◆やまね/私からは観光問題についてあらためてお聞きしたいと思います。で、まず端的にうかがいますけれども、京都市においてですね、宿泊施設はすでに過剰供給となっているのではないかと。その認識があるのかないのか。まずご答弁いただきたいと思います。
(→岡田・副市長)はい、えー宿泊施設の数、ま、部屋数というふうに理解をさしていただきますと、あのーやはり、部屋数、あるいは施設の数っていうのは、需給によって、変わってまいります。ですから、それから施設の質とかですね、だから一概に本当は数だけで足りてる足りてないというのは非常に申し上げにくい、と思います。ただ、この間市会でも申し上げてます通り、私どもとしてはあえてそれでも数を申し上げれば、数ということについては基本的には満たされていると、いうふうに考えております。
◆やまね/あのー数で言えば基本的には満たされていると言うことなんですが、この間ですね、あのー京都市内中心部であるとか、京都駅の周辺に集中しているということもくり返し答弁でおっしゃられたんですけれども、その地域については過剰になっているというご認識はないんでしょうか。
(→岡田・副市長)えーその点につきましてはこれまでもご答弁申し上げてますように、えー宿泊施設の数、総数としては、基本的には満たされていると考えておりますけど、偏在の問題、これは京都駅周辺でありますとか、中心部、これは過剰と言える状況が起きているというのも事実でございます。それともう一つは、やはりそこに集中するが余り、えー市内の広い地域に渡ってバランス良く配置されているかということは課題だというふうに思っております。
◆やまね/あの今、「偏在している」と、「その地域においては過剰という状況が生まれていることも事実だ」ということをおっしゃいました。非常に重要なご認識を示されたというふうに思います。
で、あのーあらためてですね、宿泊施設の激増によって何が起こってきたかと。で、騒音被害で引っ越さざるをえなくなった住民の方も少なくありませんし、ホテル建設のためにアパートから追い出された高齢者の方もおられます。地価高騰で家賃が払えなくなり廃業された方もおられると。コロナ以前から宿泊施設の料金は大きく低下をしてきました。で、いま市民のみなさんはですね、誰でも「ホテルをつくりすぎなんじゃないか」と思っておられる方、本当にたくさんおられると思います。あらためてですね、京都経済の現状認識として、これ非常に重要な問題だと、いうことをまず申し上げておきたいと思います。
それで、産業観光局資料でもですね、今年3月末時点で、ホテル・旅館、それから簡易宿所の総施設数は3993と、総客室数が53471ということでした。しかも、今年9月以降で見ればですね、開業予定の主な宿泊施設が、100室以上のものだけで28施設5608室あるということで、えー近々、この客室数が6万室になる見込みであるということです。で、これはですね、2016年の「宿泊施設拡充・誘致方針」で京都市が示した数字「2020年に客室数4万室」ということを示されてきたわけですが、これと比べてもですね、私は「満たされている」どころか、もう溢れている状態だと、いうことが言えると思います。
で、我々はですね、早くから、住環境を守る立場から、国内外の都市ですでに実施されている施策。例えば「施設内への管理者常駐」であるとか、「路地奥・細街路・住宅密集地での立地規制」であるとか、あるいは「周辺住民のみなさんとの合意義務付け」などをですね、これ提案してきました。そのことによって宿泊施設の総量をですね、何とかコントロールできないんだろうか、ま、こういうことを求めてきたわけですけども、ま、京都市としてはそういう施策、とってこられませんでした。
で、その中で、住宅密集地に簡易宿所が乱立すると、いうことも起こってきましたし、で、それだけじゃなくてですね、京都市が自ら学校跡地に京都外から次々とホテルを誘致されてきたと、いう問題もあります。で、「京都駅周辺に集中」っていうことを言いながらですね、元植柳小の跡地にもホテルを誘致していると。しかも市が事業者と契約結んだのはこの夏の話であります。で、そういうもとで、私は、昔ながらの旅館はですね、稼働率調査も結局この間、なかなか行われないまま、いっそう厳しい競争にさらされていると、いうこと考えればですね、京都市が進めてきたこの宿泊施設の「拡充・誘致」が、昔からがんばってこられた京都の旅館、まさに民業を圧迫をして、そして「民泊バブル」「京町家バブル」とも言われる投機行為を生みだし、京都経済の形もゆがめてしまっているんじゃないかと、思いますが、この点はご認識いかがでしょうか。
