通学路の信号機撤去はやめよ(2020年5月29日/衆院・内閣委・塩川鉄也議員の質疑メモ)

※国会で共産党・塩川鉄也議員が、警察庁が進める計画の中で、通学路にある信号機まで撤去される・されようとしている問題を取り上げました。京都市伏見区の藤城地域でも同様の問題が起こっています。

◆塩川議員(共産)/警察庁が進める「信号機合理化等計画」について。警察庁は「政府インフラ長寿命化計画」に基づき2015年3月に「警察庁インフラ長寿命化計画」を策定。その中で信号機の適切な管理を位置づけ、2015年12月に「信号機設置指針」を策定。これらを踏まえ警察庁は、2019年3月に「信号機等合理化計画」、19年度から23年度までの5年間を期間とする計画策定を求める通達を出し、全国の都道府県で信号機の撤去計画が策定されている。そこで警察庁にお尋ねする。信号機の今の総数、それから信号機設置指針の基準に基づき2019年12月末時点の点検箇所数、そのうち撤去が妥当と考えられる信号機数は、それぞれいくつか。

(→北村・交通局長)平成30年度末時点(2019年3月時点)で全国において20万8251機の信号機が整備されている。警察庁においては、信号機の計画的な更新が行われるよう、都道府県警察に対して、設置当時から交通実態が大きく変化するなど信号機設置の指針に照らして、その設置の合理性について、重点的に点検を行う必要性の高い信号機の選定を求めた。先ほどお話のあった昨年3月。その結果、令和元年末時点(2020年3月時点)において、全国で6万618機が選定され、そのうち1万6841機について点検が行われた。点検結果は、撤去や移設をすることが妥当であると報告を受けている信号機が2883機ある。そのうち令和元年度中(2019年度中)に撤去や移設が計画されていた信号機は646機。なお、過去の信号機の撤去数は、平成28年度(2016年度)が538機、平成29年度(2017年度)が698機、平成30年度(2018年度)が675機となっている。

◆塩川議員(共産)/今答弁にあったように、多数の信号機の撤去計画が立てられている。全国の20万8251に対して実際に点検している箇所数1万6841、それに対し「撤去が妥当とされる信号機が2883」もある。みなさんの地元にこういうところがあるかもしれない。ぜひ見ていただければと思う。こういった撤去計画が立てられているところには、その中には、小学生の通学路となっている横断歩道の信号機が撤去対象となっている。この通学路となっている横断歩道の信号機を撤去対象とするのは、これは住民の理解が得られないのではないか。こういった通学路の信号機の撤去はやめるべきじゃないのかと思うが、国家公安委員長・武田大臣いかがか。

(→武田・国家公安委員長)様々な声が届いているのは確かであるが、信号機の設置もこれは交通規制の手段の一つであり、交通実態に的確に対応するとともに、地域住民の理解を得ることが重要と考えている。そこで各都道府県警察において、それぞれの都道府県の将来を見据えた持続可能な交通安全施設等のあり方について、部外の有識者等を招いて検討を進めているところ。このような検討の結果等も踏まえ、全体としての信号機の設置の合理化の必要性について、各地域における理解を深めるとともに、個別の信号機の移設や撤去についても、それぞれの地域において十分に周知が図られるべきものと考えている。

◆塩川議員(共産)/いや、そんな周知されていない。例えば広島市中区白鳥地区では通学路の信号機の撤去計画があった。あるいは私がお聞きした滋賀県の高島市でも通学路の信号機の撤去計画が示されて、住民のみなさんほとんど伝わってなかったと。そういった際に、「いやそれは困る」という地域住民の方の運動と我が党の議員の働きかけで、そういう撤去計画を見直しをさせてきた経緯がある。歩行者優先の原則や、横断歩道の一時停止が順守されてないもとで、信号機がなければ道路を安全に横断できない現状がある。こういった時に地元から「やっぱり通学路などの信号機は残してくれ」という当然の要求があれば、それはしっかりと受け止めて、その住民の声に応えるということが必要ではないか。それは約束してもらえるか。

