入学準備金支給は「返還」が生じないような工夫を!(2017年9月22日/予算特別委・教育委・山本陽子議員の質疑メモ)

◆山本陽子議員/共産党市議団は新入学学用品費の入学前支給を何回も求めてきた。直近では5月市会で堀信子議員が求めた。補正予算計上での対応、大変喜ばしいこととして評価する。市民のみなさんの願いもあり実現したもの。その意義についてどう考えているか。

(→東・総務部長)就学援助自体、経済的に大変厳しい子どもたちの教育を保障するもの。入学の諸準備、文房具、ランドセル、制服等が事前に準備できるのは、親御さんにとってもすごくいいこと。教育委としてもぜひ実施したい。

◆山本陽子議員/子どもの貧困対策、京都市も進めていこうとしている中で、必要な方に必要な時に支給できるという対応が求められている。小学校は他都市実績から50%と見込まれているが、これは見込みであって、対象者とされるすべての方、申請された方は全て、50%以上になっても支給する立場を確認したい。

(→東・総務部長)50%は先行都市の執行率。他都市では1月くらいから受け付けで本市の準備より遅い。本市は早くから周知するので50%超える申請あると思う。なかったとしても4月以降きちっと周知し、申請していただく準備進めていきたい。

◆山本陽子議員/ぜひ多くの方に申請していただき支給できるよう取り組みを。そのためには効果的な周知方法が必要。私も昨年経験したが、小学校の説明会で大量の資料の中に入っていても理解できないかもしれない。効果的な説明求められる。認知度上げることも必要。沖縄県ではTVCMで流されたと聞く。国も「子どもの貧困対策に関する大綱」の中で、「周知状況の徹底」を子どもの貧困に関する指標に加えている。具体的にどう考えているか。

(→東・総務部長)新小学校1年生は保護者が入学届けを持ってくるときに必ずお知らせを配布。そこにもれる場合は就学事前健診でも再度学校のほうから周知する。おっしゃるようなTVということはないが、教育委員会のホームページ、市民しんぶん、家庭教育新聞など、教育委員会として広報できるものはしていきたい。

◆山本陽子議員/課題としてあげられてきたのが「収入認定」について。前々年度の収入を基準に準備金を支給し、改めて収入を認定し直し、超えていれば「返還」が生じる問題。現場の校長先生からも「返還手続きが生じることになれば対応できるか不安」との声が上がっている。保護者のみなさんにとっても、ランドセルや制服についてすでにお金を使ったわけなので、いくら収入が少し上がったからといって返還するのは大変な負担。返還が生じないように工夫が必要だ。

(→東・総務部長)返還については現在も同様の扱い。6月時点で再審査する中で返還手続きしているが、せっかく入学前に支給するので、先生おっしゃるように大切に思っている。例えば前々年よりも前年のほうが収入が高くなった、また、家族構成によって急に高くなったら、一定は控えていただくことをお知らせする。4月以降5月以降15日までに一応申請していただいて、仮申請しといて、6月の時にもし万が一超えていたら(返還に)なろうかと思うが、そのあたりは周知で徹底したい。

◆山本陽子議員/手続きが細かくなると保護者もそこまで目が通せないことになる。知らなかったということになれば困る。そういうことにならないための策をしっかり検討されなければいけない。他都市の状況をみると、返還業務が生じないように、中学校入学については、「小学校6年生時の就学援助の支給項目」とし、次年度の認定には関係ないようにして、当該年度の支給として返還が生じないようにしている自治体もある。小学校入学については、国も入学前の支給に当たって要綱を変更している。解釈を変更して「就学予定者への支給」として認めている。京都市も他都市の状況も考慮して返還生じないように手続き、システムをつくるべきだ。

(→東・総務部長)国の要綱ではおっしゃるとおり「予定する」となってるが、この間の全国的な親御さんの思いも含めて「入学前までに支給するように」「倍額」となったが、私たちとしては公費を投入するので公平さに欠けることはできない。入学前だけ仮に返還なしとしても、継続審査の中で超えた場合に返還しないのかという課題もある。公平さの観点から返還していただく形で進めたい。

◆山本陽子議員/当該年度で対象となっている方に支給するのだから、翌年度収入が上がっても対象にならないということになるのだ。国に問い合わせても、返還が生じないようにする自治体の工夫は「尊重できること」と否定されていない。自治体の取り組みにかかっている。収入が少しでも上がれば返還しなければいけないのは一番残念だ。引き続き改善を検討していただきたい。

最後に、今回の前倒し支給は保護者にとっては大変助かるもの。ランドセルの平均額は4万円以上。中学校の制服や体操服の価格は合計10万円にもなる。支給額が倍になったが、まだまだ負担は重い。引き続き基準額を引き上げていただきたい。困窮家庭でなくても重い。そもそも義務教育の無償、憲法の理念と現実が乖離していることは国も認めている。引き続き無償化拡充の努力を。無償化であるなら実費負担少なくなるように。「受益者負担」という考えが保護者負担を拡大させてきた。憲法の理念に立ち、教育は公費負担でやるべき。OECD諸国の中で日本の教育にかかる公費負担は最下位レベル。保護者にとって負担が重過ぎるのは周知の事実。ぜひ改善していく努力を京都市としても。

2017年9月22日【予算特別委員会・第2分科会】教育委員会/補正予算審議「新入学学用品費の入学前支給にかかる経費」

(更新日:2017年09月22日)