(→岡田・副市長)はい、あのー本市の宿泊施設の「拡充・誘致方針」、よくその「見込み」としてお示しをした数のところがクローズアップされ、そこだけを論じられるんですけれども、終始一貫してこの宿泊拡充・誘致方針にも書かれてますけども、私どもが求めている宿泊施設っていうものは、あくまでも「質」であります。で、その中で、地域や市民生活との調和を図る、あるいは、市民と観光客の安心・安全を確保する、あるいは、多彩で魅力のある宿泊施設を拡充する、そして、地域の活性化に繋げる等々、5つの大きな柱っていうのはこれはもう冒頭に明記をしております。ですから私どもはそういった宿泊施設を京都市域の幅広い地域に、あくまでもそういった素晴らしい質の宿泊施設を誘致するという考えで進めてきております。ですからそれはかねてから、それからこれからも一貫した方針でございます。
◆やまね/いまですね、「見込みとして示した数字をクローズアップされている」とおっしゃったんですけども、そうじゃないんですよ。これあの宿泊施設の「拡充・誘致」というのは一貫した京都市の方針じゃないですか。で、これ、あのーこの間のですね、京都市の「観光振興計画」とか、あるいは「宿泊施設拡充・誘致方針」見ればですね、その大前提となっているのは、「増え続ける外国人観光客をいかに受け入れるか」と、これがもう一貫して貫かれております。で、いまおっしゃった「宿泊施設拡充・誘致方針」何と書いてあるか。「国際観光客数が増加傾向にある」と、そして「国の目標が上方修正された」。これは「2030年に6000万人の訪日観光客を誘致する」という目標です。だから「増加が見込まれる外国人観光客への対応を進める必要がある」んだということで、「2020年に約4万室」という数字がね、示されてるわけです。しかし、新型コロナでオリンピックも延期になる。いま突きつけられているのはですね、この「外国人観光客が増え続ける」ということが前提となったですね、観光政策、経済政策というのは、この先通用しないんじゃないかと、いうことだと思うんですが、いかがでしょうか。
(→岡田・副市長)えーくり返しになりますけども、えー宿泊誘致方針に示したのは見込みと言うことで当時の情勢を分析して、数で言えばこれぐらいの数が見込まれるということを示したわけでして、私どもの目標として設定したものではありません。そのうえで、先ほど申し上げましたように、同じ宿泊施設拡充・誘致方針の中で、先ほど申し上げました5点の「質」、これを大前提に求めると。そして、その同じ方針の中には、「京都の旅館を盛り立てていく、活性化を図る」、そして質を求めるために「民泊対策」なども合わせてきっちりと記載をさしていただいてますので、えー数の目標を設定してそれに向かって、えー何でもいいからとにかく数を増やせと、いう方針でやってきたということではございません。
◆やまね/あのー「目標ではない」と、しかし「拡充・誘致」はされてきたわけでですね、あの非常に無責任なご答弁だというふうに思います。
で、いまあの「観光立国」路線そのものがですね、大きく問われているということも指摘をしておきたいと思います。代表質問でですね、市長は「インバウンドの消費額は観光客全体の約3割を占め、京都経済に与える影響は大きい」と、いうことを答弁されましたで、えーただですね、これは九州大学教授の施光恒(せ・てるひさ)さんという方が、産経新聞8月25日付で指摘をされておりまして、「観光立国路線の見直しを」ということを提起をされております。非常に重要な中身だと思いますので少し紹介をしたいと思うんですが、「非正規雇用も増え、生活の不安定化に悩む人々も増加した。経済的見通しが立たないため晩婚化や少子化も止まらない。このような要因から国内需要が減り、デフレ不況に陥った。そこで手っ取り早く経済を回そうと頼ったのが、外国人観光客を大量に呼び込み、彼らの需要で凌ごうとする『観光立国戦略』にほかならない」「だが、内需が細り外需に依存する経済は、コロナ禍のような有事には非常に弱い。多数の一般庶民を豊かにし、内需中心で経済を回す強靭な国づくりへと方針を転換する必要がある」、こういうご指摘でして、私も非常に重要だというふうに思いました。
