「地価高騰で若い世代流出」京都市の宿泊施設はすでに過剰!これ以上の誘致はやめよ(2017年12月21日/まちづくり委・都市計画局・やまね)

◆やまね/あのーまずですね、えーあらためて都市計画やまちづくりの専門家の方にこの間お話をうかがってきたんですけれども、えーその建築基準法で「用途制限」とかですね、「道路と見なされない敷地では建て替え等を制限」しているわけですが、にもかかわらず、民泊新法(住宅宿泊事業法)のもとでは、「不特定多数の人が出入りする宿泊事業」が認められると。「住宅」のままで認められると。で、そこでですね、あのーご意見をいただいたのが、「なぜ元々の法律があるのに、別の法律で変えることが可能になるのか」。こういうことやってたらですね、「元々あった都市計画法や建築基準法は何だったのかということになるのではないか」と。「建築基準法自体がおかしいことにならないか」という、まあこういうご意見頂戴したんですが、そのことについてちょっとご見解を聞かせていただきたいと思います。

(→歯黒・建築指導部長)えーいまのご質問でございますが、あくまでも今回あのー、おー、えー、新法ができてるわけでございまして、えー既存の住宅を、えー利活用すると、いう大きな目的がございます。えーそういったなかでこの新法の中にも、建築基準法上の、えー定義ということで、住宅・長屋・共同住宅にみなすということを明確化されておりますので、えーそれ以上の見解等はございません。

◆やまね/まああの、この民泊新法(住宅宿泊事業法)というのはですね、まああらためて私は大きな矛盾を抱える法律だということは指摘しておきたいと思います。それであの、8月の国への要望の中で、「住民の悲鳴のような苦情が押し寄せ、一自治体では対応しきれない状態」という切実な状況を、京都市としても訴えられてきたわけですが、で、そこでですね、あのーこの京都市内において「悲鳴のような苦情」が押し寄せた、「違法民泊」や、あるいは「簡易宿所」でもトラブルが起こっている、まあそういう住環境の悪化ということがですね、問題になってきたのはね、どういう地域かと。それは行政区など地域的な特徴があるのか。それともまあ全域で起こっている問題という認識なのか、その点はいかがでしょう。

(→歯黒・建築指導部長)この問題について、窓口が、保健福祉局、または観光MICE(産業観光局)ということになってございます。えー苦情の相談の総数という形では、あのー情報提供は受けておりますが、あー行政区別というような中身については、いま私の手元にはございません。

◆やまね/んーということは、どうなんでしょう。都市計画局としては、そういう住民のみなさんからの苦情とか、いろんな切実な思いについてですね、この行政区がこういう状況だとか、こういう地域がこうなってるとか、ということではつかんでおられないということでしょうか。

(→歯黒・建築指導部長)くり返しになりますが、窓口のほうが、えー違う局でございます。ただ、あの私どものほうもですね、ええと午前中にも申し上げましたように、「建築協定」「地区計画」というような、あー、え、ま、きめ細やかな、あー立地規制をすると、いう制度がございますので、えー地元の方から、その制度についての具体的な問い合わせ、というのは実際ございますし、えー地域のほうにも、そういった制度をしっかりと出前トークという形で、えー行ってですね、説明をしていると、いうところでございます。

◆やまね/ま、この民泊の、ま、通報の件数、いろんな問題でいいますとやっぱり東山とか、下京とか、中京、こういうところが非常に件数が多いということが言われてますが、ま、やっぱり行政区によってですね、多少の数の差ってのはあると思うんですが、やはり市内全域で起こっている問題だというふうに思うんです。で、その問題は、「違法民泊」はもちろん許されない。これは私どもも同じ気持ちですし、で、合わせてやっぱり問題なのはですね、違法民泊だけではなくて、この数年間で「簡易宿所」が激増してきたと。簡易宿所だけでいま約2000件あると。5年前と比べると5倍以上の数になってですね、「チェックインチェックアウトが対面で行われていない」とか、あるいは「帳場があったはずのものがなくなっている」とか、「ごみ出しがきちんと行われていない」とかですね、条例上も非常にふれるような事例も紹介されておりますし、それからたとえ条例や法に違反していなかったとしてもですね、午前中少し議論させていただいたように、周辺地域とうまくいかない、こういう事例もたくさんあると。で、その場合ですね、ただ、この簡易宿所は旅館業施設ですので、住居専用地域では禁止されている。だから住居専用地域では、こういう問題は起きないわけです。で、そこでですね、お聞きしたいのが、例えば「第1種住居地域」「近隣商業地域」など、用途地域別に見た場合にですね、それぞれの用途地域に簡易宿所がどれほどあるのか、施設数がどう推移してきたのか、こういう集計はされているのか。午前中は細街路と木造密集地の問題でお聞きしたんですが、用途地域別に見た場合に、そういう集計がされてるのかどうか、その点いかがでしょうか。

