市長・副市長と一問一答/市長総括質疑で「京都市美術館へのネーミングライツ問題」「原子力災害対策」について追及(2017年3月15日/予算特別委・市長総括・やまね)

◆やまね/よろしくお願いします。えー私は、京都市美術館へのネーミングライツ問題について、まずお聞きします。公共の美術館に企業の名前をつけるという点で、これまでのネーミングライツとはわけが違うと、このことをまず指摘しておきます。で、文化市民局の質疑で確認を致しましたが、京都市美術館は、博物館法でいう「博物館相当施設」であります。文部科学省のホームページでは、「博物館は、資料収集・保存、調査研究、展示、教育普及といった活動を一体的に行う施設であり、実物資料を通じて人々の学習活動を支援する施設としても重要な役割をはたしています」とあります。これが、法に定められた博物館の目的・定義の中身であります。で、その目的を達成するために、博物館法第3条で、博物館が行う事業について、細かく定められております。そこでまずお聞きしますが、博物館法の第2条と第3条、博物館の「定義」「目的」、そして「事業」の中に、「企業の情報発信」「レセプション」、書いてあるんでしょうか。局別質疑では明確な答弁がありませんでしたので、あらためてお聞きしたいと思います。書いているかいないか、いかがでしょうか。

(→藤田・副市長)えー博物館法についてご紹介いただきましたけれども、えー博物館法は、博物館の性格、あるいは、えーおおむね、その目的のためにこのような事業を行うという例示をしているものでございます。え、その中においては、あー今ご指摘ありましたような項目は、出てきておりません。

◆やまね/えー「出てきていない」と、いうことであります。それからもう一つ。「京都市美術館条例」では、京都市美術館の設置目的と事業について定めておりますが、その中に「企業の情報発信」「レセプションの開催」は書いてあるんでしょうか。

(→藤田・副市長)えー質問のご趣旨が少しよくわからないんですが、えー博物館、あるいは美術館、えーいろいろ、いろいろな、あー、例示はしておりますけれども、その例示以外のことはしてはいけないとか、えー、いわゆる様々な企画、趣向を凝らして、有効に活用すると、いうことについては、当然のことでありまして、えーそこに書いていることだけをする、あるいはそこに書いていること以外はしてはならないというようなことは、逆にどこにも書いてございません。

◆やまね/いやとんでもないことをおっしゃったと思いますよ。で、まずね、私が聞いた「書いているかいないか」ということがなぜ質問の趣旨がわからないのか。私何にも難しいこと聞いてないんですよ。あのレセプションの開催や企業の情報発信ということが、京都市美術館の条例の中に、行う事業の中に書いてあるのかと、聞きました。それについてなぜその趣旨がわからないのか。で、例えばですね、博物館法の第3条には、博物館の事業について、えー行う事業にあたってね、いろいろ書いてます。で、さらに第2項でですね、あらためて強調されてることがあるんですよ。で、その事業、「博物館が事業を行うにあたっては、国民の実生活の向上」、さらに「学校教育を援助し得るようにも留意しなければならない」と。「レセプション」「企業の情報発信」がなぜ、学校教育の援助となるんでしょうか。いま、副市長おっしゃいました。「してはいけないとは書いてないんだ」と。書いていないことを全部やっていいということになったらね、とんでもないことになるじゃないですか。なぜ「博物館法」の中で、「京都市美術館条例」の中で、こういう事業をやらないといけないと書いてあるのか。もう一度しっかりね勉強されたほうが良いと思いますよ。で、

◇小林委員長/門川市長!

◆やまね/まだ私がしゃべってんですから、何を言ってるんですか(小林委員長/ごめんごめんごめん、手をあげられたから)。もう一度あらためて指摘をしたいと思いますが、今回の、京都市美術館へのネーミングライツは、見直し前の「事業実施要綱」に基づいて行われるということであります。で、その第3条の「基本的な考え方」では、「ネーミングライツ事業は、本市の財産、事業等の本来の目的に支障を生じさせない方法により実施する」とあります。で、ここで言う「本市の財産」とは、京都市美術館であります。で、この「本来の目的」というのは、いま紹介をしました博物館法や美術館条例で規定されている中身に他なりません。ですから、この「本来の目的」というこの項に照らせばですね、今回の契約というのはそもそも京都市の要綱にも反するんではないかと。重大な疑義があると私は指摘をしたいと思いますがいかがでしょうか。