それから、えー京都市のですね、次期「観光振興計画」策定に向けた「観光振興審議会」が、第1回が8月6日に行われているわけですけれども、私も議事録を読ませていただいたんですが、非常に重要な指摘がこの中でもされていると思っています。例えば、「インバウンドが蒸発したような状態になり、街中は静けさを取り戻した。インバウンドの功罪を経験した市民たちは厳しい目で自分事として観光を見ている。成長一本槍の観光計画を突き付けても全く評価されない。これまで以上に市民に寄り添い地域に寄り添った観光政策が求められている」、ま、こういうご意見がありました。さらに、「観光という点から見ても主人公はその土地の人々である。大事なのは地域の人々が暮らしやすい街にしていくことであり、それが来ていただきたい空間を作ることになる」、こういうご意見もありました。それから、「現在上がっているのは顧客視点の数値しかない。企業でいう売上至上主義に近い」「アメリカでは株主至上主義ではだめという話も出ている。観光庁も観光客の視点のみで、『住んでよし』の視点が形成されない。これは改められるべきである」こんなご指摘があってですね、私も非常に重要だと思って読みましたけれども、あのこの間申し上げてきましたように、「観光」というのはですね、外からホテルや観光客を呼び込んできたら成り立つものではないというふうに私は思っています。で、やはり住み続けられる住環境、あるいは歴史的な景観、文化財、地場産業を守ってこそと、いうことをあらためて申し上げておきたいと思います。
それで最後にですね、住環境を守るという問題について、お聞きしたいと思いますけれども。あのー代表質問の際に、私地元の伏見区深草祓川町でレ・コネクションという事業者が、住民のみなさんとトラブルをくり返している問題を指摘をしました。で、市長の認識うかがったわけですけれども、具体的な言及はありませんでしたので、そこでもう一度お聞きしたいと思います。「火災や地震発生時の危機管理、コロナ禍における感染症対策について説明を求めても無回答」であると、それから「説明会では事業者が笑みを浮かべながら『その質問に答える意味あります?』と住民をバカにした態度を取る」、これ私、目の前で見ました。私参加していた説明会でそういうことありました。それから「住民側は工事について物理的な妨害行為を一切していないにもかかわらず損害賠償請求をちらつかせる脅しめいた文書を送りつけてくる」、さらに「住民の私有地を勝手に工事車両が通り器物破損が発生する」、こういった事例が相次いでおります。で、住民がですね、恐怖を感じるようなこういった行為をですね、京都市はよしとするのか、このことがいま問われております。違法民泊対策や地区計画あるいは建築協定など、これまでの市全体の取組についてはもうあのたくさんお答えいただいておりますので、そのことについては答えてもらわなくて結構です。あの私がお聞きしたいのはですね、こういった事業者による脅しに近い行為であるとか、器物破損などの行為について、あのー市長・副市長、みなさんどう思われるのか。いかがですか。
(→岡田・副市長)すみません、あの先程「無責任な答弁だ」というご指摘をいただいたので一言言わせていただきますと、えー私どもは、先ほど申し上げたようにこの間も、あの「質の向上を」ということに全力で取り組んでおります。構想段階から地域へ事前説明をしていただくという取り組みの進めでありますとか、あるいは、一般客の室内まで踏み込んだバリアフリーを設定するとか、そういう手続きを進めておりますし、また、良い取り組みをされたところについては、広く知っていただくための表彰をさせていただくとかですね、さらには、地域で主体的に地区計画を策定してカプセルホテル等を建てられないようにすると、そういった取り組みも全力で支援すると、いうことで、終始一貫そういう取り組み、質の向上に向けての取り組みをさせていただいております。そして、インバウンドのみに頼る、インバウンドだけを大事にするという方針も全く取っておりませんので、国内客の方が83%京都には来ていただいているので、あくまでも私どもは、日本のお客様、これはこれからもずっと大事に大切にしていきたいという考えでおります。
(→村上・副市長)はい、あのー本会議のほうではですね、えー代表質問のほうであのー旅館の新規開業に当たってはですね、法令に適合している限りは恣意的には不許可には出来ないというようなご答弁だったんですけども、あの、ま、ご指摘のその具体的な簡易宿所計画につきましてはですね、これはあのそもそもこの説明会は、京都市が独自に設けた、えー住民のためのルール、これに基づいてあの開かれているものでございます。で、その中でのあのやり取りについてなんですけれども、え、この同じ事業者がですね、京都市内で、えー他にもですね、ホテルあるいは、えー宿泊施設をですね、他にもあの、開業してるわけですけれども、えーすでに開業しているところから今のところあのトラブルといったものは聞いてないと、いうことも背景に、あのしっかりとこのやり取りのほうも検証さしていただきながらですね、地域へのアドバイザーの派遣でありますとか、それから事業者への指導を通じまして、最終的にはあの地域と合意のできた、えー、まあスムーズな、あの開業ができるようにと、いうようにあの指導を徹底してまいりたいと思っております。
