木造密集市街地での民泊規制を(2017年10月6日/決算特別委・都市計画局・山本陽子議員の質疑メモ)

◆山本議員/決算委員会1日目の保健福祉局質疑では、民泊に関する質疑が多数行われた。住民の生活を脅かす「違法民泊」の根絶が大きな課題。一方で、適法な民泊であっても、簡易宿所が激増している。2012年には360だったのが、2017年には1849施設。住民のみなさんにとっては不安を拭えない状況。京都市も密集市街地対策に取り組んでいるが、いまの危機的な状況に対応できる対策ではない。木造住宅密集市街地、細街路に面した管理者が常駐しない簡易宿所の近辺では、もし火事が起こったら対応できるのかと不安に思っておられる。特に木造密集市街地の防火対策の強化が求められている。住宅宿泊事業法について政省令のパブコメが実施されている。京都市は国に対する要望(8月)で「木造住宅の密集市街地や集合住宅における防火対策」について「旅館業施設における最低基準」ということで規制を求めてこられたが、今回パブコメで提案されている政省令の内容は、京都市の要望が入れられた内容になっているか。

(→歯黒・建築指導部長)民泊新法にからむ政省令の内容。まず、建築基準法上の話だが、9月21日に国の「告示案」という形で、建築基準法のなかで旅館業法やらはる場合の防火・安全基準と同等の規制が示されているので、建築基準法上の基準としては同レベルということ。また、簡易宿所で許認可が下りてるようなものについて、いろいろとご不満・不安点があるということだが、これは保健福祉局で答弁されてると思うが、昨年12月に旅館業法許可を取る時に「安心安全要綱」ということで、住民のみなさんにしっかりと説明したうえで管理運営についても説明し、そういった不安感を拭うよう、そういった行政指導も現在行っている。

◆山本議員/京都市の要望、旅館業施設における最低基準を求めてこられた、これは要望通りとのことだが、どのように評価しているか。これで対策としては十分か。

(→歯黒・建築指導部長)建物のハードのほうの所管をしている都市計画局。先ほど申し上げた通り、国の告示案で防火・避難対策が示されたということで、一定の評価をしている。

◆山本議員/木造住宅の密集市街地で防火対策を求めてこられたのは京都市だ。国が勝手にこの基準を設定したというのではなく、京都市の要望もあって設定されたのではないかと思うが、これは前向きには受け止めておられないのか。

(→歯黒・建築指導部長)視点が若干違うかと思う。あくまでも民泊新法で、不特定多数の人が宿泊されるということで、宿泊の業態は同様やということで、これは全国一律にどんな場合でも防火・避難規制がかかるということ。議員がおっしゃってる密集市街地の木造の防火対策は、若干この視点ではなしに、私ども今やっている「耐震改修の時に防火対策をすれば上積みする」とか、まち再生の所管と連携して対策を進めているところ。民泊新法のそういったことと、木造の密集とは若干視点が違うのかなと思っている。

◆山本議員/木造密集市街地の防火対策ということで、一定住宅宿泊事業法でも規制を取り入れることを国交省が提案しているということですよね。それに対応してどう京都市が密集市街地対策を位置づけていくかが問われる。住民のみなさんが不安を感じている中で、「これで十分なのか」というところは具体的にお答えしていかなあかん。政策示していかなあかん。それが京都市に求められている。いま、国で一律こういう基準を示されたと、それ以上のことは京都市が密集市街地の対策をしていると言われた。これで十分か、その次の議論。私はこれで十分ではないと思う。なぜならば、今までは大丈夫であったのは、旅館業の方、ホテルの方、従業員さんが常駐されていた。それで何かあった時に対応できる状況があった。でもいま広がっている簡易宿所や今度想定される住宅宿泊事業法のもとでの宿泊施設では、従業員が常駐しないことが想定されている。適切に施設を管理できるかということでいえば、管理者が不在ということを前提にして考えていかなければならない、こういう状況では同じ基準があるからといって大丈夫と言えるのか、踏み込んでみなさん検討しないといけない。住民のみなさんの安全、命を守るためにね、議論を進めていかなければならない。消防局に「旅館やホテルの火災についてどのような状況か」聞くと、今年度ホテルで4件のボヤがあったとのこと。ただ、従業員の適切な初期対応、「テーブルクロスにアルコールランプの火が移った」、これも初期対応で消火できた。大事には至っていない。「ゴミが燃えアルコール5ℓ分が燃えた」という事案もあったとのこと。こういう大きなことがあったにもかかわらず、初期対応で済んで消防局が行って消火しなければならないということにはならなかった。従業員さんが常駐してたからこそ初期対応ができた。それでは管理者不在の簡易宿所や住宅宿泊事業法のもとでの管理者不在の施設、大きな危惧があるのではないか。

