違法を合法に変えるなど許されない!違法「民泊」の取り締まりを(2017年2月23日/国会・こくた恵二議員の質問メモ)

◆こくた議員/いわゆる「民泊」問題について、厚生労働省ならびに国交省に質問する。いま、「利用者の大きな話し声やキャリーバッグを引く音などの騒音がひどい」「たばこのポイ捨てなどもあり火災が心配」「マンションの一室が無許可で民泊に利用され、オートロック機能の意味がなくなり不安」など、こういった声が全国で広がっている。塩崎大臣は、2016年11月21日のTPP特別委員会で、わが党のたつみ議員の質問に対し、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行う場合には、原則として旅館業法に基づいて旅館業の営業許可を取得する必要がございます。したがって、住宅などを活用したいわゆる民泊サービスであっても、現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反、無許可営業というふうになると考えられるわけでございます」と答弁しているが、その認識は変わらないか。

(→塩崎・厚生労働大臣)いまご指摘いただいた昨年11月21日のTPP特別委員会での質問に対して、確かに私は「現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反する」と申し上げた。認識に変更はない。

◆こくた議員/変わらないと。そうすると、いま全国に広がっている「民泊」の多くは、旅館業法に違反、違法であり、つまり、取り締まりの対象とならなければいけない。違法「民泊」が横行していることは許されないことだ。その最大の「民泊」仲介業者大手がエアビーアンドビーだ。登録されているだけでも、世界191カ国200万件、日本では4万6000件と言われている。東京都(23区)約1万6000件、大阪市約1万2000件、京都市約4500件。これらのほとんどが旅館業法上の簡易宿所の営業許可を受けていない違法「民泊」だ。しかも、そのサイト上には、宿泊先の詳細な住所や運営者の連絡先は記載されていない。調査しようにも所在地さえ分からないところが大半だ。こういう状況を掌握していると思う。違法「民泊」を仲介する行為は、法違反を承知で仲介するわけだから、共犯、もしくは幇助に該当する。ここが野放しになっていては取り締まりなどおぼつかない。まずは、プラットフォーム提供事業者(「民泊」仲介業者)を取り締まるべきではないのか。見解を求める。

(→北島・厚生労働省生活衛生食品安全部長)ご指摘の通り、現在の違法「民泊」により、騒音やゴミ出しのルールが守られないなど、近隣住民とのトラブルが多発していることは認識している。違法「民泊」がもたらす問題に対応するため、現行の旅館業法のもとにおいても、「民泊」サービスが旅館業法の許可のもとに適切に提供されるよう、昨年11月に「営業許可取得の手引き」を作成し、広く公表するとともに、各自治体における無許可営業施設への対応状況の把握に努め、現行法の順守や悪質な「民泊」を対象とした取り締まり等の強化について、昨年9月に警察や自治体に協力を要請するなどの対応を行っているところだが、エアビーアンドビーなどの海外の業者に対する取り締まり等は、現行の法制下では大変難しい状況もあり、まずは、いま「民泊」を提供している方々への対策を強めている。

◆こくた議員/いま話聞くと「対策強めてます」と。そうすると何か効果出てるかと。それほどええ話聞いたことあるか。ないですよ。いつも「やってる」という話なんだけども、そんなことないと。要するに事実上野放しにしてるということが問題。私が聞いたのは、そういうエアビーアンドビーなんかの宣伝その他についてきちんと対処したらいいと。ニューヨーク市では、そもそも住宅法により30日未満の短期滞在のために住居を貸し出すことが禁じられているが、新法で「短期滞在について広告宣伝することを違法」と決めた。違法広告を発信掲載した場合、最高で7500ドルの罰金が科せられる。新聞、ウェブサイト、テレビCMなどあらゆる媒体への広告が含まれるため、エアビーのみならず他の「民泊」仲介サイトへ「民泊」物件を掲載して広告宣伝することも対象となる。だからやろうと思えばできる。ドタバタしてやってるが、ここ数年前くらいから問題になっており、まずは、旅館業法による規制を強化して抜け穴をふさぐべきだ。

