土砂災害を未然に防ぐために、京都市でも「土砂条例」の制定を(2018年10月2日/決算特別委・行財政局・やまね)

◆やまね/あの私からは、えー土砂災害対策についてお聞きしたいと思います。で「事務報告書」によればですね、えー昨年度もハザードマップづくりが進められて、えー「土砂災害危険箇所を有する78学区のうち、すでに作成した66学区をのぞく12学区で作成し、住民への配布を実施した」と、いうことでありました。で、危険箇所を明らかにして、日頃から災害に備える、えーこれは重要な取組だと、私も思います。

で、合わせて、えーこれ昨年度から、伏見区の深草、そして小栗栖地域で起こっているような、土砂災害の危険箇所が新たに増えるようなことがあってはならないと、いうことも思うわけです。で、あの、この小栗栖の土砂崩れはですね、深草の大岩山山頂付近に人為的に積み上げられた土砂が、豪雨によって崩落し土石流となって、民家のすぐ手前で止まったものでありますが、まさにこれは、京都市も進めてきたハザードマップの作成、その中で、えー示されている、ハザードマップで示されている土砂災害特別警戒区域に土砂が流れこんだと、こういう事案ですよ。でー私はこれ本来あってはならない、えー事態と考えているんですけれども、まずその点のご認識をうかがいたいと思います。

(→平松・防災危機管理室長)はい、えーっと、本市78学区で、すでにもう土砂災害ハザードマップ作成し、地域を、えー住民の皆様には周知をさせていただいております。えーその中で、えー土砂災害、ま、発生してはなりませんけれども、発生した場合の、えー避難誘導、避難経路、などについて、えー明示をしているところでございます。えーそのハード面につきましては、えー基本的に京都府内の対応になるかと思いますので、えー状況につきまして、えー、ま、必要なところの箇所につきましては、えー本市からも要望したうえで、対応を求めてまいりたいと、思っております。以上でございます。

◆やまね/あのまあ発生してはならない事態だと最初にお話ありましたけれども、あの8月31日にはですね、小栗栖の自治会から京都市長あての要望書が提出をされております。で、そこでは、私どもも文書を読ませていただいたんですが、「市の指導で搬入された土砂が、人家を襲うなどということがあってはならず、万一、そうなれば、京都市政にとって将来にわたる大きな汚点となることは間違いありません」と厳しく指摘をされています。で、その、同じ要望書にはですね、京都大学の防災研究所の先生お二人が「京都市の防災危機管理室の依頼で現地調査をされた」と、いうこともあってですね、えーお聞きをしたいんですが、この調査結果について、防災危機管理室としてはどのような報告を受けているのか。特にですね、豪雨で崩落をした斜面の地盤や地質にはどのような特徴があると認識しているのか。これが一点です。で、もう一つは、8月6日の総務消防委員会ではですね、「土嚢を積むなどの緊急対策」と合わせて、いま「庁内の関係部局が集まって抜本的な対応について協議中」というご答弁いただいておりますが、その後の検討状況ですね、どうなったのか、一定の方向性が出てるのかどうか。えーこの二点について、えーどうでしょうか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、えー、その防災危機管理室が、えー京都大学の先生に依頼した調査の結果で、えー関してでございますけれども、えーこの依頼につきましては、台風12号の接近に備えまして、えー関係局の間で対応について協議した結果の一つと致しまして、えー通常、通常時よりも、土砂災害の危険性が高まっていると想定されること、また、えー、地元の不安感も高まっていると、いうことから、えー関係地域に必要に応じて早めに避難情報を発令することと致しました。えーそのために、えー発令の目安となります基準を設定するためのアドバイスをいただくために、えー7月27日に、えー防災危機管理室から、えー京都大学防災研究所の先生に依頼し、現地を確認いただいております。えー先生のコメントとしましては、「発生場所の地盤は泥岩であり、水が浸透しにくい性質であるため、降雨により土砂が流れる可能性がある」、これが一点でございます。えー二点目が、「再度土砂が流れた場合、以前に流れた場所の上を流れるため、より遠くまで流れる可能性も否定できない」と、えーこの二点をうかがっております。えーこれらを踏まえまして、えー醍醐支所とも協議の上で、え、避難情報発令の考え方を、えー整理したところでございます。以上でございます。

◆やまね/あのーまあいま地盤についての特徴も言っていただいたわけですけれども、あのこの泥岩というのはですね、まあ圧縮をするとスズリの材料になるような、もので、で、水は浸透しないと、だからその、それが地盤であるとその上を水が流れていくということで、表層崩壊の危険もあるということをうかがいました。で、いま、ま、より、今後ももし災害が発生するとより遠くまで行く可能性があると、いうことなんですが、それと合わせてですね、私どもお聞きしてるのは、この斜面の造成にもかかわらず、土の中に排水設備がないと、これもえー危険だと、いうこともうかがっております。