(→藤田・副市長)えー先ほど申し上げましたように、この美術館の活用、あるいは市民の財産としての、おー、効果というものについては、様々な可能性がございます。えー時代とともに、その可能性も広がっておりますし、えー今日の、えー、企業との協力、あるいは社会全体の中での文化の活性化、といったことの中で、えー総力をあげて、様々な知恵を絞って、えー子どもたちのために、あるいは市民の生涯学習や文化力の向上のために、えーあらゆる可能性を追求していくことは当然のことでありまして、かたくなに何かこう文言だけにとらわれて、市民の皆様のための可能性を否定するような立場は、私どもは共にしておりません。そしてまた、そのことが、えー、市民の生活のために、市民の文化力向上、また京都の文化力向上のためにどのように活性化していくのか、ていうのがまさにこれから、えー皆様方と、市民の皆様、また関係団体の皆様とともに、えー取り組んでいくべき、私たちの未来に向けた課題だというふうに考えております。

◆やまね/あのね、「時代とともに様々な可能性」ということおっしゃいましたけどね、条例はじゃあ何のためにあるんですか。あなた方が今言ったようなことは、それだったら条例をちゃんと変えると、そういうことを議会に、提案をされたらどうですか。それをされないわけですよ。で、私はね、今日申し上げてんのは、あなた方が再三に渡ってですね、「法令が優先する」んだと、「『目的』『法令』に反しない限り」と、言うからですね、博物館法や京都市美術館条例、そして市の要綱にも反するんじゃないかと、あなた方の言ってることに基づいて私は聞いてるんですよ。そこに、それを読めばですね、「企業の情報発信」や「レセプション」、これが博物館・美術館の本来の目的でないってことは一目瞭然なんです。このことを指摘しておきます。そして「市民負担の軽減」ということも、何度もおっしゃいますが、あのーそうであるなら、自治体負担が数百億~数千億とも言われる北陸新幹線やリニア誘致、また、堀川地下トンネルをやりたいと、あなた方がおっしゃっておられる。一方で巨額の大型事業を進めようとしておいて通用する話ではありません。さらに、「看板の設置」「周知活動」についても、京都市の負担で行われるということになっております。で、このことをですね、委員会等で指摘をしたら、「周知活動はネーミングライツに付随するもの」だと、「根幹」だと、こういう答弁がありました。しかし、私これあらためてですね、行財政局から資料いただきました。西京極の野球場「わかさスタジアム」、あるいは京都市体育館「ハンナリーズアリーナ」のネーミングライツの契約はですね、その周知活動というか、看板の設置の負担はですね、「乙」、つまり企業側が、負担することになってるんです。伏見区深草西浦町の公園のネーミングライツでは、施設の優先使用権も設定されておりません。ですから、ネーミングライツ契約というのは、「周知活動」や「施設の優先使用権」イコールじゃないんです。明らかに今回、京セラを特別扱いしているのは明白だと思いますが、いかがでしょうか。

(→藤田・副市長)えー最初にお話がありました、えー美術館のですね、えー定められた、要綱・条項・条例等、これにつきましては、私ども、おー現在の取り組みの中で、えーその条文を、どのように読みこなしていくのか、そしてそれが、市民の皆様の文化力、文化の向上、文化的な貢献に、どのように寄与していけるのか、いうことでしっかりと、議論して進めていってるつもりでございます。えー、こ、ま、具体的なその企業の云々ていう言葉があるかどうかということではないと思っておりますので、えー十分ご理解いただいていると思っております、市民の皆様にはご理解いただいていると思いますけれども、これからも進めてまいります。また、えー、具体的な、あー、えー、いまお話ありました、ま、経費の、契約のですね、内容につきましては、えー個別に、少なくともこの、おー、今回の美術館のネーミングライツの契約までは個別に進めてまいりましたので、えーそれぞれのネーミングライツの契約の中身が、あー若干異なっておったり、えー負担の内容が異なっておると、これはあの当然でございまして、今後そうしたことにつきましては、議会の指摘も踏まえまして、えーネーミングライツのあり方ということについて、えー議会とのご議論、また、あー協議もさしていただきながら、進めていくと、いう形で考えてるところでございます。

