請願審査:世界遺産・仁和寺前のホテル建設計画はストップを(2019年12月9日/産業交通水道委・産業観光局・山本陽子議員と井上けんじ議員の質疑メモ)

◆山本陽子議員/冒頭、請願の趣旨説明させていただいた。地域のみなさんからの様々なご懸念お聞きいただいたと思う。地域の細かな実状が実はこのホテル建設計画と調和しないという重要な懸念事項だが、こういった先ほどお話した事実については、いろいろ議論、調査などされたのか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)このホテル計画については、仁和寺門前まちづくり協議会を窓口に事業者と約2年半20回以上協議をしてこられている。それにもほとんど我々京都市も一緒に参加し話を聞いている。そういった形で一つひとつ地域との調和に向けて積み上げていっていると認識。

◆山本陽子議員/住環境について懸念を色々具体的に示されているので、そういった事実について調査されてきたのかとお聞きしたが、「まちづくり協議会の中での議論」とのこと。上質宿泊施設誘致制度については6月にも質疑したが、全てその議論が非公開。どんな議論がされてきたのかが私たちには全く分からない。その懸念が本当に払しょくされるような計画になるのかが全く示されない。それが大問題と思っている。請願書にも書かれてあるように、仁和寺門前まちづくり協議会は、そもそも地域の景観を守ろうということで立ち上げられたが、なぜそういう協議会がありながら、住居専用地域を含む住居の地域に不釣合いな大規模の宿泊施設が進出してくることになるのか、大変違和感を感じる。地域のみなさんや請願者も同じ思いだろう。6月に資料請求し6月までの経過はまとめていただいたが、その後このホテル建設計画については、どのような手続きが進んできたのか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)ホテル建設計画については地域とも協議を進めてきている。12月19日にも地域向けの説明会を行う。これまで地域住民から要望を受けてきたことを踏まえ、どういった建設計画になるのか、工事の際にはどういった影響を受けるのか、事業者から説明し、地域の要望も聞き、仁和寺門前のホテル計画を地域と一緒になって進めていくということを考えている。

◆山本陽子議員/今回開かれる説明は、新たに事業計画で「温泉を掘る」という内容の説明会とも聞いているが、趣旨説明にもあったが、周辺地域は地下水が豊かな地域。地盤への影響、環境評価をも京都市も共にしていくのかも問われる。今回の説明会はどういう手続きの下での説明会なのか。温泉掘削については、100m圏内のみならず広く地元のみなさんに関わる大きな問題。広い地域住民のみなさんに知る権利、知る機会、説明の機会はあるのか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)温泉採掘は京都府が許認可権限を持っているため、事業者と京都府のほうで手続きを進めている。12月19日の説明会は、ホテル計画の内容を説明するとともに、この間、地域住民のほうから協議や説明会において、具体の工事計画についても質問がなされたので、そういった内容も含め事業者側から説明されると認識。

◆山本陽子議員/その説明会はどの手続きの説明会なのかということと、どういった範囲のみなさんへの説明か、そしてさらには、地域住民の方が知りたい・聞きたいと言えば聞きに行けるのかをお答えいただきたい。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)上質宿泊施設誘致制度を行うにあたって地域との合意が必要になってきているので、その一環の説明会と認識。また、今回のホテル計画の説明の範囲は、今回については計画の敷地境界から100m範囲に加え敷地南側の線路までを説明範囲としている。事前に御室学区・宇多野学区の自治連合会にも相談のうえ、そういった形で決めている。

◆山本陽子議員/はい、あんま地域のせいにしたらアカンと思います。上質宿泊施設誘致制度に書いてますからね100mって。京都市が決めたんですよね100m圏内ということをね。100m以外のみなさんでも聞きに行くことはできるんですよね。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)先ほど説明した通り、まず計画敷地境界から100m以内の目安、市と住民組織が協議のうえ決めていくと、いうことから、先ほど申した通り御室学区・宇多野学区の自治連合会とも相談したうえでそういった形で範囲を決めている。そして、今回の説明の対象者、今回地域の側から「十二分に工事の内容も含めてしっかり説明」ということなので、先ほど申した範囲に住戸に個別にビラを配って、そちらの配られた範囲の方々が今回の説明会に参加できると、そういうふうに認識。