で、実際にですね、その後どういう事態になっているかということでありますが、えー、新聞報道を見てもですね、台風21号の際にも崩落をしてると。すでに3回、崩落が確認をされています。で、これまで崩れた部分だけではなくて、えーこの違法造成地の東側や西側でもいま崩落が起きているということで、この危険がなおも続いていると。で、地元のみなさんはですね、ほんとに台風や大雨のたびに不安な日々を送っておられるという状況であります。

で、問題は、えーなぜ、えーここまでの事態に至ってしまったのかと、で、これをどう見るのかということなんです。えー大量の土砂がここまで積み上がったと。で、それが豪雨で崩落をしたと。これはですね、京都市として最善の手を尽くした結果なのか。市の対応は適切だったのかどうか。で、これ土砂災害対策を所管する部局としてはどのように認識、認識をされているでしょうか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、えーすみません、先ほどちょっと、えーお答えがちょっと漏れておりました。えー現在の取組状況、協議の状況でございます。えー大きくは二点あるかと思います。えー違法造成地の指導、えーですね。これにつきましては都市計画局のほうで、えー必要な措置を、えー実施しているところでございます。えーもう一点は、えー現在あのー、土砂が流れ込んでいる、そのため池の、浚渫工事、これを一方でやっているところでございます。

そして、えーその土砂が、あー積み上がっていく、これまでの取り組み等についてなんですけれども、えー本年の1月上旬に、えー当該違法造成を覚知後、速やかに、えー宅地造成等規制法に基づきまして、土地管理者に対し指導を行い、えーその後、同法に基づく土砂の搬入停止命令、さらには災害防止のための措置を取るよう命令を発し、行政代執行もじさない覚悟で、安全対策に全力を尽くしていると、えーいうふうに認識をしております。以上でございます。

◆やまね/あのー京都市として、最善の手を尽くしていると、市の対応は問題ないと、いうご認識でよろしいですか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、えー、覚知後の対応としては、問題ないかと思っております。

◆やまね/で、私はですね、そういう認識でいいのかと、いうことを思うわけです。あの京大防災研のこの先生はですね、8月23日付の毎日新聞に寄せたコメントで、「崩落防止工事は土砂を減らす方向で進めるべきだ」と述べられていると、いうことでですね、私はこれ専門家の先生のご意見は重く受け止めなければいけないと思うんですね。で、つまり、ここまで土砂が積み上がってしまったというのはもうアウトだと、いうことですよ。でー、いま「覚知後の指導」は、あの「適切だった」というような趣旨のご答弁ありましたけれども、そしたらですね、「適切に指導やってきた」と、「対応に問題なかった」と、にもかかわらず、崩落事案が発生したというのが問題だと、私は言わなければいけないと思うんです。でーですからね、既存の法律や条令では、その下の対応ではですね、今回の土砂災害を防げてないということになるんですね。京都市の言い分だと。でーですから私は「できることをやってきた」というような認識では、同じような事態がですね、くり返される危険性があると。おーですからもっと前の段階で、これはストップをしなければいけなかった事案だと。そういう認識に立たなければいけないと、いうふうに私は思います。

で、今後の対応について、えーもう少しお聞きしますが、一つはですね、抜本的な対策といった場合に、「持ち込まれた土砂の撤去」を考える必要もあるんではないかと。えーこの点について一つうかがいたい。それから二つ目に、こういった形での土砂災害を未然に防ぐために、この間、えー議論されております「土砂条令の制定」、これ昨年の8月時点で20の、えー都府県と、それから市町村では約300の自治体で、えー制定されているわけですが、えーこういう土砂条令の制定が京都市でも必要ではないかと、えーいうふうに思うんですが、この二点についてお聞きしたいと思います。

(→平松・防災危機管理室長)はい、あのー現状の、土砂の撤去に関してでございますけれども、えーこれは、都市計画局のほうから、たぶん指導の中の一環として、えー指導されてるんではないかと、思っております。えーそれと土砂条令に関してでございますけれども、えー政令指定都市であります本市では、宅地造成等規制法ですとか、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などに基づく規制、指導権限を直接執行できると、えーそういうことから、えー本件の事例を含めまして、同種の違法造成等の事案に対しましては、既存の法制度を駆使し、いわゆる土砂条令がなくても、適切に対応ができると考えていると、えー関係局からうかがっているところでございます。えー私としてもその通りだと認識をしております。以上でございます。

◆やまね/あのーそれではね、全く不十分だと、私は思うんです。で、ちょっとね、いまあの一つ確認したいんですけど、土砂の撤去について都計のほうで指導をしているということなんですけど、それは山の上の土砂を撤去するという、こういう指導が行われてるんですか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、えー、すみません、ちょっとあの詳細はちょっとあの、現在ちょっとあのわかりかねますけれども、えーまあおそらくその違法で搬入された、えー土砂、あーですので、えーその辺りも含めてだと、いうふうに思います。

