◆加藤あい議員(共産)/まずこの陳情の一つ目の項目、「学費の一律半額や給付型奨学金を抜本的に拡充する政策を行うよう国に求めること」とある。先般示された本市の「国の政策・予算に関する要望」の中にも、16番のところで「大学の機能強化」「大学のまち京都・学生のまち京都推進のための環境整備」ということで、「修学にかかる経済的負担軽減策の充実」ということが掲げられている。この内容は、陳情者が求める「学費の一律半額」「給付型奨学金の抜本拡充」を含んでいるのか。
(→塩野谷・大学政策部長)新型コロナウイルス感染症の拡大もそうだが、多くの学生さんが経済的困難や不安を抱えている中にあって、いかに経済的負担を軽減していくかは平時であっても重要な課題とは承知している。そういったこともあるので、まずは、修学支援制度が今年度スタートしたところなので、そういったところをしっかり着実に実施していただくとともに、いろいろな、奨学金、経済的負担軽減策の充実について、引き続き来年度以降も対応をお願いしたいということで要望させていただいている次第。
◆加藤あい議員(共産)/今の私の質問はイエスかノーかどっちかしかない。「学費の一律半額」「給付型奨学金の抜本拡充」を、京都市の予算要望は含んだ中身として「修学にかかる経済的負担軽減策の充実」を掲げておられるのかどうか。
(→塩野谷・大学政策部長)まずは今年度スタートした高等教育の修学支援制度を着実に実施していただくということが重要だと思っているので、まずはしっかりそこをやっていただくということが主たる要望事項。
◆加藤あい議員(共産)/イエスかノーかでお答えください。
(→塩野谷・大学政策部長)高等教育の修学支援制度を着実に実施していただくということが主眼であります。
◆加藤あい議員(共産)/「学費の一律半額」「給付型奨学金の抜本拡充」を含んでいるのか含んでいないのかどちらか。
(→塩野谷・大学政策部長)何度も申し上げているが、高等教育の修学支援制度の着実な実施をしていただくことに主眼があると、いうことを申し上げておきます。
◆加藤あい議員(共産)/質問に答えていただきたい。
(→塩野谷・大学政策部長)えー何度も申し上げているが、高等教育の修学支援制度の着実な実施をしていただくと、いうことから、修学にかかる経済的負担軽減策を充実させていただきたいという趣旨。
◆加藤あい議員(共産)/「修学にかかる経済的負担軽減策の充実」という本市が要望している内容に、「学費の一律半額」「給付型奨学金の抜本拡充」は含んでいるか。
(→塩野谷・大学政策部長)えへ(笑)何度も申し上げているが、修学支援制度を着実に実施をしていただくと、いうことがまずは主眼にあるので、ご指摘のような点については基本的には念頭にないということ。
◆加藤あい議員(共産)/含んでいただく必要があると思う。そして、初めから質問していることに答えていただきたい。加えて、コロナで高学費の矛盾が顕在化していると思っている。ですから今述べられた要望の水準から踏みこんで、さらに具体的な要望を、この陳情者が言っておられるような中身として、京都市としてあげていただきたい。これを求めておく。
二つ目だが、学生支援給付金について。第1次推薦の状況について、A大学は、申請者の3分の1しか推薦をされなかった。B大学は、そもそも申請者が示されている枠の75%しか到達しなかった。C大学は、申請者全てに支援するために大学の推薦枠を超えた分については大学の独自策で対応される方向を示しておられる。ごく一部だが、市内の大学について、学生支援給付金の申請や給付決定の状況にばらつきがある。このことは把握しているか。
(→塩野谷・大学政策部長)「学びの継続のための学生支援緊急給付金」については、家庭から自立してアルバイト等により学費を賄っていることや、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、その収入が大幅に減少していることなどの一定の要件を満たすことを求めているが、「最終的には大学等が学生等の自己申告状況に基づき総合的に判断を行う」としている。この点、各大学においては、当該給付金の活用以外にも授業料延納・分納や、緊急的貸与型奨学金による支援、遠隔授業環境整備のための支援金給付など、独自の支援策を展開している。各大学においては、より困難な状態にある学生等に対して、優先的に支援するという趣旨で、各大学において学生の事情に応じて総合的に判断しているものと認識している。