◆山本陽子議員/今回は100m圏内だと。ではそれ以外の地域の方にも説明、お聞きになっていただける機会をつくっていただけるのか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)まず上質宿泊施設誘致制度の中では、周辺住民というのは「100m以内を目安に市と住民組織が協議のうえ決定する区域」と定められているので、その範囲内で対応してまいりたいと考えている。

◆山本陽子議員/広い住民のみなさんに事情を知っていただく機会が必要だと思う。なぜ聞けないのか。なぜ聞く制度をつくれないのか。大原でも大原自治連合会、上質宿泊施設の計画を断るという経過もあったが、これ自治連合会に広く住民のみなさんに事実が示されて議論が変わっていくということになった。今回の仁和寺門前のホテル計画についても、そういうことがあってはならないということで京都市は100m圏内で厳しく進めていくのか、周辺住民のみなさんに事実、情報提供するということは最低限の京都市の責任だと思う。知る機会をぜひつくっていただきたい。

今後、特例措置の手続きや美観風致審議会、温泉掘削の手続き、いろんな行政手続きが想定される。そういう行政や住民が関与する手続きについて、今後想定される手続きについてはぜひ資料でまとめていただきたいと思うがどうか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)今後の手続きは先ほど申した通りだが、今後合意を図って、上質宿泊施設誘致制度の申請が行われたら、その後有識者会議を経た選定手続き、建築審査会、美観風致審議会、そういった手続きは行う。そういったことであればこちらまとめて提出する。

◆山本陽子議員/仁和寺門前まちづくり協議会は、どういった制度でつくられてきたのか。地域の景観を守るために、住民が意見を言う機会を与える制度、「地域景観づくり協議会制度」ということだが、その中には「地域固有の景観を地域住民の共有財産とし、その価値の維持向上に向け、住民が主体となり景観づくりに取り組む」とある。請願にもあるように、そもそも基本的な都市計画のルールの枠内で、それでも開発や建築行為に対して景観保護の観点で地域が意見を言えることが前提だと思うが、しかし今回は、「上質宿泊施設誘致制度」というものをかぶせて京都市自らが、都市計画、まちづくりのルールの規制を緩和した内容で、宿泊施設誘致を積極的に進めるということだ。景観を守るために立ち上げられた協議会に、規制緩和した内容の宿泊施設の承認をさせる。そもそも、出発時点から重大な問題をはらんでいると思うが、産業観光局はそういう自覚があるか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)まず上質宿泊施設制度自体は規制を緩和するものではない。まず規制についても、当然、先ほど来申しているが、建築審査会、美観風致審議会等において、しっかり許可するための手続き自体は何ら変えるものではない。そういった中で、我々としては、上質宿泊誘致制度では、地域住民の思いをホテル計画に反映させていただくように、より丁寧にそういった計画を進めていくものと認識している。

◆山本陽子議員/「規制を緩和しない」っていう言葉で既成事実として言うのはやめていただきたい。基本的な都市計画のルールでは、当該、「第一種住居地域には、最大面積3000㎡の施設しか原則としてはつくれない」ということでよろしかったですね。

