◆やまね/あらためて仁和寺門前のホテル計画についてお聞きします。で、今日はですね、私はあの、少し大きな視点からうかがいたいと思ってまして、えー世界遺産周辺における経済活動をどう考えるのかということで、ぜひご見解聞かせていただきたいんですけれども、世界遺産条約の第11条には、「危険にさらされている世界遺産」について書かれてあります。そこでは、戦争や災害だけではなくて、「大規模な公共事業もしくは民間事業又は急激な都市開発事業もしくは観光開発事業に起因する減失の危険」について、書かれてありますけれども。そして、えー2012年ですね、「世界遺産条約採択40周年(記念)最終会合」というのがこの京都で開かれました。で、その時に国際社会が合意した「京都ビジョン」というものの中にですね、「世界遺産保護のためには、地域社会と先住民を含むコミュニティが重要な役割を果たしている」と、いうふうにあるわけですけれども、この世界遺産を守っていくうえで、地域社会、コミュニティの参加が重要だと、位置づけられている点について、あらためて産業観光局としてはどのように考えているか、考えをお聞かせいただきたいと思います。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)はいえーと仁和寺門前ホテル計画という観点からですね、その事業という観点から、えーお答えさしていただきます。あのー京都市におきましてはですね、ご案内の通りですけれども、平成28年10月、うーですけれども、「宿泊施設拡充・誘致方針」策定致しまして、えー「地域や市民生活との調和」「市民と観光客の安全安心の確保」、えー「多様で魅力ある宿泊施設の拡充」、あと「地域の活性化」である、「日本の文化・心の継承」、この5つの柱、あーでですね、宿泊施設の拡充誘致を図ると、いうふうにあのしてきたところでございます。で、えー今回その仁和寺門前ホテルの件ということで、ここはあの「上質宿泊制度」、えー使っておるところですけれども、えーこの制度につきましては、宿泊施設の立地が制限されているところ、におきまして、えー地域の魅力を生かした、あー宿泊施設、これを、えー開業しようとする事業者ですね、えーことの関係でですね、えー地域住民と橋渡ししながら、地域の調和を大前提としてですね、えー地域にとってもより良い宿泊施設計画、えーする、支援するものでございます。仁和寺門前ホテル計画につきましても、この考え方に則ってですね、市民生活も調和しながら、進めているところでございます。
◆やまね/あのーちょっとあの回答がズレているといいますかね、私お聞きしたのはですね、世界遺産を守るうえで、地域社会、コミュニティがそれに参加していくと、いうことが重要だというふうに、世界遺産条約の京都ビジョンの中では書かれている、これについてどう受け止めているかってことをお聞きしているんですけどいかがでしょうか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)それについては、地域コミュニティと連携しながら進めていくことは重要であるというふうに考えてます。
◆やまね/あのー「それは重要だ」と、いうことでお聞きしました。そこでですね、具体的にお聞きしたいんですが、仁和寺門前のこのホテル計画について、8月の25日頃、えー事業者側がですね、こういうあの書面を、えー周辺地域に入れております。どういうものかと言いますと、「ホテル計画に関する意見照会」と題する文書ですね、えー配ってるんですが、文書には、この文書の中にはですね、「本資料の投函範囲」として、「宇多野北ノ院町(全域)、宇多野馬場町(全域)、宇多野柴橋町(線路以北)、御室柴橋町(線路以北)、御室小松野町(線路以北)」というふうにありまして、で、「エリアにお住まいの方以外の御意見等はお断りいたします」というふうにあります。私大変驚きました。市民のみなさんはもちろんですけれども、この周辺地域の方々の声でさえもですね、このエリアのちょっとでも外れた方の声は、一切受け付けないと、ちょっと異常な感じが致しますが、これは、この文書はですね、京都市がアドバイスをして、えー作って配布をされたんでしょうか。これ京都市も同じ立場なのかどうか。いかがでしょう。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)はいえーっと先ほど申し上げた通りですね、あのこの、えー仁和寺門前ホテル計画については、あの橋渡しをですね、事業者に対してしながらですね、京都市としてもあの進めておるところではございますけれども、この資料自体はですねあの、ご案内の通りそこに書いてるところだと思いますけれども、おー共立メンテナンス以下、というところでですね、えー作られたものと、いうふうに、いうあの、承知しております。であの、このー件につきましては、あの以前もですねあのー理事者から答弁させていただいたところかと思いますけれども、おー上質宿泊制度のですね、制度の要綱におきまして、えー100m以内を目安にですね、そういう住民組織と、協議のうえ、決定すると、定められておりまして、それに基づいてですね、今回その100m、うー以下、圏内、ということで対象にしているところでございまして、この制度に則ってですね、手続きとして進めているというところでございます。
