龍谷大学の特別授業レポ!

本日、龍谷大学深草キャンパスで京都市会全会派が参加し「法学部公開授業」がおこなわれました。学生さんからの質問と各党の回答をまとめました。意外にフランクだったり、ちょっと上から目線の発言があったり、共産党以外は原発再稼働を否定しなかったり・・・いろいろと思うところがありました。学生さんたちはどんな感想を持たれたでしょうか。

【龍谷大学法学部公開授業】京都市議会政党・会派と学生との質問会・対話会2015年7月10日(金)10:45~12:15@龍谷大学深草キャンパス22号館305教室

◆高橋教授/授業を通じて市民と議員を直接つなげたい。ヨーロッパなどでは普通におこなわれていること。どのような教育が可能か探求したい。

①原子力発電・エネルギー問題

◇学生からの質問/政府が決定した電源計画の中では、原子力発電がベースロード電源として入っています。各政党の皆さんは、政府の計画通り今後も原発を維持する方向でお考えでしょうか。それとも減らす、あるいは廃止する方向でお考えでしょうか。

◆自民党・寺田議員/京都市議会で議決している。「原発は極力動かさない」「どうしても動かす場合は市民の同意をえて」、同時に京都市には原発がない。だから単純に原発賛成反対とかじゃなく、どうやったら原発に頼らなくていいか考えませんかと。「電気を使わない、再生可能エネルギーを重視する」というのが市会決議の中身。

◆共産党・井坂議員/私たちは立脚している立場が違うんだけど、何より3・11以降の国民の願いは「原発をなくす」「再稼動しない」というものだと思う。そして現時点では一つも動いていない。国民と企業の努力で「原発がなくても生活できる」ことを体験してきた。事故の原因究明もできていないなかで、日本に安全な原発は一つもない。こういうもとで再稼動も新規もやるべきでない。まず「ゼロ」という政治決断が必要。ドイツでは全面撤退を決めている。スイスも。日本も世界から注目されている。

◆公明党・吉田議員/公明党は依存度を減らして将来的にはゼロという考え。安全神話で大惨事となったことは重く受け止めるべき。国民が理解するなら再稼動もあるが、安易にするべきではない。しかし、今すぐ働いているみなさんが路頭に迷うことがあってはならない。省エネや再生可能エネ、メタンハイドレードなども重要。伏見区の南部CCでは生ごみを車の燃料に変える。ワンイシューで「悪である」という目でなく複眼的に。

◆民主党・隠塚議員/2030年代に原発ゼロをめざす。40年超えたものは廃炉に。核燃料、動かさなくても地震が起きたら大変。火力に頼ると料金も上がって生活もきびしくなるのですぐに廃炉は難しい。しかし高浜のものを安易に再稼動するとダメ。やる時にはしっかり国民の理解が必要。動かしたくないが、燃料の高騰、経済への影響を与えてもダメ。太陽光は昼間使えない、現状では蓄電池を使うしかないという問題もある。

◆京都党・森議員/地域政党なので党としてこういう意見があるというのはない。それぞれ個人の意見として考えている。私は将来的にはなくさないといけないと思う。しかし、産業や貿易赤字があっては大変。いますぐ廃止すべきではない。エネルギー自給率の点から言っても。再生可能エネルギーにシフトしていくことは大事。太陽光、風力、メタンハイドレード、コンバインドサイクル、環境に配慮した発電を。

◆維新の党・宇佐美議員/4月の京都市会で「原発動かすな、安易に動かすな」と意見書を出したが、他の政党によって否決された。核のごみをどうするのか、地元の同意もない、こういうもとで安易に動かしてはいけないと。残念ながら他の政党に否決されたので国に届けることはできなかった。これが京都市会の状況。関西電力以外にも電気をつくっているところはいっぱいある。そこから買えばいい。子どもたちの学校ではそうなってる。具体的に20億の予算がついて16億で京都市は買っている。原発に賛成か反対かだけでは不十分。来年春には電力の自由化が始まる。

②大都市行政について

◇学生からの質問/いわゆる「大阪都構想」では「二重行政」を解消する改革が唱えられましたが、京都市では「二重行政」として問題になる事例はありますか。また、「二重行政」と言われるような問題があるならば、どのような解決する取り組みを考えておられますか。

◆自民党・寺田議員/さきほどの宇佐美議員の発言。自分とこの意見は言うたらいいけど、他の政党の話をするのはやめたほうがいい。今日は我々反論する時間ないんやから。そのうえで、二重行政とは何か。図書館や体育館が2つある、これは何も言われない。京都では動物愛護センターを府市で統一した。役所はかなり抵抗したが自民党も青年局を中心にがんばった。一緒にできるものはしていくのは大事。でも伝統産業への助成など、府が助成してるからほんなら市はやめとこかと、そういうことでいいのかと思う。