(→高木・都市計画局建築指導部長)建築基準法上の取り扱いについて、あらためてご説明させていただく。いま「緩和」というお話あったが認識の違いがあるので丁寧に説明する。このエリア、この敷地においては、第一種住居地域が過半を占めるということで、第一種住居地域の規制が適用される。先ほども説明あったが、旅館・ホテルは3000㎡までしか建たないということだが、建築基準法の条文48条、「用途地域の規制」の条項があり、この中で「ただし特定行政庁が第一種住居地域における住居の環境を害する恐れがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においてはこの限りでない」と、はっきりと明記されている。今回は「第一種住居地域における住居の環境を害する恐れがないと認め」というものに当たるかどうかという、個別に許可ができるかどうかという判断で、現在私どもも事業者側から事前相談を受けている状況だが、この中で、しっかりと周辺の住環境に害する恐れがないかどうかという点を多角的に検討する。交通計画上の問題、騒音振動等の対策の問題などなど、ハードにおいて問題ないかきっちり個別に判断さしていただいたうえで、建築審査会の同意を得る、第三者機関の同意を得ること、そしてその前段で、周辺の利害関係者の皆様に公聴会という形で計画を説明してご理解を得るということ、この辺りを経て最終許可ができるという制度。その点ご理解願いたい。

◆山本陽子議員/3000㎡超える施設も特例許可で厳しい審議していくということだが、そもそも都市計画の手続きの中では、出発点で原則的に所管職員のみなさんが審査にあたられるということだが、出発点でですよ、京都市がここに宿泊施設を誘致してくる、その結論を、審議する前に、産業観光局がホテルを誘致するということを積極的に進めたらね、その結論を覆すことが京都市にできるのか。そういう意味で都市計画のルールを、産業観光局が、結論が出る前にもう結論ありきのような誘致を行っていっているんじゃないかと私は思う。これが出発点の大問題だ。

しかし、地域のみなさんも苦渋の検討をされてきたということは先ほどの説明で十分理解している。地域の懸念、空地を早く安心な施設でしっかりと運営していってほしいということだと思う。まちづくり協議会の冊子の中でも、「広い敷地を持つ住宅が空き家となるケースがあり、売却後に仁和寺門前にふさわしくない土地利用が行われる可能性が高まっています」とある。地域のみなさんは、本当に心配だけれども、「ホテルに来て欲しい」とそもそも思っておられたのか。思っておられたわけではないだろうと思う。昨今の観光客のマナーや混雑の問題で、今でも仁和寺周辺で渋滞があると、観光客のみなさんの課題があると言われているときに、静かな地域に72室もある大きなホテルが来てほしいと思っておられるはずがないだろうと思う。住民のみなさんは空地を放置するよりは「仕方がない」と思っているのではないか。京都市はこの地域の懸念や不安をいいことに、大型ホテル建設の受け入れを業者と一緒になって進めていこうというのがこの制度なんじゃないかと私は思う。そうなら大問題だ。

そして、先日新聞にも載った、公募式プロポーザルの仕組みと同じように、その中身が明らかにならない。上質宿泊施設誘致の話は、京都市が非公開のままで、業者のみなさんと一部の住民のみなさんと話を進めていくことのできる仕組みになっている。資料も出てこない。狭い範囲の住民のみなさんが、京都市と大手企業が話をする中で、これ抗うことができるのか。本当は「こんな施設が来てほしい」と思っていても言えないんじゃないかと思う。だからこの上質宿泊誘致制度ってのは、もうこの1例目から重大な問題をはらんでいると思う。廃止すべきだと思う。

もっとも、これ以前に状況は変わった。市長が「宿泊施設お断り宣言」を出されたんでこれも関係あると思う。「宿泊施設の数は満たされつつあるから、宿泊施設は控えていただきたい」、今度は「お断り」ですよ。お断り宣言するならそもそも上質宿泊誘致制度の元となっている「宿泊施設拡充・誘致方針」を撤回して、制度は進めていけないというのが筋なんじゃないかと思うが、この点はどうか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)宿泊施設については先日市長からも話があった通り、現在では計画されている宿泊施設も含めると基本的には施設数としては満たされているという状況。そしてまた近年、京都市の魅力、都市格が飛躍的に向上するなか、京都に進出したいというスタートアップ企業などのオフィス、研究所や住宅等の必要性が大きく高まっている。こうした中で、市民の安心安全と地域の文化の継承を重要視しない施設の参入をお断りしたい、というふうに宣言したもの。ただ一方で、増加してる施設の多くが、京都駅周辺や市内中心部に集中しており、地域固有の魅力を生かした施設、地域の文化の継承につながる施設は必ずしも十分でない。そういった意味で上質宿泊施設誘致制度で誘致を目指す宿泊施設は、こうした課題に対応する施設で、何らこちらの宿泊施設のお断りの宣言と相反するものではないと認識している。