(→歯黒・建築指導部長)えー都市計画局としては、してございません。

◆やまね/私はこれはですね、ぜひしていただきたいと、思うんです。で、それはあの、第1種住居地域などではですね、住居専用地域ではありませんが、基本的にはやっぱり住居が中心の地域として指定されてるわけですから、そういうところにですね、住宅が密集している地域でですね、簡易宿所が次々できて困っているおられる方がたくさんおられるので、あのーそれぞれの用途地域で簡易宿所の数がどう推移してきたかっていうのは、非常に重要な、私は問題ではないかと思っております。で、あの午前中にも申し上げましたが、簡易宿所っていうのは京都市が許可した施設であって、当然住所も、場所もわかっているわけですので、えーぜひですね、これは、用途地域別の簡易宿所の施設数について、ま、過去3年間くらい、の推移がわかるようなぜひ資料を提出求めたいと思いますがいかがでしょうか。

(→歯黒・建築指導部長)これもあのー、件数がかなり、あーございます。えー保健福祉局と、えー協議をしたうえで、えーどういった形で出せるかと、踏まえまして、検討さしていただきたいと思います。あのー、先生いま、第1種住居地域ということで、まあ住環境というようなことを、ま、盛んにおっしゃってるところでございますが、ま、あのー、都市計画のほうの中では、住居地域とあと、えー住居専用地域ということで、かなり、いー、あの、住宅の環境のですね、保全の立場が違うということを、ご理解願いたいと思います。住居地域では3000㎡までのですね、宿泊施設は立地を認めてるという地域でございます。

◆やまね/あのーそれは十分私は理解したうえで申し上げてると思ってます。あのーそういう地域であっても、やっぱり住民のみなさんからすればですね、住宅地がたくさん並んでる地域にね、なぜこれだけ次々と宿泊施設ができてしまうのかという思いでおられるわけで、そして住居地域であれば、えー住環境守らなくていいということにはなりませんので、ぜひこの数はですね、出していただきたいと思います。

それから、あのー加えてですね、えーちょっと認識おうかがいしたいのが、12月4日「京都」で報道されております「京の子育て世代流出」という記事についてですね。あのーまあ私も30代なんですが、京都市の30代の世代のみなさんが「大阪府・滋賀県・乙訓地域を含む京都府南部に1183人転出超過」という記事がありまして、その原因としてあげられているのがですね、「住宅価格の高騰」と。でー、「市内マンションの平均価格は30代の転出先上位10市に比べ、2割強~5割も高かった」ということでですね、「特に訪日観光客向けのホテルの需要が根強い市中心部の物件は部屋1㎡当たりの価格が転出先のほぼ2倍」ということで、「街なか居住が困難になっている」という記事がありました。それであの、若い世代が住み続けられる住宅というか、まちというか、それをどうつくっていくか、どう確保していくかっていうのはですね、これは若い世代の責任というよりも、あのーやっぱり京都市に課せられた大きな課題ではないかというふうに思うんです。で、あの庁内の、これあの産業観光局の質疑でですね、「庁内の連携会議では都市計画局が事務局をされている」という答弁があったんですけれども、この問題については、どんなふうに受け止めておられるでしょうか。

(→谷口・都市景観部土木担当部長)はい、えーと先生あのー、えーとご質問のあのー、人口減少も含めて、えー都市計画審議会にえーっと持続可能な都市の構築に向けた、施策を検討する部会を設置さしていただいておりまして、え、各種人口ですとかあるいは産業ですとか、えーそういうようないま指標の中でいろいろと、あのご議論を交わしていただいているところでございます。え、その中で一定、今後本市が進むべき道をいろいろと探っていきたい、このように考えております。以上でございます。