◆やまね/ま、ちょっとその辺りはですね、しっかり確認をしていただきたいと思います。であのー、昨年8月に、国土交通省が、あのー自治体向けのこういった参考資料を出しておりまして、えーこれはですね「建設発生土の取扱いに関わる実務担当者のための参考資料」と、いうものであります。でこの中に大変重要な指摘があると私は、えー思いました。で、ちょっとだけ紹介しますが、「不適切な事案への対応は、問題が深刻化してからでは解決が難しくなるので、初期対応を速やかに、かつ毅然と行い、行為が小規模なうちに」と。それから、「市民からの情報があるにも関わらず、あるいは、いずれかの部署で異変を感じているにも関わらず、庁内での役割分担が明確になっていないことや、自らの所掌でないからといって見てみないふりをしていると、問題が大きくなってしまう」と。「指導している状況を公にすることで悪質な行為者への抑止力になる」と、いうことが書かれております。私はまさに京都市へのアドバイスのように思いましたけれども、国もこういう点を示してですね、「土砂条例制定を」と促しているわけですから、私は土砂災害を未然に防ぐために、えー防災危機管理室が率先して「京都市でも土砂条令をつくろう」という立場にですね、立つべきではないのかなあと。先ほど既存の法律で対応できると、条例で対応できるということなんですけれども、あらためて認識をうかがいたいんですが、やはり土砂条令は、えー必要ないという、そういうご認識なんでしょうか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、えー、あのくり返しになりますけれども、えー先ほど申し上げた通りでございます。あの私どもとしましては、えー関係局の間で、えー土砂条令がなくても適切に対応できると、いうことですので、土砂災害防止の観点からも有効であると、いうふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/あのもう一点確認したいと思います。京都市はですね、この間、先ほども言われましたが、「本年 1月上旬に当該地への土砂搬入を覚知後、指導を行ってきた」と、言われているわけですが、市民から通報があったのは昨年9月頃ではないのかと。でー少なくとも我が会派は昨年12月にこの問題市会で取り上げておりますので、京都市がですね、現地の状況を今年1月になってから初めて知ったなどというのはあり得ないと、思いますがいかがですか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、あのー、えー、すいません、あの都市計画局からそのようにうかがいましたので、えーちょっと、えー真偽のほどはちょっと、えー私のほうではお答えしかねますけども、えーちょっとそこは確認を致したいと思います。

◆やまね/ですからね、これ情報共有もね、できていないというのが実態だと思うんですよ。あの先週の金曜日、9月28日の京都府議会で、我が党の馬場こうへい議員の質問にですね、京都府の森づくり推進課長が「地元から通報があったのは昨年9月の時点と聞いている」と、「その時点から、京都市の林務担当課、開発指導課のほうで動かれているという情報は聞いている」と、「そういったなかで、府の林務事務所に対して相談を受けた」と、こういう趣旨の答弁をされているわけですね。ですから京都市は、昨年9月の時点でこの問題を認識していたはずだと、いうことであります。でー、あのー、いま「そう聞いている」と、いうお話があったんですけれども、そうすると防災危機管理室としてはですね、あのー市民から通報のあった9月から1月までの間は、何も知らなかったと、いうことでしょうか。

(→平松・防災危機管理室長)はい、あのその通りでございます。あの承知はしておりませんでした。

◆やまね/まあだからそのこと自身がやはりね、大きな問題だと言わざるをえないと思うんです。で、毎日新聞、これも8月23日付の報道ですけれども、「昨年6月~11月、大型トラック延べ2500台以上が大量の建設残土を集中的に持ち込んでいたことが業者の搬入記録で分かった」というふうにあります。ですからもしこれが事実だとすればですね、えーもし京都市が「1月に初めて知った」と、いうことを言っているんであればね、半年以上も、これ何も実態つかめていなかったと、いうことになるんですよ。

で、あらためてこの国交省の資料でですね、あのー中身紹介して終わりますが、この土砂条例を制定することで「小規模な行為についても対象」としたり、それから「許可不要な行為であっても、不適切な状況が明らかになった場合には行政が指導・命令を行うことの出来る権限を規定」すること、こういうことがですね、紹介をされてると。ですから、もしこの土砂条令がきちんと制定していれば、市民の方から情報が寄せられた昨年9月の段階でですね、もっと機敏に対応することもできたのではないか、いうことが一つ思います。

それから、あのもう一つですね、これまで行われている、あの先ほどの言っていただいた緊急対策、あるいは現在まあいろいろ検討されている抜本対策とかですね、このコスト誰が負担するのかという問題もあるわけですね。で、これもね、国交省のこの資料の中でね、「崩落事案発生により代執行を行った場合、要した費用を後日に行為者へ要求しているが、回収が完了していない例が大部分」と、いうふうにあるわけです。この点でもね、コストの面から見ても、こういう事態を未然に防ぐと、いうことがいかに大事かということだ思います。

で、あらためて、土砂災害を未然に防ぎ、市民の命を守るために、京都市でもぜひ、「土砂条例の制定」をですね、検討していただきたい、行っていただきたいと、えーこのこと強く求めて、終わります。以上です。

2018年10月2日【決算特別委】行財政局/土砂災害を未然に防ぐために、京都市でも「土砂条例」の制定を

(更新日:2018年10月02日)