◆山本陽子議員/なぜこの地域でいいと言えるのか。この仁和寺周辺の地域は山のほうだし、周辺の閑静な住宅街で自然環境にもあふれた地域だ。市長はこの前の議会でも言われましたよね。「京都のまちは観光のためにつくられたまちではない」と。まさにこの地域の閑静な住宅地というのはそうだと思う。そういうところに72室もある大規模な宿泊施設を誘致することは、市長のその言葉からすればできないはずだと思う。なぜ誘致政策はそのままで進めていくのか。市民的にお断りと言っておきながら、誘致制度は残して、業者と共に誘致を進めていく、積極的に進めていく、私とても裏表のある市の態度だと思うんですけど。この点についてはどうか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)先ほど述べたところと重複するが、我々としてはあくまでも「市民の安心安全と地域文化の継承を重視しない施設の参入をお断りしたい」と言っている。そういった意味で、何かその、あの、違うこと言ってるわけではなくて、一つの軸に乗っかって、しっかり我々としては施策を進めていると認識。

◆山本陽子議員/市長も言われましたよね。「京都のまちが壊されるということになってはいかん」と。そういうことがあってはならない、そういう観光政策をしていかなあかんということなんですよ。いまこの宿泊施設の誘致の拡充をこのまま進めていったら、市長はお断りと言ってるのに、現実的には具体的にはお断りするような事態にはなっていない。観光政策として市長の言ってることとやってることが違う。こういったことの説明責任はどのように取られるんかと思うんですけど、観光政策としてどのようにお考えか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)お断り宣言を市長から出され、その前後で経済界に対してもそういった要請をし、経済界も理解を示されており、そういった形で各事業者にもそういった趣旨を説明していると。そういったことで一定の理解が、一定の効果があるのかなと認識。また、この後の議論にもなるかと思うが、それらを担保するための制度というのも、我々としてはいま検討しているところ。そういった形でしっかり対応してまいりたい。

◆山本陽子議員/請願提出時には4470筆、ネット署名141筆が、12月5日までの間に291筆積み上げられて4902筆の提出があったと聞いている。京都市としてこれだけ多数の住民のみなさんの要望が出ていることについて、疑義が出ていることについてはどのようにお考えか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)こういった形で請願が出ていることについては我々もしっかり認識しなければいけないことだが、ただ一方で、先ほど井上先生(自民)の質疑の中であったが、そのまさに地域住民の方が、「自分たちなしで議論を行われること自体を非常に懸念している」と、そこを我々としても非常に懸念している。そこについてはしっかり丁寧にやっていかなければいけないと認識。

◆山本陽子議員/5000人近い方が懸念を示されているんですよ。そういう計画を京都市は「上質」と言って進めるのかということが、これ京都の民主主義といいますか、住民の声が、ここで聞き入れられなかったら、本当に住民の生活環境との調和、住民との調和と言えるのか。そういった重大な問題がこのホテル建設にはあると思う。今日、まったく具体的な議論ができない状況。周辺地域の懸念について、具体的に議論していかなければならないし、京都市も責任を持って住民のみなさんが懸念を示されていることについて本当に大丈夫と言えるのか。観光客の増大、交通混雑、自然環境への影響、このことをちゃんと説明責任果たされるように、私は審議の継続が必要だと思う。

(→糟谷・観光政策監)多くの署名が出され請願がなされたこと、私どもは真摯に受け止めているが、一方でまちづくり協議会の皆様が、大変多くの署名が集まったということで、ややもすると「自分たちがホテル建設推進派と見なされて非難を受けるのではないか」といったご心配をされているなど、心理的圧迫を受けているってこと自体についてはよろしくないかなと思っている。一番身近な協議会のみなさんが誰よりも景観、また、暮らしについて真剣に考えておられるので、そういった方々と事業者がこれからも前向きな冷静な議論ができる、そういった環境を京都市としても全力をあげてつくっていきたいと思っている。