そこで、いまエアビーについて言うと、私の秘書さんが実際に宿泊予約してみた。まず、インターネット上で個人情報を登録するが、個人の顔写真の登録に不安があり、動物の「亀」の写真を登録したら、それで登録ができる。驚くべき事態だ。みんな笑ってはるけどそういう実態だ。こんな適当な写真でもOKとされていることに本当に驚いた。この時点ではまだ宿泊先の詳細な住所は分からず、最後の宿泊料のカード払いが確認されると、詳細な住所や鍵が入っているポストの開け方などがメールで届くだけ。だから宿泊当日、運営者に会うことなく、メールに届いた住所に行き、個人ポストを開けると鍵が入っていて、その鍵でマンションのオートロックを開け、部屋に入る。予約、宿泊を通して、利用者と運営者が顔を合わせることがない。このように、手軽に空き家、空き部屋を使う「民泊」ビジネスが世界的にも、日本でも流行になっている。問題は、マナーの問題とかそういうレベルにとどまらない。フロントさえ置いていない違法「民泊」では、利用者と面接の機会さえ確保されない。結果として感染症や伝染病、犯罪行為の温床となるリスクが当然考えられる。どう考えるのか大臣。

(→塩崎・厚生労働大臣)いまご指摘になっているのは、現状の旅館業法の許可を得ずに違法な「民泊」を行った場合、例えば騒音であったり、ゴミ出しのルールが守られないで近所にゴミを広げてしまう、そういうことで近隣の住民とトラブルなどが生じることがあって、ご指摘の通り、その地域の住環境などが悪化をするという問題が起きているということは私どもも認識している。

◆こくた議員/住環境の問題は次に言うが、私言ったのは、感染症や伝染病、犯罪行為の温床となる可能性があると。全部それがあかんと言ってるのではない。だってそういうものを取り締まるために旅館業法ってのがあってそれで金かけてやってるわけで。片っ方でそういう人がいる。

私は京都に住んでいるが、京都でも違法「民泊」が問題になっている。下京区では、路地を入ったところにある8戸のうちの半分4戸が「民泊」として利用され、残り4戸は独居老人が住んでいる。夜中もキャリーバックを引く音が絶えず、夜中に間違えてインターホンを押す、始終知らぬ人物が出入りするなど、住民の一人は「このままでは住み続けられない」とまで言っている。京都駅に近い下京区だけではない。市内全域に広がり、空き家が小奇麗になったと思ったら「民泊」だという例は枚挙に暇がない。京都市が2016年に行った「京都市『民泊』施設事態調査」によれば、エアビーなどが運営する仲介サイト8つの調査で、民泊登録施設のうち、旅館業法上の許可が確認されたのはわずか7.0%にすぎないという。先ほど部長が「一生懸命やってる」と。一生懸命やって、たった7%しか登録されていない。ということは9割以上が違法だということだ。こういう事態のもとで「京都が京都でなくなる・・・」これが京都に住む方の思いだ。そこでいま大臣もおっしゃったように「住環境」という話があったが、私は、住生活・住環境に直結するまちづくりの問題だという認識が必要ではないか。だから京都のメディアは「観光民泊無法地帯―京都」とまで酷評している実態。大臣には「まちづくり全体に関わる大問題だ」という認識はあるのか。あらためて聞く。

(→塩崎・厚生労働大臣)おっしゃる通り、それはすぐれて地域、地方の問題として、まちをどうするのかということと大いに関わってくる問題である。私どもの旅館業法のもとでも、都道府県が、知事が一義的には責任を負っていくというのは、やはり地域のまちづくりそのものに深く関わる問題でもあるからだと思っている。今回、法改正を予定しているが、その際にもやはり地域の判断というものが重視をされる。それぞれの考え方に合った、まちづくりの考え方と違うようなことが起きないようにするのは当然地方自治としてやっていくことだろうと思う。

◆こくた議員/一般論としてはそうだが、現実にそんなことがちゃんと守られるのか。先ほどの話でも相当一生懸命やってると言っていたが、たかだか7%しか登録していない。ビラまいてるチラシいてる、そうやってると。どこにいるかわからない人たちを相手にやっているのに、そんな話は通用しない。問題はそんな生易しい話じゃないことを認識して、合わせて、地域住民がどんな苦労してるかってことに思いをはせなあかんと私は思う。