◆やまね/あのー、もう少しちょっと中身のですね、受け止め、私がお聞きしたのは、あのー、若い世代が、やっぱり流出してしまっていると。京都市から。そのことについて、都市計画局としてどのように受け止めておられるのかと、いうことをお聞きしたんですけどいかがでしょうか。

(→谷口・都市景観部土木担当部長)はい、えーっと、まあ若い世代の流出ということで、あの、えっといま申し上げましたように、その部会の中で、そういったことも含めた中でいま京都市に起こっている課題が何なのか、え、それに対してどういうような、え、解決方法があるのかっていうのを総合的にいま検討している状況でございます。えーその部分だけについて、えーといまの現状認識あるいは、ここどうしていくかっていうところまでまだ結論に至っていない、そういう状況でございます。以上でございます。

◆やまね/そしたらもう少し、あの絞って聞きますけれども、あのー「部会の中で議論して総合的に検討している」ということなんですが、あのーこの記事にあったのはですね、観光客向けのホテル建設ラッシュで地価が高騰をして、そして若い世代が住めなくなってると、この認識については、お持ちなのかどうか、いかがでしょう。

(→谷口・都市景観部土木担当部長)はい、えーと我々のほうがこの、えーと状況をきっちりとつかんでというようなことではございません。あの、えー我々のほうからこういう状況を、えーと新聞記者のほうに申し上げた状況ではないということでございます。以上でございます。

◆やまね/まあちょっとなかなかあれですけど、12月8日「京都」ですけどね、これは、ここではですね、あのー「京都商工会議所など京都の経済4団体のトップと市長が懇談会」をされてると。で、その中で、商工会議所の立石会頭が「外国人観光客の増加に伴い、違法民泊や民泊利用者による騒音が市民生活を脅かしている」「民泊ついて、住居専用地域や共同住宅では最も厳しいルールを盛り込むことが必要」と強調されたという記事なんです。で、私はこれ見てですね、やっぱり経済団体のみなさんの申し入れでもやっぱり「このままではいけない」というような、危機感が表れているというふうに感じたんですが、あのあらためてですね、そういう意味では、観光客をとにかく呼び込んで、宿泊施設を拡充・誘致していくというこの政策をですね、いま一度立ち止まってね、見つめなおす時ではないかと。で、特に、この記事にあるようにですね、「地価高騰による若い世代の流出」が起こっているってことは、私はやっぱり都市計画や住宅政策を担う都市計画局が、やっぱりどこかで歯止めをかけていく、そういう役割が求められてるんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。

(→谷口・都市景観部土木担当部長)はい、えーっと観光政策については、あのー、えーと専門的にはあのー、え、産業観光局のほうで検討していただいている、ただしあの、えー先生ご指摘のように我々のほうも、先ほどから申し上げております部会の中で、えーっと一定人口ですとか産業ですとか、あるいはまあ交流人口、観光客も含めて、こういうものを総合的にトータルして、京都のまちの課題は何なのか、それに対してどういうような解決方法をしていったらいいのか、そういうことを検討しておりますんで、えーその中ではきちっと、あのー検討を進めていきたい、このように考えております。以上でございます。

◆やまね/あのま、トータルで、考えるというのは、そらもちろんそういう会議なのでそうなんでしょうけれども、やっぱり都市計画局としてのですね、立場が問われると思うんですよ。で、あの、これも12月5日「京都」の記事なんですが、私驚いたんですが、これまで京都市はですね、「外国人宿泊客の増加で(2015年度末から)東京五輪2020年までの5年間に新たに1万室の客室が必要」としてですね、「宿泊施設の積極誘致」をしてきたと。で、記事にはですね、「少なくとも1万2000室」はこの5年間で「増える見込み」だと。京都市が想定しているというか目標というか、これを4割上回ってですね、「市の試算を大幅に上回る」と、こういう報道なんですよ。で、今まで「宿泊施設が足りない足りない」ということを盛んに京都市はおっしゃってきたわけですけれども、目標を大幅に超過達成すると。で、この試算の中身は何かといいますと、「2016年度に京都市が許可した旅館業施設の客室数」、そして「今年4月以降に営業を始めたか、開業計画が公表された主なホテルの客室数を集計」したもので、ここにはですね、「2017年度以降のゲストハウスなど小規模施設は未集計」で数に入ってないと。ですから、実際にはさらに増える見込みだということが言われています。ですからこれはですね、私はこれ以上の観光客呼び込み・宿泊施設誘致というのは、明らかに過剰ではないかと、思いますけれども、いかがでしょうか。