◆山本陽子議員/言いましたように、景観を守ろうとがんばってこられた、まちづくり協議会のみなさんにその責任を押しつけるようなことがあってはならないと、いうことを6月の段階で私は申し上げた。広く住民のみなさんに事情を公開して、まちづくり協議会の方だけに責任を着せないようにしていただきたい。私は6月の時点でも言ってきた。この上質宿泊誘致制度が、100m圏内のみなさんに責任を着せる、そのことで京都市は有利にこの件を進められるということならばそれは改善をしていただきたいと思う。

**********

◆井上けんじ議員/一般論だけども、いろんな意見の違いがあるのは当たり前だし、それぞれいろんな団体があるのも当たり前だし、だからこそそれぞれ活動される場合もあれば、一致するテーマがあれば力を合わせて取り組みされる場合もある。だから「誰それがこうおっしゃられた」という引用という形で答弁される場合と、部長自身の気持ちが入ったような答弁と、区別がちょっとつかなかったような印象を受けたところもあったりして、僕らも公の人間だから、誰それがこうおっしゃられたという引用部分と、私の主観を交えた話と、そこはきちっと区別して、ことさらに違い、いろんな団体の違いを強調するような印象を与えるようなというのは、ちょっとやっぱり今後、私も含めて留意していかんとあかんと。ちょっとさっきの答弁聞いてね、なんか違いばっかり強調してるような印象を受けたので。考える会と協議会とは別に接点を持っておられるわけだからね。先ほども質問もあったように2つ目のテーマについては森川さん(維新)も「一致している」っていう意味のこと言うたはるわけだから、僕はあんまりその違いを強調するような印象を与えるような答弁についてはね、留意していかんとあかんとあらためて思う。

それで高木部長、さっき建築基準法の紹介いただいたが、「これこれの場合はこの限りでない」と。それで今後の論点として「公益上やむを得ない」というのは、この論点から外して、あくまで環境に絞って今後の議論の対象としていくと、こういう理解でまずいいのかどうか。

(→高木・都市計画局建築指導部長)いまご指摘いただいた通りで、「住居の環境の害する恐れがないと認める場合この限りでない」という、この点になる。

◆井上けんじ議員/少なくともお金取って営業してるおられる限りは「公益上」とは言えないと。はなからこういうことやね要するに。だから「環境」の問題が論点になっていくと今後のね。それはそれで分かりました。

それともう一つ、6月の委員会資料だが、「事業者からの相談以降、上質な計画となるよう、頻繁に助言・指導してきた」と。僕は本来だったら「ただし書き」を適用せんと建築基準法の本文の通り「5800(㎡)では無理ですよ」ともう一言言えばいいだけの話なのに、むしろ「上質適合」へ向けて助言をしてきた、誘導してきたと。いま紹介したとこは京都市が主語になっている経過のところだから、そういう点では、「地域の活性化に寄与する上質な宿泊施設の計画となるよう本市が助言・指導を行ってきた」と。だから事業者からの申請をどう受け止めるかというよりも、むしろ市からのアプローチで指導してきたと、こういう流れでいいかどうか、この点の確認をちょっとしときたい。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)先ほど私から申した通り、事業者と地域、協議の場には京都市の職員も一緒に入って、話を聞いてきた。そういった中で、しっかりと地域の声を聞いた計画となるように、京都市のほうからもちゃんと計画検討にかかる助言・指導をおこなってきた、京都市が主語として行ってきたという状況。