私は聞いてきたが、京都の東山区のある町内会では、駅徒歩1分という立地条件もあり、100軒ほどの住宅街に5軒もの「民泊」施設が、無許可営業中あるいは許可申請手続き中という状況だ。住民は事業者に対し説明会の開催を要求。翌々週には40人以上の近隣住民が町の集会所に集まり説明会が実施され、「民泊」の開業にあたって地域住民との協定書をつくることを約束したとのこと。つまり何回も何回もやって、協定書つくらなければ地域を守れないと、努力してやってる。伏見区のある商店街では、33人が宿泊できるゲストハウスの建築計画が出てきた。町内会と自治会が運営事業者に説明会をくり返し開催させる中で、「フロントに交替で24時間常駐する人の配置をする」と約束させ、さらに「3交替のうち1人は地域の人を採用する」「電気器具は地域の店で買う」と、こういったことを約束させて協定書をつくると。こういう努力がある。チラシまいてるとかじゃない。そんな話でうまくいくわけじゃない。そういう苦労をしてることに思いをはせなあかんと。そういうのに比べれば大臣、行政の対応が遅れてるんとちゃうかと。このまま手をこまねいていいのかと。すぐ大臣は「次の新法を考えてます」って言うけど、まず現実を厳しく取り締まると、そして手をこまねいてたらあかんという認識があるのかどうか、再度聞きたい。

(→塩崎・厚生労働大臣)違法な「民泊」の問題にきちっと対応するために、現行の旅館業法のもとでしっかりやってんのかということだが、まず「民泊」サービスが旅館業法のもとに、適切に提供されるように、昨年11月に営業許可取得の手続きというのを作成した。広く公表するようにしている。これが一点。厚労省として。それから各自治体における無許可営業施設への対応状況をこれまで以上に把握をすることに努めるとともに、現行法の順守、あるいは悪質な「民泊」への取り締まりの強化について昨年9月に警察、あるいは自治体に協力を要請。厚労省としてはいまのような手立てを取りながら、違法な「民泊」が起きないようにしていくということで、直接的には旅館業法に関わる問題としてやってる。そのうえで今回、違法「民泊」へのさらなる対応ということで、無許可営業者に対する都道府県知事等による立入り検査権限の創設、あるいは無許可営業者に対する罰金の上限額の引き上げなどを内容とする旅館業法の改正法案を今国会に提出をする。私どもの所管する旅館業法というもとで引き続き全力で取り組んでまいりたい。「民泊」そのものについては政府全体の取り組みが別途ある。

◆こくた議員/「去年からやってる」と、それは知ってる。だけどね、こないだ新聞見てこれが本音だと思った。新宿区では民泊のルール作りの検討会議が開催されている。報道では、警察関係者はこう言ってる。「一斉に取り締まるべき問題だが、できないままに増殖してしまい、警察力で規制は困難」と。いま警察の話があった。地方自治体の話も。地方自治体は「さっぱりつかめない」と言ってる。警察はこのように「警察力で規制は困難」と言ってると。さらに消防署も「苦情は入っているがなかなか手を打てない」と言ってると。これが実態ではないか。しかもいま、「民泊新法」と大臣は言っているが、これも報道によると「第一種住宅専用地域での営業さえ可能にすることも浮上している」と言われている。冗談じゃない。「取り締まるべき問題だが、できないままに増殖してしまい、規制は困難」と、これが警察の発言。新聞に出ている。こういう発言が、政府の対応そのものを表している。これが実態だ。さらにいまもっとひどい。これを逆に奇禍として、緩和しようなどもってのほかだと言わねばならん。結局、いまでも違法「民泊」の取り締まり不十分で、現状を追認し、今度は「違法民泊」を「合法民泊」にするような規制緩和は断じて認められないと言っておく。

問題はそればかりじゃない。違法「民泊」は、法を守って観光を支えている旅館業を営む、中小ホテル・旅館に大きな打撃を与えている。そもそも「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に対して、旅館業法は、厳しい規制を課していると思うが、なぜそうしているのか。端的にお答えを。

(→北島・厚生労働省生活衛生食品安全部長)旅館業法については、厚生労働省として、宿泊者に対する衛生面の確保、旅館業という業を適切に運営していただくための確保、そういった面から規制を行っている。