(→歯黒・建築指導部長)ただいまの先生のご指摘、おそらく、昨年度に京都市の観光MICEを中心に、いー、あの、作成しました、京都市宿泊誘致拡充方針の、この中で現状というところの数値をいま、述べられたと、思っております。えー京都市がその何室ということではなしにですね、え、えーあくまでも京都市は多様な宿泊ニーズに、いー応えるために、京都らしいおもてなし、または、京都のしつらえを体感できるような、上質な宿泊施設を、えー誘導すると、そういう方針が、この中に掲げてるものでございまして、えー総量がどうのこうのというような、考えということではございません。

◆やまね/あのーちょっと確認したいんですけど、京都市はそしたら、あのー客室数の量は関係ないと、上質なものをとにかくやりたいと、いうことなんですか。

(→籏・都市企画部長)えーあの先生おたずねの件につきましては、あのー旅館業法の関係とかですね、えー上質の宿泊施設の誘致等につきましても、ただいまあの、担当の部長のほうからご説明がありましたとおり、基本的に保健福祉局なり、産業観光局なり、所管の事業でございまして、私どもも当然無関係ということではありませんから、えーそうした局と連携をとりながら、都市計画局としては、え、そうした課題も見据えながら、持続可能な都市のあり方について、いままさに検討しているということでございますので、そうした他局メインの所管のことにつきまして、都市計画局としてお答えできる範囲の見解は、いまそれぞれの部長が述べた範囲でございまして、それ以上の見解は私どもとしては、いまここでは申し上げにくいと、いうことでお含みおきを願いたいと思います。

◆やまね/ま、直接にはですねそら保健福祉局や産業観光局の担当ということになるかもしれないですけど、これ都市計画の私は重要な問題だと思うんですよ。で、12月5日、これも「京都」に載ってる「みずほ総研」の分析ではですね、えー「ホテルや民泊が増加し、2020年に客室が不足する懸念は京都府を含む全国で後退した」と、こういう分析ですよ。で、しかし、今日の今朝の「京都」で市長は「まだ足りない」とおっしゃってる。これどうなのかなと。で、住専地域でのですね、高級ホテルを認めることについても、「数件の計画案の提示を受けている」ということなんですけど、ちょっとそこでお聞きしたいんですが、この「住専地域での高級ホテル」について、えー記事があったわけですけど、この中身とか、件数とか、分かっている範囲でお答えいただけるものはあるんでしょうか。

(→歯黒・建築指導部長)基本的にはあのー何遍も申しますけど、この誘致方針の、えー上質宿泊認定、ということの、え、窓口は、観光MICE(産業観光局)のほうが所管してございます。えー、えー、あの、件数についても、えー、きちっとした件数じゃなしに、数件程度があるということは、あー情報として聞いてございますが、それ以上のことはございません。

◆やまね/あのま、件数は数件程度ということで、ま、聞いておられるということは、場所なんかもここではお答えできないということでしょうか。

(→歯黒・建築指導部長)あくまでもまだ、事前の相談でございますので、特定の場所というのは申し上げる立場ではございません。

◆やまね/私はやっぱりこの住居専用地域というのはですね、住環境保全が、やっぱり第一に求められる地域であって、そういうところにね、京都市が、誘致していくってことは、あの問題だし、止めるべきであるということを申し上げておきたいと思います。

であのー、この「京都」の記事にあるのはですね、市民の方の声が紹介されてましたが、「市が無計画にホテルを誘致しているのが問題。もっと住民と共存できるようにすべきだ」という声がありました。それから、不動産仲介業者の声としてですね、「乱開発気味になっている。京都で培われてきたまちづくりのルールを守りながらホテルを増やさないと住民が困る事態になる」という、こういうこともですね、えー載っていたわけです。ですから、私はやっぱりこれ以上の観光客呼び込み・宿泊施設の拡充っていうのはね、明らかに過剰であって、京都市のまちづくりにとってはマイナスだと。これは特に、都市計画局として住民の住環境を守るという立場で、ぜひ対応されたい、ということを求めて終わります。以上です。

2017年12月21日【まちづくり委】都市計画局/一般質問「民泊問題と京都市の宿泊施設拡充誘致方針について」

(更新日:2017年12月21日)