(→北村・交通局長)個別の案件において住民への周知が足りないものがあるというご指摘については、私どももしっかりと向き合っていかなければならないと反省している。先ほどご説明にもあった昨年3月の通達においても、「いたずらに必要性のある信号機の撤去・移設を求めるものではない」「撤去等にあたっては、地域住民や道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと」「特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況や、撤去後の安全性について、説明を行うなどして、その理解を求めること」と指示しているところであり、不徹底であればさらに徹底するよう努めてまいりたい。

◆塩川議員(共産)/そういうのが徹底されてない現状が率直に言ってある。撤去がどこで行われるのか、計画そのものが知らされていない。実際に信号機の撤去計画を都道府県警でつくった場合に、どこが撤去の対象となるのか、こういうことが知らされなければ、意見のあげようがないじゃないか。その辺が極めて不徹底という実態がある。だから都道府県警で、各警察署でそういう計画をつくった場合には、それが住民に知らされていないことが一番の問題で、該当地域でチラシを配布し、通学路であれば保護者の方のエリアに学区単位できちっとチラシを届けるとか、その場合の意見を聞く、住民の説明会を行うとか、あるいは最低、当然やらなくちゃいけないのは、例えば警察のホームページ上に「こことここは合理化計画で撤去の対象としていますけれどもご意見ください」とか、こんなことは最低限やるべきことで、こういう説明責任を具体的に果たす必要があるのではないか。

(→北村・交通局長)一部くり返しになるが、「撤去等にあたっては、地域住民や道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと」「特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況や、撤去後の安全性について、説明を行うなどして、その理解を求めること」としているので、そういうことが十分に行われていないことのないように、我々も心していく必要があると考える。

◆塩川議員(共産)/周知の方法はどうするんですかと聞いている。

(→北村・交通局長)地域のそれぞれの状況に応じて異なるので一概に申し上げることはできないが、先ほどお話のあったような、通学路となっているところにおいて信号機を撤去するということであれば、学校を通じて、保護者の方々にもご連絡を差し上げるということになるし、特定の施設、例えば高齢者の方々が利用される福祉施設の前の信号機を撤去するということになれば、そこの利用者の方々にもご理解いただけるように、そういう施設の関係者を通じてのお話をさせていただくこともある。また、地域の代表者としての自治会というようなものがあれば、そういうところを通じての周知を図る、あるいはご意見を承るということもあるが、これもまた一概に誰に対してということはなかなか線引きが難しいものだが、そういう理解を得るため周知するための手立てを尽くしていかなければならないと考えている。

◆塩川議員(共産)/この点できちんと周知徹底を図ることは最低限行うべきことだと思う。そもそもこういった合理化計画が求められるのは、もちろん老朽更新での費用の増大があるわけだが、一律に減らす前提の計画の立て方はおかしい。そういった点では、警察庁が示している「信号機の設置指針」が、撤去を優先する仕組みになっているのと同時に、必要なところに信号機を新設するという点での障害ともなっている。この点の是正と信号機設置指針の見直しを求めると同時に、武田国家公安委員長、この信号機設置にかかる事業費が全国的に減少傾向にある、必要な予算の確保が必要じゃないのか。

(→武田・国家公安委員長)交通規制というものを適切に行い、交通の安全と円滑を確保するためには、信号機・道路標識・道路標示等の交通安全施設を適切に設置管理することが重要だと考えている。国において半額を補助している特定交通安全施設等整備事業については、令和2年度(2020年度)当初予算として221億円、これは対前年度比8.1%・16億円増を計上しているが、今後も交通の安全と円滑を図るために必要な予算が確保されるよう努めてまいりたい。

◆塩川議員(共産)/必要な予算の確保と同時に、この信号機設置指針の見直しを強く求める。

2020年5月29日【衆院内閣委】通学路の信号機撤去はやめるべき(日本共産党・塩川鉄也衆院議員)

(更新日:2020年05月29日)