◆やまね/えっとそうするとですね、この文書には、「エリアにお住まいの方以外の御意見等はお断りいたします」と、あるんです。これ、京都市もそうですか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)あのくり返しになりますけれども、あの以前も答弁さしていただいているところですけれども、この要綱に則ってですね、手続きを進めているところで、えーございまして今回その100m以内を圏内をですね、対象にですね、今回の、そのポスティングについても、おーしていると、いうふうにあのおー認識しております。
◆やまね/あのちょっと質問に答えていただきたいんですけどね、「エリアにお住まいの方以外の御意見等はお断りいたします」と書いてあるんです。京都市もこの立場ですかということをお聞きしています。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)すみませんあのくり返しになりますけれども、この制度の要綱に基づいて進めておりますので、これはあの事業者があの進めておるところですけれども、おーこの市としてどうこ、それをどう判断するかにつきましては、その現在ポスティングによるですね、その、おー集計中ということでございまして、計画もまだ出てきていないというところですので、その、おー判断ていうのを、は、あの今すべきじゃないと、いうふうに考えております。
◆やまね/まあ非常に無責任な話だと私は思うんですよね。あのーこれ仁和寺門前のホテル計画が実行されればですね、仁王門階段下からの西山への眺望は当然遮られますし、沿道からの双ヶ岡への景観も奪われると。で、昨年12月の説明会も対象をかなり限定されたわけですけれども、仁和寺を、これ訪れるのはですね、当然周辺100m以内のお話今されましたけれども、周辺の方だけじゃないですよね世界遺産ですから。文字通り世界遺産ですから、観光客の方々を含めたくさんの方がこの場所を訪れると。で、だからこそ、この御室宇多野学区近隣の住民のみなさん500人近い方がですね、「広く説明会を開いてください」と、これまでもおっしゃられてきましたし、「世界遺産の前に大きなホテルを建てないでほしい」という5000人を超える人々の署名が、声が寄せられたと、いうことであります。で、私はやはり世界遺産についての重みを、そういうふうにして市民のみなさんは感じておられると。京都市はそうじゃないんだろうかと、今の答弁を聞いていて、えー思うわけです。あらためてですね、産業観光局としては、これは例えばですよ、この経済活動のために、西山やあるいは双ヶ岡の、この眺望が、なくなっちゃってもいいと、いうふうに思っておられるんですか。いかがでしょうか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)はいえっと、このなぜ100mにしたかというところなんですけれども、この上質宿泊制度についてはですね、計画の、おー初期段階からですね、あの住民の意見、これを踏まえて検討していくものでございますけど、これなぜかと言いますと、この制度の後に用意されている建築基準法のですね、手続きにおいて、意見聴取を行う範囲として、考えられている最大の範囲である100mの範囲をですね、えー合意形成と、いう、うー前提でですね、図る対象としておるところでございます。でこの、おー建築基準法の用途手続きにつきましては、公開による意見の聴取による、うー範囲についてですね、まあ国の見解としても、おー敷地の外周およそですね、50m、モノによっては100mですけれども、おーこの範囲内に、土地、いー、物件をですね、所有する者と考え方を示されており、ま、これに則ってですね、あのー本市としてもですね、100mの範囲と、いうふうにしたところでございます。
◆やまね/あのまあ世界遺産についてのですね、広範な範囲の、いろんなみなさんの御意見に耳を傾けずにですね、目の前に大きなホテルをつくると、そういうことをしていてですね、歴史都市と言えるんだろうかってことを本当に思います。あらためて、コロナで、しかも観光インバウンドがですね、こういう頼る観光政策も完全破たんした今、これを強引に進めるようなことがあってはならないと、あらためて指摘をして終わります。
***関連質問***
◆山本陽子議員/続きで質問させていただきたい。先ほども「事業者の方から周辺住民の皆さんに意見照会の文書が配られた」という話があったが、地域の方々に聞けば、(昨年)12月の説明会の際、複数の方からこの建設への問題が指摘され、反対される方の意見が複数出されたので、「もうこの計画はなくなったと思っていた」「京都市はこのホテル建設そんなにやりたいのか」という意見もある。今回、そういった住民説明会が行われた後に、意見照会で個々に確認するということは、これが「合意形成」の判断の資料として、事業者の方の報告だけでは客観性が担保されるのか大きな疑問がある。合意形成の客観性の担保はどのようにされるのか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)これも以前に私、山本委員に答弁させていただいてたと思うが、これまでの説明会等々含め、地域住民と事業者との協議、意見調整については、可能な限り我々観光MICEも同席しており、事実関係を確認している。そのうえで、事業者から提出される、まだ出てきていないが、「合意形成状況報告書」については、上質宿泊制度のなかで有識者会議にも内容を確認することとしている。そのうえで「報告書のみで確認が難しい」という場合は、別途、「地域の代表等に状況を確認する」、これも想定しているところ。このような形で合意形成を確認したい。