◆加藤あい議員(共産)/「総合的に大学が判断しているだろう」という話だったが、それは裏を返せば、国の予算を使っての「学びの継続のための学生支援緊急給付金」だから、広く対象となる学生がきちっと申請をされて給付を受けるっていうのは必須のことだ。それが大学によって差があると私は聞いているが、そういう状況は把握しておられないのか。
(→塩野谷・大学政策部長)各大学においては、今回の「学びの継続のための学生支援緊急給付金」について、しっかり周知をされていて。学生さんに対して申請について各大学、学生さんの事情に寄り添って、総合的に判断して推薦を、日本学生支援機構にしているものと認識している。
◆加藤あい議員(共産)/ぜひ状況をもう少し詳しく、国の予算、この事業の目的が達成されているのか、学生の学びの継続に関わる問題なので、掌握をお願いしたい。
もう一点は、陳情者は「支援から漏れた学生について把握すること」「既存の支援策を受けられなかった学生について、現金給付を行うこと」を求めている。学生支援給付金について、文部科学省は「1次推薦で推薦できなかった学生数の調査結果に基づき配分予定」と説明している。つまり「大学としてちゃんと公式に推薦したけれども、それが叶わなかった方については、2次推薦で必ず給付対象になる」と。この文部科学省の説明をそのまま聞けば、理解することができると思うが、そういうご認識か。
(→塩野谷・大学政策部長)「学びの継続のための学生支援緊急給付金」については・・・・・・文部科学大臣が記者会見において・・・・・・「21万人以上に支給を決定した」と、「その後、各大学の状況の応じて2次推薦、募集」ということだが、先週募集がスタートしていると承知している。
◆加藤あい議員(共産)/その2次推薦で、元々大学の側から1次推薦をされて、ダメだった方は必ずフォローできると、いうスタンスだと私は理解している。なので私が学生さんに聞いた範囲は全てではないので、そこを聞きたいと思っているが、第1次推薦で申請を、提出書類を出されたと、で、その申請については第2次推薦でもう一度出す必要はありませんと、いうふうに大学側から言われておられる方がいらっしゃる。つまり、大学から公式に学生支援機構に1次推薦された方については、2次推薦では必ず給付の対象になると、私は理解しているが、それが正しいかどうかご答弁いただきたい。
(→塩野谷・大学政策部長)公表されている7月3日付の、文部科学省から各大学に対しての「学生支援緊急給付金事業の2次推薦にかかる配分等について」においては、「1次推薦で推薦できなかった学生さんのみを対象とすることなく、1次推薦の募集に推薦が間に合わなかった学生も本給付金の対象となる機会が得られるよう配慮下さい」ということで、「あらためて2次募集も含めて行っていただく」ということ、それから、「1次推薦で保留とされた方については、引き続き対象として推薦いただく」ということで依頼がされていると承知している。
◆加藤あい議員(共産)/いまご説明あった通り、やっぱり大学から推薦している学生、つまりこの制度は、大学が学生の一番そばにいると、だから実情が分かっているわけだから、大学が広く対象を取って申請して下さいという立て付けになっている。だから大学として「この学生さんは必要な方」だと認定された方については、やはり全て対象にされるのが当然だろうと私は思っている。今述べられた通り、1次推薦のみということではなく、2次で新しく募集を受けるということだから、そこが学生さんにきちっと認知されて申請が広がるという状況になるように、京都市としてもぜひとも取り組んでいただきい。