◆井上けんじ議員/だからさっき山本委員(共産)もおっしゃったように、産観がやね、そういう立場でどんどんどんどん事を進めたらやね、都市計画局がやね、なんぼこの歯止めの可能性も含めていろんな審査やりますやりますって言うたところでね、事がどんどん進んでいくっていうことをさっき彼女が危惧するとをおっしゃったわけでしょ。僕が事業者だったとしたらね、「これ5800やけど京都市は認めてくれや」と、ほな京都市はやね、「いやそれどうしょかなあ」と、「まあ上手にやってくれ、上質やから認めよかどうしよか」と、いう話になるかもしれんけども、今の話だったら京都市自らが上質に適合するように指導してきたと、「頻繁に助言もしてきた」と、もうこういう経過なんだから、あなたたちがリーダーシップ取ってるというか音頭取ってるというか、あなたたちからのアプローチで事が進んでると、こんなことがもうはっきり経過上してるんじゃないかとあらためて思う。

そもそも「上質宿泊施設誘致制度」の性格は何かと。僕に言わしたらこんなん単なる「要綱」にすぎないのであって、住民を規制する根拠足りえないと思うんだけどいかがか。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)上質宿泊施設誘致制度の根拠・位置付けだが、あくまでもこちら自体は条例で義務付けているものではない。あくまでも先ほど申した通り、こちら規制緩和の制度ではない。ただ、宿泊施設を立地するにあたって、より地域の声を聞く、より地域活性化に寄与する、そういった宿泊施設にしていただけるように、この上質宿泊施設誘致制度をつくったもの。そういった意味では、条例にもとづく制度ではないが、より地域に調和した、活性化に資するような宿泊施設になるように、それを後押しするようなものだというふうに認識。

◆井上けんじ議員/一般的に言うたらやね、都市計画というのは、自分の土地である限りはね、別に「100mのビル建てて何が悪いねん」という考え方が一番出発点にあるけれども、それではまちの環境も住環境も守られないし、一定の歯止めが必要だということでいろんな制約をかぶせているわけでしょ。だから昔からの例で言うたら、3000(㎡)以上はダメだと、そこを要綱で地方自治体がこれを2000(㎡)までね、引き下げて、2000~3000もやっぱり住居地域ではダメですよと、こういう方向での要綱はあり得た。だけどそれはいろんな事業者からの反撃というか、議論もあってやね、なかなかこの「要綱行政」というのが難しくなってきてるというのはあろうかと思うが、今回の場合はむしろ要綱で緩めてるわけでしょ。だからなんで、住民は法律には従う義務があるかもしれなけれども、要綱に従う義務はないってことを私言ってるわけですよ。だからあなたたちがなんぼこの「制限区域で建てても構わないよ」と言うたところで、それは住民を拘束するもんじゃないと僕は思うってことを言ってるわけですよ。この辺の議論し出したらまた時間かかるから指摘だけ、私の感想だけ言っときますけれども。

それで、今回の地域について、さっきの建築基準法の問題だけじゃなくて、古都保存法であったり、都市計画法であったり、本市の条例で風致地区条令とか、いろいろあろうかと思う。どういう規制がかぶさってどういう内容なのか、端的に言って、「市長が許可するかしないか」、ここのところが問われている、いろんな網がかぶさっていると思うんだけども、そこで最後に聞きたいのは、その辺のことを教えていただいたうえで、要は「市長の判断一つ」だと、もちろん審査会のご意見聞いたりせんとあかんけども。権限の所在について、この質問の最後に教えていただきたい。

(→高木・都市計画局建築指導部長)建築基準法上「用途の許可」は広く知られているもの。旅館・ホテル以外の用途のものでも、「用途地域に適合しないけれどもできないですか」というご相談などは我々の窓口で日常的にあるもの。旅館・ホテルについても、そのようにこちらのほうにご相談があって、「この上質制度がございますよ」と私どもからお話をさしていただき、MICEと連携のうえで、早期から十分連携して対応しているような形でやっているので、手順としては、まず「上質選定」があって、その後に「用途許可」という手順なので順番にやっていくということだが、できるだけその辺、そごのないように協議をしながら進めていってる。なおかつ元々、上質制度がなくても、条文上「用途許可」の制度があるという点もあらためて申し上げたいと思う。