◆山本陽子議員/報告書以外で言われたのは、この間の同席している説明会の状況、あとは別途地域の代表に確認するという2点言われた。ただ、地域の方に聞いてみれば、「この意見照会は返答する必要があるとは思ってなかった」「ただこのチラシを入れられたと思っていた」「これが合意形成の判断資料になるとは思わなかった」「事業者の方にうちの意見がもし分かったら、反対したとなればどんなことになるか分からないので、返答しないでおこうか」とか、様々なご意見が実はある。ということからすれば、事業者に届いた住民のみなさんの意見照会の資料だけでは、私は客観的な住民のみなさんの思いは判断できないと思っている。今言われた2点以外でも、必要な資料があれば判断材料にされるということでよいか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)今回の仁和寺門前のホテル計画、ポスティングの結果についてはまだ事業者において集計・取りまとめをおこなっているところ。この点、状況的に言うと、段階的には「計画案の検討中」というフェーズ。事業者からは、上質計画も、合意形成の計画書もまだ出てきていないところなので、現在その判断をするという時点ではないと考えている。
◆山本陽子議員/これだけは確認したいが、この判断が、建築基準法の審査の「住環境を害する恐れがない」という判断材料にされるということだと思うので、公正な合意形成の判断が必要だ。そういうことからすれば、報告書と地域代表のご意見以外にも参考にされる可能性はあるということでよいか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)今回の上質制度と建築基準法の制度との関係で言うと、有識者会議を経たうえで、地域の調和を大前提としたうえで、地域課題の解決に寄与するという、我々の制度(上質宿泊誘致制度)の一方、他部局の案件ではあるが、建築審査会において、建築基準法の用途許可にあたって、周辺の住環境の支障のない計画となっているか、その観点から審査するものであるし、さらには美観風致審議会において、風致の維持に支障がないか専門的なところから審議するもので、これは制度目的が異なるので、必ずしも、この上質宿泊制度が選定されたからといって、その後の建築基準法の審査が通るとは必ずしも限らないと考えている。
◆山本陽子議員/そういう理由を言われるが、もしエリアの住民の方が、「この建設計画に合意しない」という資料が出てきたら、公正な判断としてその事情は斟酌すべきである。それをもし無視するようであれば、京都市は公正な判断をしなかったと市民的には見える。ぜひそういう判断を検討していただきたい。
2点目、「このコロナ禍の中で建設を急ぐのか」「インバウンドの復活は不透明で、経営困難になる可能性が高いことが想定されるのに、なぜ建設を急ぐのか」と思う。巷では「事業者の資金投資の回収が全面にあるのでは」「事業者はホテルを建てたその後で売り抜けよう、それで資金回収しようと考えているのでは」という憶測も飛んでいる。そういうことからすれば、「上質宿泊施設誘致制度」で京都市がここまでお膳立てして、橋渡しして、選定したとして、事業者が継続して事業を運営するということは拘束されないのか。この点どうか。
(→北川・観光MICE戦略担当部長)上質宿泊制度では、選定を受けた宿泊施設が、経営難になることがないように、周辺地域の魅力を最大に生かした計画であるか、長期的な運営計画であるか、選定の際に確認する項目として、そういう立て付けにしている。先生ご指摘の点、要綱上の制度として上質宿泊制度を進め、なるべく上質な宿泊施設をということだが、例えば選定後であっても、それは必要に応じて上質宿泊制度の趣旨の観点から、助言とか指導等をおこなっていくことになるし、建築基準法に基づく用途許可に関わる内容であれば、所管する都市計画局等と連携して対応していくと考えているが、いずれにしても、要綱上の制度である上質宿泊制度の趣旨であるその地域の魅力を最大限に活用して、京都経済、地域の活性化に寄与する上質な宿泊施設になるべくなっていただけるように、しかもそれを維持できるように、真摯に対応していきたい。
◆山本陽子議員/長いこと答弁されたが、要は、要綱による制度であって、選定しても、「事業者が長期に運営を続けなければならないというような拘束をしない」と確認している。選定のためには必須資料として、「長期事業損益計画書」「事業資金調達計画書」も必要とされており、当該事業者のみを対象とすることが選定の要素と考えられる。だから事業者を拘束しないってのは、本当に裏切りだと思う。周辺住民さんに対して事業者説明されているが、事業を譲渡されたらどのように説明されるのか、市民に説明するのか、みなさんその時に責任を問われますよ。私このことから考えても、この制度がどれだけ無責任かということを指摘せざるを得ない。この点は京都市の責任が問われることだから、今の「合意形成」というところでゆがめていただきたくはない。住民のみなさんの意見はしっかりと反映を。観光関連では「コロナ前の京都には戻らない」と市長も言っている。この制度がコロナ前につくられた制度。今の京都の観光施策に適合しない。大規模なホテル建設に頼らない観光施策にぜひ舵を取っていただきたい。潔い判断をしていただきたいし、未来に禍根を残さないような判断をぜひともよろしくお願いする。
2020年9月11日【産業交通水道委】産業観光局/一般質問「仁和寺門前のホテル建設計画について」
(更新日:2020年09月11日)