学生さんの実態について、この陳情されている団体のみなさんが、アンケートをされている。いくつか紹介したいと思うが、「生活費や学費に占めるアルバイト収入の割合が高いですか?」と聞かれて、「はい、高いです」と答えておられる方が半数。「家庭の収入源が理由で、家庭に追加的支援(大学の学びを継続するうえで学費や生活費)を、加えて期待するのは難しいですか?」という問いに、「はい」と答えておられる方が過半数。「コロナ感染症の影響で、アルバイト収入が大幅に減少(前月比50%以上減少)していますか?」という問いに、「はい」が6割。これを見ると、基本は学生さんはアルバイトを前提に学生生活を送っておられる、それで何とかやりくりしておられると。で、大幅に収入減少していて、家庭からの支援が見込めない方が半分くらいいらっしゃると。もちろんそうじゃない方もいらっしゃるが、やはり極めて大学の学費が高いのだから、一般的家庭でも学生さんアルバイトしなくて十分賄えますよっていうのが、全員ではない、普通ではない、通常ではない。こういうアンケートから明らかになった実態についての現状認識、京都市の大学政策局としても同様の認識をお持ちなのかどうか。
(→塩野谷・大学政策部長)議員ご指摘のアンケート結果については詳細を把握していないため具体的な項目についてコメントすることは差し控えるが、本市としては、各大学や学生等との意見交換により、やはり新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、アルバイト収入が減少したり、保護者世帯の収入が悪化したことでやはり多くの学生さんが経済的な困難や不安を抱えているという認識。
◆加藤あい議員(共産)/極めて深刻な実態にあるというのは共有していると思う。加えてこのアンケートの中では、既存の制度、様々な支援策について、「条件を満たしますか?」ということも尋ねている。そうすると「いいえ」と答えている方が56%。半数以上。で、先ほどの学生支援の給付金、「この給付対象について納得しておられますか?」と聞くと「していない」が7割。本当にたくさんお困りの方がいらっしゃる中で、既存制度の対象にならないということの実態が透けて見える結果だ。こういう状況についての現状認識、どう把握しておられるか。
(→塩野谷・大学政策部長)くり返しだが、議員ご指摘のアンケート結果については詳細を把握していないため具体的な項目についてコメントすることは差し控えたいと思うが、この間国においては、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、経済面で困難や不安を抱える学生を対象に、様々な経済支援策を展開している。
まず、今年度開始された「真に支援が必要な低所得者世帯の学生」を対象に、授業料や入学金の減免に加え、給付型奨学金の額及び対象者を大幅に拡大する「高等教育の修学支援新制度」や、従来の貸与型奨学金について新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により家計が急変した学生に随時支援を行っている。また、家計急変により、授業料等の支払が困難となった学生等に対して、各大学等が実施する授業料減免等への支援のための予算が、1次補正のみならず2次補正においても計上されている。
加えて、先ほどから議論があるが、主として家庭から自立してアルバイト等により学費を賄っており、その収入が大幅に減少している学生等が、修学をあきらめることがないよう、学生1人当たり最大20万円を支給する「学びの継続のための学生支援緊急給付金」が創設されている。
さらに、生活費や学費に占めるアルバイト収入の割合が高く、その収入が大幅に減少している学生等が、緊急的に新たに有利子奨学金の貸与を希望する場合に、利子を国が補てんし実質無利子化する「緊急特別無利子貸与型奨学金」が設けられるなど、政策を展開している。
加えて、文部科学省からは各大学に対して、学資を負担している者の状況が変化し、授業料等の納付が困難になった者に対して、授業料等の納付猶予、免除、及び減額に関する制度を踏まえて、納付時期の猶予等の弾力的な取り扱いや減免等のきめ細やかな配慮を行うよう、各大学対して依頼をされていると承知している。
これらの支援策については、まずはしっかり大学の窓口に相談いただくことが第一歩であると考えているので、本市としては市内大学等の相談窓口を整理して一覧に取りまとめ、各種支援策とともに京都市情報館や公式SNS等において発信し、大学と連携して周知に取り組んでいるところでございます。