◆やまね/あのー私ね、他の地域でこの事業者が何やってるかなんてことはまあ一切聞いてないわけであります。で、いま私、もう一度お聞きしますけれども、あのー住民がですね、工事を物理的に何か妨害したということは一切ないわけですよ。それにも関わらず、損害賠償請求をちらつかせてですね、あのー財産のことを心配させるようなですね、脅しめいた文書を送りつけてくると。で、しかも、私有地を勝手に工事車両が通って器物破損が発生する、これ事実です全部。これについて、どう思うのかということを聞いているんですが、いかがですか。
(→村上・副市長)えーそのようなあのー損害賠償をですね、そういうことを内容とした文書を送付したという事実、えー顧問弁護士のほうからそういうものをあの送付したという事実は確認しております。それについて次回の説明会において事業者側からあの謝罪があったと、いうようなこともあの把握しているところでございます。
◆やまね/あの事業者が謝罪したどうこうじゃなくて、京都市が、こういう行為をですね、どう思うのかと。いやもうやってもらったら構わないと言うのか、それともこんなことは許されないんだと思っているのか、どっちなんですかと聞いています。
(→村上・副市長)はいあの、こういうことにつきましてはですね、あの誠意を持って対応するようにということで、えっと指導をくり返し、またあの、運営後もですね、えーしっかりとあの監査も行いですね、不備があればあの撤退していただくようなことも視野に、しっかりと指導してまいりたいというふうに思っております。
◆やまね/まあ市長はですね、この間ずっとですね、「市民生活と調和しない施設はお断り」ということを言っておられると。ですからやはりね、毅然とした態度をですね、こういった事業者には取っていただかなければならないと。でなければ、市民のみなさん住民のみなさんからすればですね、京都市は結局事業者の言いなりなのか、一緒なのかと、こういうふうに見られるということを指摘しておきたいというふうに思います。
で、あのー先ほども、いろいろ地区計画のお話だとか、いろんな取り組みの話もあったんですけれども、どんなにですね、これまでの取り組みを説明されてもですね、こういうトラブルが起こっているということは、私はこれまでの取り組みや現在の条例では限界があると、いうことだというふうに思います。「市民生活との調和」あるいは「住んでよし、訪れてよし」の京都市にするためにはですね、今こそ私は住環境を守るルールづくりこそ、そして条例改正こそ必要だと、いうことも最後に申し上げておきたいというふうに思います。
特にですね、あのー施設内に管理人が常駐するかどうか、これは決定的だということを申し上げたいと思います。施設内に管理人が常駐しなければ、火災や旅行者の体調急変時などの対応が遅れる。これは否めない事実だと思います。で、これ、ある簡易宿所事業者の方がこんなふうに言われてました。「火災の危険を考えれば、住宅密集地にある木造の京町家にこそ管理人が常駐しないとおかしい」と、こういうこと言われてるわけですよ。で、先日はですね、京都市内の管理人が常駐しない宿泊施設で、人の目が届かないということでですね、犯罪の拠点にされたという新聞報道もあったばかりであります。
私はやはり今こそ全ての宿泊施設に「施設内の管理者常駐」を義務付ける、あるいはですね、「住宅密集地や細街路には立地規制を行っていく」、こういう住環境を守るルールをつくっていくこと。そして、「周辺住民との合意」もですね、努力義務ではなくて、こういうものはきっちり義務づけていく、このことも重要だと思いますし、そして何より、市民生活に軸足を置いた観光政策への転換が求められていると、このことをあらためて、重ねて指摘をして終わりたいと思います。
(→村上・副市長)はい、あのこれは、あの本市において、法の限界まで、えー、ま、挑戦し、市会でもしっかりとご議論いただいたルールに基づいて運営しているものでございます。以上でございます。
2020年10月16日【決算特別委】市長総括質疑/観光問題について
(更新日:2020年10月16日)