◆共産党・井坂議員/大阪の住民投票は大阪都についておこなわれたものではない。「大阪市をなくすかどうか」という投票だった。そこで財源を府に持ってかれてしまうということで多くの人が不安に思ってああいうことになった。いわゆる「二重行政」を「ムダの典型」と否定的に見ていいのか。病院、図書館、土木事務所、それぞれ住み分けをしてる。住民が満足してるならいいし、足りないなら充実も必要。府と市が話し合いで解決するのが筋。ポイントは住民サービスが低下していく流れに歯止めをかけて、国の財政支援をしっかり求めるというところ。

◆公明党・吉田議員/ポイントは京都市を訪れた方が混乱すること。以前は京都駅に観光案内所が府と市とどちらもあって、どちらかは誰も行かないという状況があり今は一本化した。動物愛護センターも府市それぞれの職員がいる。こども文化会館もそうで府市が出資している。役割分担をしっかりやればいい。住民サービス、利便性が大事。京都では山田知事・門川市長が定期的に話している。リズムができている。

◆民主党・隠塚議員/民主党では4年前に「あり方検討委員会」を立ち上げ話し合ってきた。元々都道府県に課していたものを政令市ができるなかで政令市の人口がそれを上回るようになった。条例が違ったり。そこを解消していこうと。一本化するのも大事だが、府民市民の声を聞きながら進めていくのが大事。利用者の視点。消防学校や府営住宅・市営住宅の問題もある。埋蔵文化財研究なども考えなければいけない。経済的な効率だけでなく。

◆京都党・森議員/すべて悪いのかというふうには考えていない。一緒にできるのに、そろわないことで前に進まないことが問題。愛護センターはいい事例ではないか。行政も府・市、お互いにけん制し合っている印象。影響力をもちたい?京都党は「双京構想」2つの都で日本をひっぱりたい。府の協力がまだまだ。しがらみを排して府市一緒に進みたい。

◆維新の党・宇佐美議員/大阪の住民投票、私も連日現場にいた。党として力がなかったことを痛感している。都構想には二つの側面がある。一つは司令塔をまとめる、大きな方針の司令塔を一つにするということ。京都のスタジアムが亀岡にできるが、なぜ京都市にできないのか。もう一つは都市内分権。京都市は人口147万人だが市長はたった一人。滋賀県の人口は140万人で知事が一人。その下にさらにたくさんの市長がいる。

③大都市行政についての再質問

◇学生からの再質問/知事と市長の協議が素晴らしいとの話があった。いまの京都の知事と市長は長いからスムーズにいってるのでは。もし変わった時、このままいくのか?大阪でもそう言われていた。

◆維新の党・宇佐美議員/いまの状況はけしてうまくいってるとは思わない。

◆京都党・森議員/関係うまくいってるとは思ってない。市長は「独立したい」という思いを持っている。京都の人口が大阪や滋賀に流出している。もっと密に連携をとるべきだ。さらに連携を。

◆民主党・隠塚議員/京都市は「特別市」を求めてる。府県と同じ権限を持ちたいと思ってる。しかし制度上できないので、必要なところは協力してやろうと。首長が変わったからといって、大きく変わるとは思わない。

◆公明党・吉田議員/別々の方向を向いているとは思わない。東京一極集中でなく、地域活性化が必要。府市それぞれの役割をはたしていく。個々の問題は市民目線であげていく。我々も議員もしっかりやらないといけない。根本は地域の声が届いているか。

◆共産党・井坂議員/沖縄と国との関係。意見違うが沖縄の翁長知事は話し合いしようと言ってる。そういう姿勢が大事ではないか。考え方違うことはあるがそれを話し合うと。

◆自民党・寺田議員/知事と市長が話し合ったからといってうまくいくもんではない。動物愛護センターがうまくいったのは議会が動いたから。どうしてもトップの市長や知事が注目されるが、議会を見てほしい。

④18歳選挙権について

◇学生からの質問/18歳選挙権が来年の参議院選挙から実施される予定ですが、若者や中高生に対してどのような広報活動を行う予定ですか。また、学校教育との関係についてどのようにお考えですか。

◆自民党・寺田議員/みなさん投票行かなあきませんよ(笑)みなさんの意識次第。政治・法律はみんなが幸せになるかどうか。これだけ。賢い人にだまされてはいけない。大学は「憲法は正しい!」と言うが本当にそうか。考えたうえで正しいと思うならそれでいいが。居酒屋で友人と飲むとき「今日は政治の話はなしやぞ!」と言われるが、5分もたたないうちに向こうから政治の話をしてくる(笑)身近なこと、学費とかごみ袋とか、関心持ってもらうことが大事。これが私の答え。

◆共産党・井坂議員/共産党は1922年に誕生したときから18歳選挙権を求めてきた。大歓迎。政治に参加するのは「義務」ではない。「権利」としてぜひ考えてほしい。立命館宇治の模擬投票や期日前投票を学校内でできるようにするとか、素晴らしいことだと思う。18歳選挙権、投票は広がったが「候補者になる」ことも年齢を引き下げるべきと思う。森さん(京都党)のような若い人が議員になることも必要。