◆加藤あい議員(共産)/昨日の補正予算の議論で、各大学の独自の支援策については「把握をする」という表明があった。でしたらその点に加えて、4点ぜひ実情の把握をしていただきたい。一つは「新型コロナウイルス感染症による大学運営等への影響について、新たなコロナ対策の需要も含めた運営費の不足状況」、二つ目に「学生支援緊急給付金について、日本学生支援機構から示された推薦枠、学生さからの申請数、大学からの推薦数、第2次募集の計画と進捗状況、この制度についてのご意見」、三点目に「学費の納付について4月以降経済的困難等で、退学や休学を余儀なくされた学生数、実態や実情」、四点目に「国や自治体に望む施策」、こういうものをぜひつかんでいただきたい。
(→塩野谷・大学政策部長)一点目だが、運営にかかる部分につて、各大学いろんな施策を展開しているところではあるが、授業等の納付猶予を行ったことにより一時的な資金不足となる場合には、私学だが、日本私立学校振興共済事業団が行っている学校法人等向けの融資事業等があるので、そういったところを活用していただいているものと承知している。
それから給付金の需給状況については、国全体の状況としては、6月30日の文部科学大臣の記者会見によれば、1次募集を終えすでに21万人以上への支給を決定し、先日国において支援が必要な学生数を各大学に調査をしたうえで2次募集が開始されたところ。本市としては全国の状況についてこのような形で状況を把握できていること、受給状況いかんで各大学への対応を変えるつもりはない。また、小規模大学等においては、個人の特定が進む恐れもあることから、個別の受給状況について、大学等についても把握する予定はない。
本市に対して望む施策については、まあしっかり、補正予算を認めていただいた場合には、しっかり精査をしたうえで展開をしていきたいとは思っている。
◆加藤あい議員(共産)/最後のところについては、望む施策については、大学のみなさんからご意見を聞かれるということでよろしいか。
(→塩野谷・大学政策部長)前提として各大学とは日頃からコミュニケーションを取っているので、いろんなその中での課題とか、望むべき行政の対応等については、それは日頃からコミュニケーションを取っているということは、まずは申し上げておきたい。
また、今回の補正事業を認めていただいた場合には、その申請にあたっては、これまでの大学の取組もそうだし、今後の課題等についても含めて、お聞きすることは、お聞きはするということは元々予定しているので、そういったところでいろいろご意見をいただくものと理解している。
◆加藤あい議員(共産)/そこはしっかり聞いていただきたい。私が申し上げたのは、全体としてくくった到達点ということではなくて、大学の状況や学生さんの状況についてはかなりいろんな濃淡、実情、様々だから、そういうことをリアルに京都市行政がつかむっていうところが大事だろうという趣旨なので、ぜひ受け止めていただきたい。学生の学び継続に何が必要なのか、実態把握が必要であるし、見えてきている状況からすれば、支援策の不足は明らか。国に求めること、市としてやるべきことを精査して、陳情者が求める「既存の支援策を受けられなかった学生に対しての現金給付」、ぜひとも実現をしていただきたい。
三点目に、京都市のアルバイト雇用について確認させていただく。先ほどもご説明であったが、これまでの京都市の学生アルバイト雇用の総数、学生に特化をして雇用してきた人数はどの程度なのか。特化してないけれども対象というのもあると思う。この人数は何人なのか。昨日、産業観光局の質疑でもいろいろやり取りがあったと聞いている。今回の補正でも「事業継続に向けた中小企業等担い手確保・育成支援事業」で、「学生さんも対象」と説明があったと聞いた。
(→藤田・人事部長)まず大学生に特化したアルバイト。コロナの影響で収入の減った学生の方を特化、対象に、5月25日から順次、特別定額給付金の業務事務補助などについていただき、合計市長部局で88名採用。なかなか学生さんなので、平日昼間フルタイムというのは難しいので、授業の開始も考慮して、週1日から2日という勤務形態で採用。その後、教育委員会においても、部活動指導員や校務・学校事務の支援員などとして85名も採用されている。以上173名雇用した。