◆やまね/あのー、ま、いずれにしても今回の京都市美術館へのネーミングライツというのは、公共的・社会教育的役割を持つ美術館に一企業の名前を付けることと合わせて、その企業へ施設の優先使用を認める、博物館法、京都市美術館条例、さらに市の要綱で定められた美術館・博物館の本来の目的とは違う事業をさせようとするものであります。公共美術館の本質を変えるものだと。市長が契約書にサインをしたことで、市民の美術館が企業のもうけに差し出されるというのが実態であり、絶対に許されないと、このことを申し上げておきたいと思います。

えー次に原子力災害対策についてお聞きします。福島原発の事故は、「世界最悪の事故」とマスメディアも報道しております。大量の放射性物質が飛散し、事故発生から6年たった今も放射線量の高い地域が多数存在し、福島県では約8万人の方が、未だ避難生活を続けておられます。原発事故による被害はUPZ内、これは原発から30キロ圏内、京都市では大飯原発から32.5キロ圏内ですが、この範囲に限られるものではないということをあらためて直視をしなければいけません。で、万一の事故の際、市民の命をどう守るか、京都市の防災危機管理体制も問われる。このことは否定をされないと思います。そこで、行財政局質疑でも聞きましたが、放射線についての基本的な認識をお聞きしたいと思います。京都市作成の『原子力防災の手引き』、このパンフレットがございますが、このパンフレットには、放射線から身を守るために「防護措置」、あるいは「避難」、「安定ヨウ素剤の服用」についての記載があります。で、原発事故の際、なぜこれらの措置が必要になるのか。もし多量の放射線を浴びると人体にどんな影響が出るのか、まずお答えいただけますでしょうか。

(→藤田・副市長)えー、まず最初に美術館の関係ひと言だけ申し上げますが、あの本来の、本来の目的をですね、固執せずに、新たな可能性を時代に応じて市民的な、えー市民の皆様のご期待に応えるようにということが目的でございますので、あのー、それも一つ申し添えておきます。

えーただ今の原子力の関係でございますが、えー放射線、えー放射能の問題、これはあの大変医学的にも難しい問題でございまして、えーいわゆるその「放射能」と、俗に我々言っておりますけれども、この放射能というのは、えー宇宙の中に、またこの地球の中に、様々な形で出ているものでございます。ま、その放射性物質が、どのような形で、えー体に影響を及ぼすのか。あるいは大量に摂取した場合には、例えば新聞報道等されておりますように、えー、何シーベルトというようなですね、多量な場合にはもちろん死に至る、あるいは、えー身体に影響を及ぼす、これはもう通常よく言われておりますけれども、え、それ以外に放射性物質、あるいは放射線と言われるものについての、えー理解ということについては、あー非常に医学的にも難しい部分があるというふうに思っております。

◆やまね/あのね、もう医学的にも科学的にもはっきりしている問題なんですよ。あのー、原発を推進する電気事業連合会のホームページご覧いただきたいと思います。「脱毛」、毛が抜けてしまうと。あるいは「白内障」「がん」「白血病」、こういう具体的な病名や症状があげられているわけですよ。放射線を多量に浴びるとそういう危険があるから防護措置や避難、安定ヨウ素剤の服用が必要になるんじゃないですか。でー、このパンフレットでですね、強調されているのは、なぜか「日常生活の放射線は安全です」と、こういうことが殊更強調されてます。「放射線は体の細胞を傷つけますが、私たちの体はその傷を修復する仕組みを持っており、日常生活や医療で受ける程度の放射線では、健康に影響が出ることはありません」と書いてあるんですよ。しかし、多量に放射線を浴びたらそうならないっていうのが問題なんです。このパンフレットは何のためにつくったのか。「原子力防災」でしょ。ということはですね、想定されているのは福島原発で起きたような事故なんですよ。だからここで問題にすべきは日常生活の放射線じゃないんです。市民の命を守る立場に立つなら、「なぜ防護や避難が必要になるのか」「なぜ多量の放射線を浴びてはいけないのか」、この中にきちんと記載をするべきではないでしょうか。内容を抜本的に見直すべきだと思いますがいかがですか。