◆こくた議員/つまり、安全を確保するために、衛生を確保するために、戦後、昭和23年にスタートしているが、そういうものをきちんとするということでやってる。特別な規制を課している。私は京都で、旅館業を営む全国旅館ホテル生活衛生同業組合の方々と懇談した。その際、組合の方々はこう言ってる。「たとえ1日であっても、お客の命と財産を預かってお泊めするのが宿泊サービスであり、だからこそ消防法や建築基準法、衛生の規制は当然であり、環境整備が大事だと思っている。こうした基準をクリアするにはコストがかかるが、万が一事故が起きたときのために、我々は旅館業法を守って営業している。同時に、近隣住民との協力は必須の条件だ。地蔵盆や地元の自治会の各種の催しの会場を提供するなど地域コミュニティを重視してきた」と、このように述べておられる。法を厳格に守り、地域になくてはならない存在として営業している。宿泊サービスは、観光客(ゲスト)、旅館・ホテル(ホスト)、近隣住民、この三者が協力して安心・安全が守られて初めて成り立つもの。だから、コストをかけ、基準をクリアする努力があってこその宿泊営業だ。「民泊」に対し、その基準を緩和すれば、既存事業者とのイコールフィッティング、つまり公平な条件が損なわれる。結局そうなると、小規模な旅館が多い京都の業界などは壊滅的打撃を受けかねないと思う。

そこでみなさんにお配りした全旅連青年部が提案を行っている配布資料を見てほしい。そこには民泊の緩和に関するルールへの要望書がある。

【全旅連青年部の「❝民泊❞の緩和に関する新設ルールに対しての要望書」】

1.❝民泊❞は宿泊に関する業務として旅館業法適用とする。

2.❝民泊❞を含めて全ての宿泊施設(所謂ホームステイ型・投資型共に)は行政官庁への申告登録を経て、許認可を得る必要があるとするべきであり、許認可営業及び脱税行為を厳しく取り締まる必要がある。

3.テロの脅威を未然に防ぐ為に、❝民泊❞を含めて全ての宿泊施設は宿泊者の対面確認と記録の保存をすることが必要である。

4.❝民泊❞を営むものは他の宿泊施設と同様に納税、衛生管理、消防の義務を負わなければいけない。また近隣住民に対する告知の義務を負う必要がある。

5.❝民泊❞は一般住宅などを使用するため、営業日数を1物件年間30日以内に限るべきであり、都道府県がその日数を管理する必要がある。

6.❝民泊❞を仲介するプラットフォーム提供事業者は、❝民泊❞を含めるすべての宿泊施設が正式な許認可を得ているか確認する義務を負う。また、プラットフォーム提供事業者は税務署の宿泊施設提供者に対する調査に全面的に協力する義務があり、その他宿泊地の法令を順守する必要がある。

7.❝民泊❞の無許可営業を含む違法な宿泊業者、プラットフォーム提供事業者の罰則を強化することが必要である。

「❝民泊❞は宿泊に関する業務として旅館業法適用とする」と。さらには「❝民泊❞を含めて全ての宿泊施設は宿泊者の対面確認と記録の保存」「納税、衛生管理、消防の義務を負わなければいけない」「近隣住民に対する告知の義務を負う必要がある」、こういうことを含めた7項目。これらの要望は至極当然と思うし、最低限の要望と思う。大臣の所感を求める。

(→塩崎・厚生労働大臣)今日るるご指摘をいただいている通り、ここ数年、いわゆる「民泊」サービスが急増している。これは日本に来られる外国人観光客のニーズが増えているということはその通りだと私は思うが、一定の要件を満たす「民泊」サービスを適正なもとで推進するとともに、無許可で旅館業を営む違法「民泊」への対応はきちっとしなければならない、それは急務となっていると思っている。このため、現行の旅館業法のもとでの対応に加えて、先ほど申し上げた通り、新たに「民泊新法」を制定しようということで、公衆衛生の確保、地域住民等とのトラブル防止に留意をしつつ、ルール作りを行って、旅館業法の改正も同時に行うことによって、違法「民泊」に対する取り締まりの強化を行うということにしている。いまお配りいただいた全旅連青年部の要望書には、いくつかの事項が書かれているが、厚労省としては、まず「都道府県知事による立ち入り権限を創設をして無許可営業に対する取り締まりを強化する」、そして「無許可営業者に対する罰金の上限額を引き上げる」ことも先ほど申し上げた通り。また、「民泊」サービス提供者に対しては、「清掃等の衛生管理を義務付け、公衆衛生の確保をはかる」という元々の旅館業法の基本哲学を実現をしていく。そういったようなことを含めた措置を講じていこうということ。旅館業法が順守をされて、「民泊」サービスが適切に実施をされるように、官公庁などと連携をしながら、必要な法整備に全力で取り組みたい。