(→安田・産業観光局・ひとしごと環境整備担当部長)学生アルバイトを含めた雇用の創出について。これまで非常にコロナの影響を受けた企業に対して、我々としては資金繰り支援、企業の支援行ってきた。雇用の維持が非常に大事な中で、今、次に取り組むべきことは、企業における雇用の創出を支援する取組ということで、7月補正の予算において「事業継続に向けた中小企業等担い手確保・育成支援事業」についてご審議いただいている。具体的には、3カ月以上の雇用について、中小企業に対し就業支援金として、非正規雇用の場合は10万円、正規雇用の場合は30万円支給することとしており、これは議員のご案内にもあったように、学生であるかどうかに関わらず、一定の所定労働時間があるものについて、3カ月勤務された場合は対象としていくということで、非常にコロナの関係で困難、不安を抱えている学生が多い中で、こういった制度についてもしっかり活用いただけるよう我々としてもしっかりPRしていきたい。
◆加藤あい議員(共産)/ぜひ継続した取組を求めておきたい。
最後にぜひ局長にうかがいたいと思うが、あらためて総合企画局がどういう仕事をするのか、「事務事業概要」を眺めていた。「大学政策に関する事務」をここは司っておられて、「大学のまち京都・学生のまち京都の推進、その他大学にかかる施策の調査・研究・企画及び推進にかかる事務を行う」とある。今本当に厳しいコロナのもとで、学生さんが苦しんでおられる。そこを何とか対応していこうという大学も苦しんでおられる。そこに対して、京都市はどういう手を差し伸べるのか。国に対して何を求めるのか。本当に本気になって取り組んでいく必要があると思う。気持ちと思いをぜひ聞かせていただきたい。
(→下間・総合企画局長)京都は様々な顔を持つ都市だが、やはり京都の将来にとって、最も重要な都市特性の一つが、この「大学のまち」「学生さんのまち」だと思う。一方、京都市にキャンパスのある39の大学、市立芸大は除いて、京都市は設置者ではない。また、監督官庁は国なわけだから、権限という意味では限界があるということもある。そういった中で、多くの学生さんが、ここ京都に学んで、暮らして、さらに安心して充実した学生生活を過ごすと、いうことが地域の経済、地域の活性化、さらには将来の京都を支える担い手の確保、こういった点でも非常に大切なことだなと思っている。今、コロナによって不安や困難、先ほど来議論あったが、学生さんに最も身近に接して、最もよく実情が分かっておられる大学とよく連携しながら、学生さんに寄り添った支援をしていく必要があるかなと思っている。
また、学生さん、個々の経済支援だけじゃなくて、経済支援だけでは解決しない問題もあると思うので、これは昨日ご議論いただいた大学への支援策、こういったことであろうと思っている。学生さん個々への経済支援については、基本的には国において統一的な対処をする必要がある、もちろん、その中で京都市としても直接雇用したり、あるいは民間企業と連携してアルバイトのマッチングの仕組みをつくったり、しっかりと学生生活を支援していきたい、このように思っている。
2020年7月7日【総務消防委】総合企画局/陳情審査「新型コロナウイルス感染拡大により被害を受けた学生等への追加支援」
※以下は、質疑の前に行われた京都市総合企画局の陳情書に対する説明
(→塩野谷・大学政策部長)本件陳情の趣旨としては、「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けた学生に対する経済面や精神面への支援を要望する」というもの。
次に本件陳情に対する本市の考え方について説明する。最初に1点目の「国への意見書提出」及び4点目の「学生支援緊急給付金を補完する制度の創設」について。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、多くの学生が、経済的困難や不安を抱えており、安心して学ぶ環境を維持・充実させていくことが不可欠であると認識している。これは全国の学生に関わる重要な課題であり、公平性の観点から国において統一的に対応する必要があると考えている。
この間国では、今年度から開始された「真に支援が必要な低所得者世帯の学生」を対象に、授業料や入学金の減免に加え、給付型奨学金の額及び対象者を大幅に拡大する「高等教育の修学支援新制度」や、貸与型奨学金について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により家計が急変した学生に、随時支援を行っている。