(→歯黒・建築指導部長)いまのご指摘の話、建物のハードというよりもむしろ管理運営の話だと思う。そういったことは関係局で、現在、民泊新法にからむ新しい京都市の独自条例ということで、管理運営の話についても条例の中で、どういった形で、京都らしい宿泊環境を整えるか、住民のみなさんにも安心ができるか、そういった条例をいま現在検討している。先日もこういった条例を検討するうえで、有識者に検討会議入っていただいて、そういった観点、いろんな観点から、条例の制定に向けて検討している。そういった条例をしっかりとを踏まえたうえで、京都にふさわしい宿泊環境を整えるということであれば、逆に密集市街地だけではなしに、全然使われない管理不全の空き家が放置されるよりも、そういったしっかりと運営がされて活用できるということになれば、単なる民泊はそういった形で地域にとって防災上非常に危ないということにはならないかと思っている。そういった条例ができるような形でいま現在検討しているところ。

◆山本議員/京都市の要望の中には、「災害時を含めたあらゆる状況における安心安全を確保した制度とすること」と国に対し求めておられる。そうであれば京都市は、京都市ができることでしっかりと対応しなければならないと思う。旅館業施設においても用途変更する場合、接道条件で一定規制できる。だから都市計画法上も、建築基準法上も、用途で規制されている。だから私これは無理ではないと思う。都市計画条例の中で、これまで住居専用地域で旅館が規制されてたと、ほなら業態は同じような住宅宿泊事業法の、これを用途の中でしてはならないことに含めたら規制できる。こういったこともできるということは専門家の方も意見もある。古い木造家屋の火の回りは早い。外国人宿泊客が初期対応できるのか。すぐに通報できるのか。通報されたとしても、細街路の場合、消防車が入れないところもある。ホースが届かないところもあるとのこと。路地が折れ曲がってるから奥まで届かないと。こういう状況を見れば、いま管理者が不在の場合「20分で到着できるように」と指導されているが、こんなことでは間に合わない。ではどうすべきか。この不安、リスクを払拭できない以上、密集市街地には都市計画局の立場で立地規制をすべきだと思う。さらには、管理者が常駐している旅館やホテルでは対応ができた、そうであるならば管理者が常駐することを求めるべきだ。

(→歯黒・建築指導部長)くり返しになるが、現在新法に基づく京都市の独自条例で、そういった観点も踏まえてしっかりと検討しているところ。

◆山本議員/では住民のみなさんの不安はどのように解消すればいいか。その策をお答えを。

(→歯黒・建築指導部長)何遍も申し上げるが、そういった観点で、京都市独自の条例をいま検討している。それ以上のことをいま詳細なことを申し上げるような状況ではない。

◆山本議員/これからと言われても、これまでも考えて対策をやってこられたわけでしょ。これまでこう考えてきた、次はこうしていくという考えが、ここで議論できなければ、私は住民のみなさんの代表として議論できないということになってしまう。「これから決めていくからここでは言えません」という答弁では済まないと思う。住民のみなさんの不安がこれだけ大きくなっている、それだけ簡易宿所が増えているという状況に対して、私歯黒部長に2年前に質疑させていただいた。もうそこから本当に想像できないような宿泊施設の増加が見られる。だからこそもっと危機感持って、京都市ができることをがんばっていただきたい。先日、有識者会議での議論の報告も受けている。都市計画局としてはどのように感じられたか。

(→歯黒・建築指導部長)今までの民泊通報窓口からの課題とか、いろんなことの状況も踏まえて、有識者の方々に議論いただいたところ。都市計画局としても、先ほど先生おっしゃった住専地域での民泊の業態のあり方、こういったことも当然今回の新たな条例の中に、どういった形で位置付けるか、そういったことも含めて、いま検討しているところ。

◆山本議員/有識者会議での議論を見ると、住民の住居の平穏、安全を最優先で考えるべきであるというような議論がくり広げられていた。この会議を開いた以上、しっかりとこの意見を取り入れて、その手法を検討すべきだ。危機感をもってしっかりと対策を検討していただきたい。

2017年10月6日【決算特別委・第2分科会】都市計画局質疑「木造密集市街地における民泊規制について」

(更新日:2017年10月06日)