◆こくた議員/私はね、そういうことをいくら言っても、適切にって話にはならんと。いま大事なことは、旅館業法に基づいて厳しく取り締まって、違法な「民泊」はなくすと、いうことをしなけりゃ、それが蔓延するということだ。蔓延してるから認めちゃおうなんて話はね。しかも名前まで、聞くところによると「住宅宿泊事業法」と伝えられるが、住居専用地域における「民泊」も認可すると取り沙汰されているが、冗談じゃないと言っておきたい。

観光のニーズという話があった。「観光立国推進基本法」には理念が定められているが、そこには、簡単に言って、観光理念というのは「住んで良し、訪れて良し」と、このことだと思う。この観光理念から見て、現状をどう見るか。国土交通副大臣に聞きたい。この考え方の根本を簡単に。基本理念。

(→末松・国土交通副大臣)「観光立国推進基本法」については、「我が国の発展のために観光立国を実現することが極めて重要であることに鑑み、観光立国の実現に関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めることにより、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民経済の発展、国民生活の安定・向上、及び、国際相互理解の増進に寄与することを目的」としている。

◆こくた議員/何が目的か、簡単に言うと、国内外からの観光旅行を促進することによって、将来にわたる豊かな国民生活の実現、つまり、国民の豊かな生活を実現するってことが目標だ。6000万人4000万人来ることが目的じゃない。国民の暮らしが豊かになるってことが目標だ。そこをわきまえないとあかんと私は思う。京都の観光総合調査によると、京都の宿泊客は、2015年は外国人客が130万人増えている。ところが、日本人客が110万人減だ。減ってる。110万人も減ってる。だから、そのうえに「京都観光に訪れる日本人客の満足度が低下している」となってる。そこで観光政策審議会が出した観光政策の基本方向について一言言っておきたい。これも「より良い地域づくりに貢献するものでなければならない」と、「人愉しむところ人集うと言われるように、よい観光地づくりは地域住民の生活の質を高める」と、ここが目的だ。人が来ればいいっていうもんじゃない。その住民が豊かにならなくちゃならんと。だから、いま言った観光立国の考え方、それから観光基本の政策、そういうもとからすると、いずれもその事態にそぐわないのが「民泊」によって生じている。だから、「民泊」によって、地域住民が自分たちの住むまちに対して魅力や誇りが失われているのではないか。これでは観光の発展という戦略からしても本末転倒とちゃうのかと。ひと言、末松さん。

(→末松・国土交通副大臣)先生ご指摘の目的。「観光が、健康でゆとりのある生活を実現するうえではたす役割の重要性に鑑み」ということだから、それが逆行しておるんじゃないかというご指摘だが、だからこそ、新しい法律を、まだ閣議決定していないが、法整備していこうという考え方もある。ただ、現状において、海外のサイト、エーアンドビー、4万5000件の宿泊先が提供されていると、これについては、国内では、現状の法律の中では取り締まることが極めて難しいという、そういう話し合いもなされていることはご理解いただきたい。

◆こくた議員/遅れてることに対して、正しく手を打つということが必要だ。だから規制強化をきちんとすればいい。さっきの話だと何も動いていないと。最後にひと言言うと、「よい観光地づくりは地域住民の生活の質を高め」「よく保存された自然環境や文化遺産は非常に貴重な資源だ」と、「観光はそれらの破壊者ではなく、保護者となるべきだ」と、書いている。いま何が起こっているか。「民泊」でそういう事態が、破壊が起こっているということじゃないか。一度京都に来ていただいてもええけどね。そういう全国で起こっているってことは、まちづくりを破壊されるはね、良き伝統を破壊されるはね、そういう従業員だとか一緒に抱えている旅館業はなくなるだとかね、そういう事態に対してまともな対策打たなあかんと。そういうことをあらためて述べて終わる。

2017年2月23日【衆院予算委分科会】「民泊」問題についてこくた恵二議員(日本共産党)の質問

(更新日:2017年02月25日)