響が及んでいることが分かる。

あらためて、12月18日に「新型コロナウイルス感染症重症患者受け入れ医療機関」14病院長が警鐘した実態が、まさにここに進行した形で表れていると認識せざるをえない。これ以上の医療ひっ迫を避けるには、徹底した、感染を押さえ込む上流対策ということしかないと思うが、京都市も日日努力をいただきながら、情報発信いただいている。例えば直近、1月3日から1月9日の新規感染者の状況。「先週の特徴」ということで概況の紹介がされている。「一層厳しい状況にある」「先週は高齢者福祉施設において新たな集団感染が発生したほか、亡くなられた方も引き続き多く~」「感染防止に一層の注意が必要だ」と、警戒を述べている。「年末年始を越えて、やはり帰省や親族の集まりを契機とした家庭内感染が広がるという事例が多く見られた」と。現場の懸命な努力と警鐘を乱打していただいているが、緊急事態宣言の要請をもっと早く行うべきではなかったか。見解はいかがか。

(→中谷・医療衛生推進室長)緊急事態宣言するかしないか、それが早いか遅いかについて、我々評価すべきものは持っていないが、昨年末には病院のほうから、いわゆる「医療崩壊が起こりかねない事態である」と、「だから感染者数をもっと減らしていかなければならない」ことを強くアピールをされているところ。それに先立ち、国の感染症分科会のほうでも、例えば11月下旬からすでに、「勝負の3週間」というようなことも仰られて、「これから急激な感染者の増加が見られる恐れがあるので、それに対してしっかり対策を取っていこう」「社会的距離の確保」「マスクの着用、手洗いの励行」「不要不急の外出をできるだけ避けて」「特に会食で広がっているということがあるので、そうしたものをできるだけリスク下げるような形で取り組んでいってほしい」と強く強く我々としてはアピールしてきた結果がこれ。緊急事態宣言よりも、そういったことをもっとしっかりコミュニケーション取ってみなさんに守っていただくということを、我々はこれからやらなければならない、緊急事態宣言しようがしまいがそれをやって、これから感染をしっかりと抑え込んでいきたいと考えている。

また、年末には、私ここで答弁させていただいた時、「市会の先生の皆様方にも、市民の皆様方に感染を抑えるための行動について一緒に訴えていただきたい」とお願いした。先ほど寺田先生(自民)からも「力合わせてがんばりましょう」というお言葉あったが、市会の皆様とも手を携えて、これから感染拡大防止に向けて、取組をしていきたいと考えている。

◆くらた議員/先ほど安部局長(健康長寿のまち京都推進担当局長)から「入院以外の措置も必要」という答弁あったが、しかし何をおいても医療が必要な患者さんが、医療が受けられるという体制を必ず確保しなければならない。

同時に、市民から保健所体制について心配の声が寄せられている。これも私、相談をうかがったが、「視力障害のある一人暮らし」の方が、「年明けに発熱し、休日診療所を受診」され、「検査の結果コロナ陽性」となった。「タクシーを使わず徒歩で帰宅した」と。しかしこの方は独居で、「その後、買い物にも出かけられないなか、たまたま知人の支援で自宅療養」されたが、支援者から「保健所は毎日、本人に体調確認の連絡等しているとは思うけれども、もう少し個人個人の実情に応じた生活面の支援など、細やかな対応できないのか」と、こういう要請がある。

また、ホテルでの療養を希望された方からは、「京都市の医療衛生企画課は、感染者やその関係者からの連絡を時間内では受け止めてくれるけれども、時間外は京都府庁のコールセンターにつながる仕組み。しかし継続してフォローする体制にならないのだろうか」という声。「療養先のホテルには事務職員が中間は2人。看護師は24時間体制で待機していただいているが、入所案内から食事等の段取り、細やかな生活面での支援など、やはりスタッフの確保をもっと充実するべきではないか」という、切実たる、経験者、体験者からの要望である。

ぜひ、不安の大きい感染者に寄り添ったケアを求める市民の声に応える努力を。今これ以上できない努力をみなさんの中ではしていただいていると思うが、新聞報道によると「市保健所体制を66人から84人に増強すると決めた」と言われるが、これは従来の庁内での応援体制の枠組みにとどまっているのではないか。保健師や事務職員の純増をやっぱり図らなければ、先ほどもあったワクチン接種準備、これだけでも専門的な力量を要する膨大な作業が必要になる。自宅療養の方々の不安の声が日日高まっている。あらためて教えてほしい。「自宅療養の判断基準」は。

(→中谷・医療衛生推進室長)先ほども申し上げたが、基本的に、陽性であれば、前の取り扱いとしては全て入院ということになっていた。軽症又は無症状の方は入院に代わって療養施設に入ることも可、あるいは自宅療養も可ということになった。そういった色分けをするのは、京都府下においては京都府の設置している入院コントロールセンターで、我々が報告した患者情報に基づいて整理されているということ。

◆くらた議員/冒頭に申し上げた、40℃前後の発熱が続いて、ご本人が何とか入院できないかと思われる方が入院できていない、この事実は大変深刻だ。「京都府のコントロールセンターでコントロールされるもの」ということだが、市民の命が関わる、本当に予断を許さない状況に今あると考えている。

同時に検査体制についても、「濃厚接触者であることが確定した後、PCR検査の検体採取までに2週間を要する状況、日数かかりすぎるんじゃないか」という市民の声。現在1日当たりのPCR検査件数の最大の許容量は何件か。できるだけ速やかに検査が行えるよう、衛生環境研究所の検査体制も強化する、最低限これはお願いしたい。

最後に資料請求する。「入院等の調整中」の数が京都府域で約600というデータの紹介があるが、調整の手順と所要時間の目安はどうなのか。これは資料で提出願いたい。以上、お答えをいただいて終わりたい。

(→中谷・医療衛生推進室長)検査については、必要な体制というのは一定整備してきているが、最近の検査数の増を踏まえ、我々、衛生環境研究所のほうでもしっかりと検査ができるようにと、今まで従事していなかった職員も検査ができるようなトレーニングもやりながら、体制強化してきているところ。検査のタイミングは色々なものがある。適切なところで必要な検査ができるようにというのは我々しっかりやってきている。検査の種類、それからその方の置かれている環境とかもあって、検査のタイミングが後ろになるということもあるが、必要な検査は必要なタイミングでしっかりできるように、これまでできているし、これからもそれは守っていきたいと考えている。

資料については、先ほどからずっと申しているが、京都府のほうでコントロールされているということなので、それについて我々として資料というのをお出しするということはできかねるので、ご了承いただきたい。

◆くらた議員/しかし、入院か、あるいは療養ホテルか、あるいは自宅か、その「調整中」という数がこれだけ増えている。それは当然、自宅にいらっしゃる現時点での実態がある(桜井委員長/くらた委員、時間が来ておりますので手短に…)。「私どもで出せない」と仰るが、市民が「どういうことになっているのか知りたい」ということなので、これは答えていただく努力をお願いする。

◎桜井委員長(自民)/資料については、理事者、提出できないということですかね…。はい、そこはじゃあ個人資料として調整ください。お願いします。

2021年1月13日【教育福祉委】保健福祉局/一般質問「保健所と衛生環境研究所の体制強化について」

(更新日:2021年01月13日)