加えて、大学等での修学継続が困難になっている学生等が修学をあきらめることがないよう、学生1人当たり最大20万円を支給する「学びの継続のための学生支援緊急給付金」を創設するとともに、家計急変により、授業料等の支払が困難となった学生等に対して、各大学等が実施する授業料減免等への支援のための予算が、1次補正のみならず、2次補正においても計上されている。さらに、修学の継続が困難になっている学生等が、緊急的に新たに有利子奨学金の貸与を希望する場合に、利子を国が補てんし実質無利子化する「緊急特別無利子貸与型奨学金」を創設するなど、支援の充実が図られている。
本市においては、支援を必要としている学生に確実に情報が届けられるよう、市内大学等の相談窓口を整理して一覧に取りまとめ、各種支援策とともに、「京都市情報館」や「公式SNS」等において発信し、大学等と連携して周知するとともに、「京都市わかもの就職支援センター」において、学生生活に関する幅広い相談にも対応している。
また、経済状況が悪化した学生を、非常勤職員等として直接雇用したり、民間企業と連携し、感染防止対策を明記したアルバイト情報を紹介する特設サイトを開設するなど、必要な支援を行ってきた。加えて、経済的困難が生じた学生に対して、奨学金や授業料減免等によるきめ細やかな支援を速やかに実施するよう、二度に渡り国に対して緊急要望を行ってきた。今後とも、引き続き国に対して要望を行うとともに、学生が安心して学ぶ環境を維持・充実させるため、国や大学等と連携して取り組む。
次に2点目の、「各大学と連携した学生の実態把握」について。本市では日頃から大学コンソーシアム京都を中心に、市内各大学はもちろんのこと、経済団体や学生、京都府等と積極的な意見交換を行うことで、学生の状況を把握している。今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響についても、市内大学や学生等と意見交換を行ったり、各種団体の調査結果の共有などにより、状況を把握しているところであり、引き続き取り組んでいく。
次に3点目の、「現状の支援等の情報の積極的発信」について。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、多くの学生が経済的困難や不安を抱えており、安心して学ぶ環境を維持・充実させていくことが不可欠であると認識している。このため、経済的支援を必要としている学生に確実に情報が届けられるよう、市内大学等の相談窓口を整理して一覧に取りまとめ、国の経済支援策とともに、「京都市情報館」や「公式SNS」等において発信するなど、大学等と連携して周知に取り組んでいる。なお、キャンパスへの立入制限や遠隔授業の実施が継続されている中で、いわゆるキャンパスライフを送ることができず、経済面以外でも学生生活に不安や困難を抱える学生が多いことを受け、学生の不安を解消し、安心安全を確保していくため、大学における学生支援の取り組みを強化する予算案を本市会に提案している。今後とも学生の不安を解消できるよう、大学等と連携して取り組む。
次に5点目の、「アルバイトにおけるさらなる支援」について。まず、「京都市職員として学生アルバイトの雇用を拡充すること」について。本市では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経済状況が悪化した大学生等を対象に、非常勤職員として臨時募集を行い、この間、特別定額給付金の事務補助や、小中学校における部活動指導員・校務支援員等として173名を採用してきた。さらに、区役所で特別定額給付金の業務についていただいている69名の学生のうち、職場の繁忙状況や学生の希望を踏まえ、18名については1カ月間雇用期間を延長するなどの対応を行っている。なお、学制に特化したものではないが、生活保護の新規申請や、ひとり親世帯の臨時特別給付金における事務補助、小中学校での学習指導員など、約500名の臨時・非常勤での任用にかかる予算を今市会に提案している。引き続き、感染拡大の影響による学生への経済的影響の状況を注視し、必要に応じて対応を検討する。