(→藤田・副市長)えー原子力、災害における、この今回のパンフレットは、えー、有識者によります「原子力対策委員会」の監修を得てつくっております。ま、その中で、いま議員のご指摘とは、少し違う、感覚が違うかもしれませんけれども、放射能の問題、これはもちろん先ほど申し上げたように、大量に浴びた場合、あるいは、大災害事故が起こった場合に、人命にかかわる、これはもう大前提でございますけれども、あまりにも、え、そのことが、あー強調されるために、風評被害が起こったり、あるいは日常、えー私たちの周りに、この場所にも放射線、放射能というのが存在しているということについてもですね、しっかりとした知見を持って、そして冷静に対応することによって本来の、えー安全を守ることができるんだと。例えば、万が一の事故が起こった時にも、例えば、プルームがやってくるという時に、まず室内に、屋内退避をすることによって安全を確保することができますよ、まあそうしたことをですね、具体的にわかりやすくする。とにかくどこかへ逃げていかなければならないとか、慌てて何か第二次被害的なことを起こす必要がないと、そういうことを冷静に受け止めていただくことが、まあ、当初の目的であるというふうに思ってます。同時に、えーその、ま、万一の災害における備え、これについては様々な場面でこれからもしっかりと市民の皆様に周知していきたいと思っております。

◆やまね/あのー、いろいろ感覚とか風評被害とかおっしゃいましたけどね、あのその危機、危険をですね、しっかりと認識するというのが防災の基本じゃないですか。何を言ってるんですか。で、これね、私最後に紹介をして終わりたいと思うんですが、京都市が作成する防災マップ「地震編」、あのーみなさんもご覧になってると思いますが、例えばね、こう書いてあるんですよ。「阪神淡路大震災では昭和56年以前に建てられた建物が特に大きな被害を受けました」「このような建物は特に注意」として、具体的な例をあげております。「地盤の弱いところでは液状化が起きる可能性があります」と、「内陸型地震は(中略)いったん発生すると京都市内に甚大な被害を及ぼすことが想定されます」と、こういう危険がしっかりと指摘をされている。それから「水害編」、この中にはですね、「地下空間の浸水(エレベーターがどうなるか)」、こういうことも書いてありますし、「河川の氾濫」「がけ崩れ」「土石流」「地すべり」、これらが起これば人的被害や人家・田畑にどんな影響が及ぶかが具体的に書いてあるわけですよ。日常の話など出てくるわけがないと。「普段川が静かに流れているから大丈夫」とかですね、「震度1、2くらいだったら大丈夫」なんて話はこんなところで問題になるわけないじゃないですか。危険を危険として認識できないのが最も危険だと、私は申し上げたい。

そして、あらためて、京都市における原子力災害対策、その基本姿勢を抜本的に見直すことを求めたいと思います。そしてまた、これは都市計画局から資料をいただいておりますが、市営住宅に入居中の東日本大震災被災者の年間家賃相当額は1593万円ということでした。引き続き、無償提供を求めておられる方がたくさんおられますので、ぜひとも、被害を受けられた方々の立場に立って支援を求めたいと思います。そして、原発再稼働にきっぱり反対をしてこそ、市民の命を守り、際限のない国民負担をゆるさない、責任ある立場に立てるということを最後に指摘をして終わります。以上です。

(→藤田・副市長)えー私ども、私どもとしましては、その原子力災害、あるいは放射能汚染ということについて、けして軽易してるつもりはございません。ただ、いま例示をされました、えー震災、あるいは河川の氾濫、これは現実に京都において起こりうることであります。鴨川、桂川の派川、これは現実に地下水害というのが、えー確率として現実にあるわけです。ただ放射能の場合は、もちろん、これは我が国全体の問題ではありますけれども、そのために、UPZの範囲内でどうするのか、そして京都の場合は、「UPZの範囲から言えば、この距離にあるので具体的にはこういう被害想定をしていく必要がある」と、そういうことを科学的にもしているわけでありまして、いま現在住民の方に、えー地元に原子力発電所があるという状況と違う、えー周知をするということについては、え、市民の皆様にご理解、しっかりとした正しいご理解いただく意味では必要ではないかなと、考えておりますし、今後とも、まあ有識者の方々、えー原子力専門の、えー皆様方としっかりと協議をしながら、え、市民の皆様に、誤解も与えないような、えー的確な情報が、あー周知できるように努めてまいります。

2017年3月15日【予算特別委】市長総括質疑/京都市美術館へのネーミングライツ問題、京都市の原子力災害対策について

(更新日:2017年03月15日)