ハートピア京都で行われた京都府のスタジアム建設計画を考える学習懇談会(主催:日本共産党京都府会議員団)に参加しました。私も、サッカーファン、スポーツ関係者の声を紹介しながら、意見を述べさせていただきました。
◆京都市会議員のやまねと申します。「誰もがスポーツを楽しめる社会を作りたい」というのが私の活動の原点であり、京都市議会でもスポーツ施設の充実をめざす論戦に取り組んでいます。私自身、サッカーファンの一人であり、京都サンガを応援している一人でもあります。私からは、サッカーファン、スポーツ関係者のみなさんの声を紹介しながら、いくつか意見を述べさせていただきます。
◆まず、先ほども会場からご発言がありました、今回の問題を論じる際に「サッカースタジアムという呼び方はやめてほしい」ということについてですが、これは私も同感です。正確には「球技専用スタジアム」であると思います。サッカースタジアムと言うと、何かサッカーが悪者扱いされるような、誤解を招く表現になると思います。この問題の本質は、サッカーが悪いのではなく「スポーツを口実にした府民不在の巨大開発」であるというところです。そのことがサッカーファンのみなさんにも正確に伝わるような表現にしなければいけないのではと思います。
◆京都府のスタジアム建設計画について、私自身の意見ですが、これは先ほど光永府議、成宮府議の報告にあったとおりだと思います。実は「用地調査委員会」、私はほぼ毎回傍聴してきました。報告で指摘されていたように、そこでは「亀岡市しかない」「ぜひ亀岡市に」という結論は一度も出ていません。京都市、城陽市、亀岡市、交通利便性や建設費や防災問題など、「どこも一長一短だなあ」というのが全体の声だったんです。そして先ほど来、みなさんが指摘されているように、環境(アユモドキ保全)、水害対策、財政負担などの点を見ても、現在の計画はどう考えてもおかしいと。スポーツ振興の本来あるべき姿とは明らかに違います。ですから共産党府議団の提案どおり、現計画はいったん白紙にもどし、議論し直すというのが大事なことだと思います。
◆私自身が一番感じてきた問題は、現在の計画は、あまりにもサッカーファンや市民の声が置き去りにされているということでした。そこで「サッカーファンのみなさんは実際のところどう思ってるんだろうか」「直接声を聞いてみよう」と考え、数年前、議員になる前のことですが、京都サンガの試合前に、阪急西京極駅前に立ち、「突撃サポーターアンケート」に取り組みました。全4回で約200人の方から声を聞くことができました。サンガサポーターのみなさんですから、ほとんどの方がスタジアム建設には賛成です。大事なのはその中身です。「西京極(陸上競技場)は、陸上トラックがあるので観客席からピッチが遠く、どうしてもサッカーやラグビー観戦には不向きだ」「より良い環境で子どもたちにスポーツを見せてあげたい」という声が多くの方から寄せられました。これは紛れもなく切実な府民要求の一つであると思います。例えば、相撲には土俵があります。野球には野球場があります。それぞれの競技にそれぞれ一番ふさわしい環境があります。「京都にも球技専用スタジアムがほしい」という大きな声があることは間違いないことだと思います。
◆同時に、こんな声もありました。「新しい施設ができるのはいいが、障害者の使えるスポーツ施設が少ないのを何とかしてほしい」。あるいは、「普段使っている運動公園のグラウンドや体育館の管理がほったらかしにされている」。あるいは、「スタジアムはつくってほしいが亀岡はあり得ない」などです。「西京極には屋根もなく、オーロラビジョンもない(数年前はまだありませんでした)。トイレも古い。照明塔の柱が邪魔してピッチが見えない席もある。現在の西京極を改修してほしい」という声もありました。Jリーグクラブ関係者にも話を聞きましたが、「サンガの練習場(城陽市)と亀岡市は距離が離れている。移動距離と時間が選手の負担にならないか心配だ」という声もありました。このように、専用スタジアムを実現してほしいと願うみなさんの中にもさまざまな思いがあります。
◆ですから私は、「府民不在の巨大開発」であることを告発・批判することと合わせて、「どうやったらスポーツ関係者のみなさんの切実な願いを実現できるか」という角度の論戦も必要だと思います。「本来スポーツ行政が果たすべき役割とは何か」「日本共産党はスタジアム建設、スポーツ施設の整備についてどう考えているか」を、多くのみなさんに知っていただくことが大切ではないでしょうか。スタジアム建設の議論は京都に限ったことではありません。北九州、広島、山形など、各地で計画や声が上がっています。東京オリンピックに向かうなかで、この流れがよりいっそう強くなる可能性もあります。全国的な意味を持った問題です。「本当のスポーツ振興とは何か」を問う論戦を、京都市議会の中でも大いに取り組んでいきたい。私自身の決意もこめて、発言とさせていただきます。ありがとうございました。
(更新日:2016年09月10日)