◆公明党・吉田議員/私にも20代の時があった。関心なかったかも。しかし、結婚して子どもができたり、仕事で大事なことをまかされるようになると、中年になると国の将来や経済が気になる。女性はそれよりも少し早くて出産や保育園のことで思い始める。しかし、若い人はまだまだ薄いのが実態。関心もって批判精神も大切。市会も改革推進をしている。高校生に傍聴してもらう、議席に座って発言したり、そんなことを検討中。公明党はアプリを作ってる。青年局でも若い人と意見交換。

◆民主党・隠塚議員/大学時代まったく関心なかった。学校教育のなかで地域や自治のことを考える時間がなかった。自分が言ったことで変わる、それが直接民主主義。それが市議会や府議会。しかしそれが大きくなっていくと遠くなる。とにかく地域や自治のことを考える機会を作ることが必要。いまの義務教育がやってこなかった。そのなかで自分たちの考えと同じなのはどこなのかな?と考えていくのでは。

◆京都党・森議員/18歳のころ衆院選があった。入れたい人がいたけど選挙権がなかったので投票できず。18歳選挙権はおおいに賛成。若い人の思いが反映される。先ほど被選挙権を下げるべきという声もあったが、民間で2年ほど働いていたとき感じたのが、一生懸命働いて給料をもらうと税金がたくさん引かれている、これが本当に働いている人たちのために使われているのか?というのが出発点だった。悪いというだけでなく悪いなら変えていこうよと。今日呼んでいただいたように、ポスター見たときに「あ、吉田先生(公明党)や」と、話せば親近感と思う。少しでも距離が縮まれば。公開討論会などもおこなわれれば。4年後はいまの中学生が選挙権持つことになる。

◆維新の党・宇佐美議員/どうやって投票に行ってもらうか、とても悩んでいる。そもそも関心もつきっかけって何なんやろと。いつも若い秘書と話している。そもそも何やってんねやろというのを払拭していくことが必要。議会って何してるか、何決めてるか、党派以前にそれが大事なのかなと。ごみ袋代の値段決めてるのがこのメンバー。車道の幅を議論しているのもこのメンバー。学校教育ではまさにそのことをやるべき。

⑤原発に関連しての再質問とそれぞれのまとめ

◇学生からの再質問/原発から出る高濃度廃棄物の処理や避難計画について京都市はどうなっているか。

◆自民党・寺田議員/原発が京都にはない。ごみの処理とか、基地とかもそうだが、生きていくうえで必要なもの。でも自分とこはやめてくれとみんな言う。でもそれだと難しい。みんなで考えて、地元はイヤかもしらんけど、お願いすることになる。「中間処理」という名前だけで、実際は最終処分やないかとも言われるが、そうやって先送りしてきた。みなさんの世代で真剣に考えなければいけない。

◆共産党・井坂議員/環境省が日本の自然エネルギーのポテンシャルを出してる。原発の40倍ある。そういうところでの技術開発、財政措置が必要。最初はコスト高いが、原発維持にも大変なコストがかかる。そういうお金を自然エネルギーの分野に向ければ新たな雇用が生まれる。高濃度廃棄物の問題は「トイレなきマンション」。それを作ってきた国と電力会社の責任。京都市も原発50キロ圏内となると市民の避難計画も必要。それをやらずに再稼動は認められない。

◆公明党・吉田議員/避難計画、いま手元にないので割愛していく。公明党は関電幹部と会談した。「責任をもって解決していくべき」「再生エネもしっかりと」「最新の技術でも安全確保できない」ことを伝えた。こういうことを市民も共有しないといけない。都構想について「既成政党が反対している」と言われたが、そんな単純なものではない。いま「総合区」というものを考えているところ。そこには維新も入っている。

◆民主党・隠塚議員/昨季、関西広域連合議会でも原発や避難計画を議論。やはり広域で考えていかないといけない。琵琶湖は大阪も影響受ける。みんな避難できるのかというと難しい。原発立地していない自治体の声も聞くべき。ただ、企業として本当にできるか?国営にでもしないかぎり、国が責任をもって買い取るくらいのことをしないかぎり無理ではないかと個人的には思っている。

◆京都党・森議員/高濃度廃棄物、いまの政府のやり方で適切では。慎重に議論が必要。難しい問題。避難計画や最終処分はいま決められるものではない。どこかで決着必要だがすぐには決められない。

◆維新の党・宇佐美議員/避難計画は不十分。廃棄物、若狭湾にたくさんある。処理が必要。少しでも減らす必要がある。置きっぱなしではダメ。秘書が話していたのが「大学生がビラを一つも取ってくれない」と。どこの党関係なくとりあえずビラを取ってほしい。自分から取りに来てくれたら「お、熱心やな」とこちらも思うかもしれない。

※授業開始前に写真撮影の了解をいただきました

(更新日:2015年07月10日)