次に、「民間企業等が学生アルバイトを雇えるよう、京都市として各事業者に対する経済支援を拡充すること」について。本市では、企業による雇用の創出を支援する目的、取組として、「ウィズコロナ社会における事業継続に向けた中小企業等担い手確保・育成支援事業」の予算を今市会に提案している。本事業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、離職を余儀なくされた方等の就業を促進するため、市内中小企業等の事業継続に必要な担い手確保・育成にかかる経費の負担を軽減することを目的としており、具体的には、新たに3カ月以上雇用していただいた中小企業等に対し、就業支援金として、非正規雇用労働者採用の場合は10万円、正規雇用労働者採用の場合は30万円を支給することとしている。なお、学生であるかどうかに関わらず、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、本事業の対象となる労働者とする。こうした支援を行うことにより、中小企業等の新たな雇用の創出につなげ、アフターコロナにおける、中小企業等の成長の原動力にもしたいと考えている。
次に、「休業補償をより多くの雇用主が申請するよう京都市として各事業者に促すこと」について。本市ではこれまで、資金繰り支援や補助制度などにより、幅広い支援を行い、また、観光関連や飲食関係、伝統や文化、地域を支える産業など、個別の産業分野への支援も行ってきた。一方、雇用調整助成金の拡充や家賃補助、休業要請対象事業者支援給付金など、国や京都府においても様々な支援が打ち出されるなど、事業者への支援策が充実されつつある。本市では、こうした支援策を必要とする事業者に的確かつ迅速に情報を届けられるよう、「中小企業等支援策活用サポートセンター」を立ち上げたところであり、当該センターでの相談への対応の中で、事業者に対し必要な情報が行き届くよう努める。加えて、京都市、京都労働局及び京都府が運営している府内約3800社の京都企業の魅力を紹介している「京のまち企業訪問」を活用するなど、引き続き、事業者に対する情報提供を行う。
次に6点目の、「学生に対する家賃補助制度の創設等」について。高等教育にかかる教育費については、国において住居・光熱費を含む生活費を賄えるよう措置が講じられており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により家計が急変した学生に対する随時支援も行われている。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた経済的に困窮した方を対象とした家賃補助制度として、生活困窮者自立支援法における「住居確保給付金」の支給があり、学生であっても世帯生計の維持者であり、家族の扶養に入っておらず、収入要件や資産要件等、一定の要件を満たす場合であれば対象となる。
次に、「市営住宅の活用」について。学生を対象としたアパートについては、市場では十分供給されていると認識。なお、醍醐中山団地と京都橘大学との連携事業のような取組については、地元・大学及び行政との連携による団地内の活性化を目的とした事業であり、引き続き同趣旨にて進めていく。
最後に7点目の、「コロナ禍、またはコロナ収束後における学生の意見を取り入れた学生・若者政策の実施」について。若者の力は社会に変化を生み出し、様々な課題の解決や新たな価値の創出に寄与するもの。若者が市政やまちづくりに参加する機会を増やし、社会への参加意識を高めるとともに、市政においても若者の視点と意見を反映させることにより、施策をより充実したものとすることを目的に、附属機関等への青少年の登用促進等を図っている。中でも、「大学のまち京都・学生のまち京都推進計画」実施にあたり設置している「大学のまち京都・学生のまち京都推進会議」においては、大学・産業界・NPO等に加え、学生のみなさんにも委員として参画いただいており、当事者の視点からご意見をいただいている。また、日頃から大学コンソーシアム京都を中心に、市内各大学はもちろんのこと、学生や経済団体、京都府等と積極的な意見交換を行うことで、学生の状況を把握している。今後とも、学生をはじめとする若者や大学等、様々な主体から幅広ご意見をいただきながら、各種施策を進めていく。
(更新日:2020年07月07日)