(→山本・都市計画局都市景観部長)当該地は「風致地区」の「第三種地域」というところに入っている。なおかつ「風致保全計画」で仁和寺門前の地区についての記述等々もある。そういうものとも照らし合わせながら、周辺地区の風致に著しく不調和でなく、建築物等の高さは10m、建ぺい率は風致地区により最高でも40%となっている。あるいは外壁の後退、距離なんかも基準である。緑地の規模等もあり、それらの基準に適合していることを審査さしていただくことになる。ちなみに、美観風致審議会という第三者機関にもかけたうえで、最終の許可をするというような流れになる運び。

◆井上けんじ議員/これは土地区画の形質の変更っていうんですか、要するに開発行為に当たるのか当たらないのか。この点はいかがか。

(→山本・都市計画局都市景観部長)これはこれからの話だが、開発許可を取る方向で協議が進んでいる。

◆井上けんじ議員/開発の問題にしても建築の問題にしてもね、風致地区条令にしてもそうだし、歴史的風土特別保存地区にしても、結局みんな市長の判断一つというかね、市長がね「これはやっぱり具合悪い」と思ったら、その権限、市長お持ちなわけでしょ。例えば国のとの関係で言うたらやね、市長はこうしたいと思ってるけど国のいろんな法律の制約でね、思うに任せないということはいろいろあろうけれども、今回の場合は市長の権限でしょってことを最後に確認したかったということが今日の一つではある。

それともう一つ、上質宿泊制度をさっき単なる要綱だって言ったんんだけども、「地域活性化に資する宿泊施設を誘致しようとする地域住民の皆様や、進めようとする事業者の皆様とともに、本市が誘致したいと考える上質な施設に期待する事項を盛り込んだ計画の実現を図る」と。その地域の方がね、積極的に誘致しようとされておられるのか。この点ちょっと経過を聞きたい。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)先ほどご説明の通りだが、本件計画地については、現在空き地のままの状況、治安上の問題、不法投棄、駐車場の温床となるなどの課題があると、そういった中で、地域としては納得できる形での土地利用ができるだけ早期に決まることを望まれていると。そういう一環の中で今回ホテル計画について協議に応じられてスタートしたと、そういうような認識。

◆井上けんじ議員/あなたたちが発行しているリーフレットそのものをそのまま引用してるんですよ。「地域活性化に資する宿泊施設を誘致しようとする地域住民の皆様や」って書いてあるさかいに、誘致してはるんですかって聞いてるんですよ。今の答弁ではね、調整してるっていうか、空き地をどうするかってことだけの話であってやね、僕はそういうこといろいろ言い出したらね、結局その要件を十分満たしてないと、こんなことあらためて思う。要件と言っても単体ルールばっかりで、景観とか環境とかお住まいとの関係とかそういうことについては候補要件としてはほとんど書かれていない。引き続き今後とも議論させていただいたらと思う。

(→福原・観光MICE推進室観光戦略担当部長)「地域の方々が求めるもの」ってのがパンフレットに書いてあるじゃないかというご説明あったが、こちらについては、地域主体となって提案される場合と、あとは事業者が主体となって提案される場合がある。そういった中で事業者の側から提案があった場合は、そこから地域住民との橋渡しを行っていくと、そういった制度になっているので、それについてはご理解いただければと思う。

◆井上けんじ議員/そもそもね、何が貢献してね、何が上質なのかっていう判断の基準もね、「上質やったらええ」と、「上質やなかったら、貢献せえへんかったらお断りや」と、じゃあほなその境目がどこにあるのかと。基準も結局曖昧なままなんですよ。この方針だって結局曖昧なまま。恣意的な余地がなんぼでもあると私は思う。

2019年12月9日【産業交通水道委】産業観光局/請願審査「仁和寺周辺地域の景観及び住民の生活環境の保全」

(更新日:2019年12月09日)